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第159話 ボルト達の行動

誤字報告ありがとうございます。



 ブレインがとんでもないユニークスキルを見せつけ、魔人化させた二人を連れて出て行ってしまったので、ここにはオレ以外誰もいなくなってしまった。

 することが何も無くなったので地上に戻ってみると宴はまだ続いていた。


 一郎ほかメイド達も料理を作るのに忙しそうだ。

 十人で一万人分を作ってるんだからな、そりゃ忙しいだろ。

 オレだって一度に作れる料理の数は……あれ? 9999人前に変わってる? 前まで99だったカウンターが9999に変わってるよ。

 武器も…9999に変わってる。

 何か進化する切っ掛けってあったか?


 二つ目のダンジョン? 従者の数? 強力な従者の取得? ……まさかこの獣人達が全員オレの従者って事は……ほっ、それは無いみたいだ。

 切っ掛けは分からないけど、作れるんなら作ってやるか。このままじゃ一郎と話もできないからな。


「一郎、料理はあとどれぐらいいるの?」

 自走で一郎の所まで行き尋ねてみた。

 自走で来るまでの間、獣人達に驚かれるかと思ったけど、真逆の反応だった。

 馬もいないのに動く馬車に土下座をしたり拝んだりしてくるんだよ。なんなのこの反応は。【御者】は出したままだからそのせいか? さっき舞台の上でも出してたからね。


「宗主さ……主様。お気遣いありがとうございます。そうでございますね、こいつら獣人は底無しの様に食べまくりますので、まだ二万人分か三万人分は必要かと。しかし、これは私共の仕事、今しばらく掛かりますが、こちらの事はお任せください」

 まだそんなにか。一人で五人前食ったら五万食いるんだもんな。

 でも、料理は一分だから、三万人分なら三分か。


「分かった、オレが作るよ。場所だけ確保してくれる?」

「いえ、そこまでお手を煩わせるわけには……」

「いいからいいから。素材も十分あるからすぐに作れるよ。一郎に話もあるし、さっさと終わらせよう」

「畏まりました。では、場所を作りますので、しばらくお待ちください」


 一郎はメイド達に指示を出し、料理を中断させ場所の確保をさせている。

 その間にもオレは料理を作り、出来上がった料理は収納の中にストックしていく。

 一郎達が作ってくれた中央のスペースに料理を一斉に出すと、獣人達からも歓声が上がった。

 その歓声に、なんか気分も良くなったから、BASHA酒も十樽サービスで出してやった。


 これで今日の所は食事が足りなくなる事は無いだろう。

 でも、これだけの料理を毎日作ってたら、ストックを大量に持ってるとはいえ、一か月ももたないんじゃないか?


「一郎、ダンジョンは出来上がったから、一度皆を集めてくれないか?」

「畏まりました」

 一郎は、後の事をメイド達に任せ、散らばっているメンバーの所へ連絡に走った。

 念話じゃダメなの? ま、広いと言ってもこの広場内にいるわけだし、任せておけばいいか。


 一郎に言われたのか、ハヤテがオレの所に来てくれた。

 ハヤテに曳かれて首都用に作ったダンジョンに下りて待ってると、順々にメンバーがやって来る。

 すぐに全員が揃ったので、話を始めた。まずは、一郎に。


「ここは首都にするって事でダンジョンを作ったんだけど、まだ区画を作っただけなんだ。広くしたいとか部屋を増やしたいとか要望があれば言ってね。ブレインは問題なさそうに見てたけど、実際に運営すると色んな要望が出ると思うからさ」

「はい、私も問題無さそうだと思いますが、その時にはお声がけさせて頂きます」

「それとボルト。ブレインはボルトに任せてあるって言ってたけど、何を頼まれたの? オレとしては、あと三個ダンジョンを作るように頼まれてるけど、もうダンジョン核を持って無いから作れないんだよね」


「御意、その件はルシエル達他の者が頼まれていました。我は獣人を纏める役を頼まれていましたが、今回は中々骨が折れました」

 ボルトの言葉をルシエルが引き継いだ。

「はい、ダンジョン核は既に用意してあります」

 とルシエルがダンジョン核を四個、収納バッグから取り出した。


 え? もうあるの? それも四個も?

「これは?」

「はい、人が管理していないダンジョンをブレインさんが知っていまして、私達シスターズとメイドさん達で手分けして四つのダンジョンを制覇しました。これはその最深部にあったダンジョン核です」

 いなかった三日間でダンジョンを四つも制覇したの?


「えーっと、四つのダンジョンを制覇って……」

「はい、一つは先日までシルビア達が行ってた沖合ダンジョンのものですが、あとの三つは密林の中と山脈の中と湖の底にあったダンジョンのものです。ブレインさんはまだ知ってるみたいでしたけど、予定の数が揃いましたので、ダンジョン探索は一旦中止しています」

 ふーん、君達なら未開のダンジョンでも、サクサクっとダンジョン制覇できちゃうのね。


「じゃあ、これは貰っておくね」

 ダンジョン核を収納した。

「あれ? モンスターキーは出なかった?」

「はい、ダンジョンマスターはまぁまぁ強力でしたが、モンスターキーは出ませんでした。あれってダンジョンマスターが金色の時にしか出ないのではないでしょうか」


 そういえば、ゴブリンダンジョンの時も巨人系ダンジョンの時もラスボスは金色だったな。しかもオレが行った時だけ。

 四度ダンジョンに行って、東の森のダンジョンとベヌディアダンジョンは金色じゃ無かったけど、ゴブリンダンジョンと巨人系ダンジョンはラスボスは金色だったね。

 シスターズはもっと行ってるけど、オレと一緒にいた巨人系ダンジョンでしか金色のラスボスを見てないみたいだし、モンスターキーをドロップしたのは金色のラスボスだけだな。

 オレが行くと金色ボスが出やすい? いやいや、別にモンスターキーなんていらないし、態々ダンジョンには行かないぞ。


「そういえば、ボルトはダンジョンに行かなかったって言ったね。獣人を纏めるって」

「御意、我とブレインと一郎で獣人の集落を回りました。大体の集落は我が姿を見せると拝んで来ましたので、獣王国を作ると一郎が説明すると、すぐに参加の意思を示しました。中には逆らう集落もあったのでブレインがその集落の長を倒すとすぐに傘下に入る事を意思表示しましたが。それでも、集落が多く、各集落を回るだけで三日も掛かってしまいました」


 物騒な言葉が一つ入ってたけど、深く追求するのは辞めておこう。

「ボルトとブレインと一郎で、あそこにいる奴らを集めたんだね」

「御意、集めた後は、我が森の中に広場を作り、ルシエルが戻ってから結界を張りました。キュートも結界の上乗せをしておりますので、外部の者はおろか、雨風も通さぬようになっております」

 それって空気が澱んでしまわないの? オレには分からないけど、どうなんだろ。


「それって臭いが籠ったり息苦しくなったりしない?」

「はて、何の事ですか? 我は快適でしたが」

「いや、問題無いならいいんだよ」

 仲間や獣人達は出入り出来てるんだから、空気も出入りできるようになってるんだろ。


「その後はブレインと一郎により、主殿の事をしっかりと教えつけていましたので、少し時間が掛かってしまいました」

 何を教えたのか聞きたい所だけど、さっきの獣人代表達の自己紹介を見る限り、聞くのが怖いから辞めておこう。どうせ、オレは祭の神輿兼、場所(ダンジョン)の提供者だしね。

 まさか、神様とまでは言って無いだろう。


「なにやら雷獣の我の主人で、獣人達を纏めるために降臨された方だと説明しておりましたな」

 言ってるよ! それってほぼ神様じゃないか!

 だからさっきも拝んだりされたのか。こりゃ、獣人達の前にはあまり姿を見せない方がいいかもな。


 一郎に【御者】の顔を向けさせると、一郎はドヤ顔している。

 全然褒められる内容じゃないからね!


「はぁ…それはもう訂正できないようだし、諦めるよ。それと、食料は今後どうするつもりなんだ? 毎日作ってやるわけにもいかないだろ」

「それにつきましては私から」

 再び一郎が出て来た。


「主様に狩猟用ダンジョンを作って頂きたいのです。ダンジョンの魔物は素材は取れませんがドロップ品で肉も落とします。その肉をこの国の食料にと考えております。あと、居住区用ダンジョンと転送魔法陣を設置する転送ダンジョンを作って頂けますか」

「そりゃ、その為にダンジョン核を用意してくれたんだろうから作るけど、どんな内容がいいの?」

「狩猟用ダンジョンは、牛、豚、鳥、蛇、龍の大型の魔物が出るダンジョンにして頂けますと助かります」

 じゃあ、五階層にしてそれぞれの種類が出るようにすればいいかな。


「転送ダンジョンは大きめの部屋を二十も作って頂ければ大丈夫です」

 それは簡単そうだな。あとは、それを守らせる奴もいるかな。


「居住用ダンジョンは十階層は作って頂きたいのですが。それと部屋も多数必要になるかと。こちらは最後で結構ですので、時間が掛かっても問題ありません」

「最後って。住む所は大事だよ?」

「いえ、獣人達は広場でも寝れますので問題ありません。優先順位は狩猟用ダンジョン、転移ダンジョン、居住用ダンジョンです」

 それがおかしいんだよ。狩猟用ダンジョンは分かるけど、次は居住用ダンジョンだろ? こんな首都ダンジョンなんて最後でも良かったのに。


 何か計画があるのかもしれないから言われた通りにするけど、獣人達の事を軽く見過ぎてない?


「この三日間何をやってたか大体分かったよ。なんで国なんかって思う所はあるけど、獣人達を集めた責任もあるから、まずはダンジョンを作るよ。彼らを飢えさせる訳にも行かないしさ。もうこれ以上増えないんだろ?」

「いえ、一万人程度では国とは言えません。国を興したと宣言した後は、各国で奴隷として囚われてる獣人を開放すべく、外交交渉を進めて行きます。最終的には十万人は楽に超える規模になるでしょう」


 はい? マジか! そんな事をしたら戦争にならない? 大体ここってどこなのよ。

「十万人って……住む所と食料はダンジョンで何とかなるかもしれないけど、奴隷解放の交渉なんてしたら戦争にならない? それにここってどこなの?」

 この大陸に余ってる場所なんかあったっけ。


「もし戦争になるなら、それは人間達の選択ですので致し方ありません。しかしそれは賢い選択とは思えませんが」

 そりゃ、うちの連中に加えて一万の獣人がいるんだから、どこと戦争になっても負けないかもしれないけどさ。もうちょっと穏便にできない? 死者が出るとか嫌だよ。


「この場所ですが、先日屋敷を建てたアーランノットシティの南側の森でございます。位置的にどの国とも近くなりますので、ブレイン様がこの場所に定めました」

 どの国にも近いんだ……え? でもそれって。


「もしかしてここってどこかの領土だったりする? よね?」

「はい、ワンワード王国の領土内という事ではありますが、近くに村はありません。元々獣人達の集落が多く点在していた場所ですので」

 ダメじゃん! そんな場所で国家樹立宣言なんてしたら間違いなく戦争になるって! しかもワンワード王国って言ったら、一番戦争をやりたがってる国じゃ無かったか?


「態と戦争になるようにしてない?」

「そんな事はございません。ブレイン様は、これがベストだとおっしゃっていましたから」

 それは答えになって無いって。どんだけブレインを信用してんの。

 結界が強力そうだし、最悪は籠ってたらいいよな。ダンジョンのみで生活できるようにするわけだし、戦争なんてしない方がいいって。


「戦争はしないように頼むよ」

「はい、大丈夫でございます。そうならないようにブレイン様も行動されるはずですから」

 いや、ここに国を作るって事が既に戦争の火種を作ってるって。


「主様はご心配なさらずに、まずはダンジョン作りをして頂ければ、後は私共で穏便・・に事を治めます」

 いまいち信用できないんだけど。

 でも、今はダンジョンを作ってやらないと食糧問題もあるんだよな。


 先にこっちの問題を片づけてからブレインに話をしよう。どうせ今はここにいないんだしさ。


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