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第15話 キャリッジ冒険団

誤字報告ありがとうございます。



次の日は朝早くからボルトに町まで引いてもらった。

開門と同時に町に入り、宿を目指した。

シルビアはもう起きているようだったけど、朝食を摂ってから合流しようと『念話』で言って宿の前で待つことにした。


しばらく待つとシルビアが出て来た。インザーグ達も一緒に出て来た。

どうせ冒険者ギルドに行くんだから一緒に乗せて行ってやるよ。

昨夜、インザーグ冒険団のパーティは依頼を受けるつもりだから一緒に依頼を受けないかと誘われたそうだが、ここでもシルビアは断ったそうだ。

確かに一緒に依頼達成してもシルビアの冒険者ランクが上がるとも思えないよな。たとえシルビアが活躍して解決してもBランクパーティにGランク冒険者が一緒に居てもランクは上がらないだろうしな。シルビアがどういう意味で断ったのかは知らないが断って正解だな。地道にランクを上げて行こうぜ。


道中でも、町の名前や昨日絡んで来たゲルバってDランク冒険者の事、インザーグの冒険者ギルドでの役割なんかも教えてくれた。

町の名前は『メキドナ』。南に向かうといくつか町があるらしいが、この辺りではこのメキドナが一番大きな町らしい。更に南に1か月以上行くと海があってもっと大きな町もあるらしいが、このメキドナの町は冒険者ギルドの依頼も多いから冒険者として活動するならこの町に居た方がいいと言われた。

インザーグの役割としては冒険者ギルド内での争い事の治め役もしているそうだ。正に昨日の事だな、ああいった争い事を治める事も冒険者ギルドから頼まれてるそうだ。他にもAランク冒険者が2組いるそうだが、あまり冒険者ギルドに顔を出さないのでインザーグが頼まれているらしい。

ゲルバのパーティは昨日の様によく新人や女の冒険者に絡む事があるので、新人のシルビアを見かけた時から注意をしていたそうだ。思った通りゲルバが絡んだので助けに行こうとしたら逆にゲルバ達を助ける事になったと笑っていた。釘も差したし、もう絡んでこないと思うけど注意はしておいた方がいいと言われた。


冒険者ギルドに着き、依頼ボードを確認する。冒険者ギルドに入るのはシルビアと【馬車長】。

昨日確認した通り、下位ランクの依頼はショボいものしかない。でも、高ランクの依頼でも受けてもいいと言ってたから目ぼしい物は記憶しておく。依頼ボードに貼り出されている依頼書は、剥がしてしまうと期日以内に達成しないと依頼失敗とみなされる。

シルビアはGランクなのでこれ以上は下がらないが、冷かしみたいに思われるのも嫌なので討伐して、まだ依頼書が残っていれば依頼書を剥がそうと思っている。


目ぼしい所では、E:ゴブリン討伐、10体、5PT。D:オーク討伐、5体、15PT。あとはC以上。討伐依頼って少ないな。


「インザーグさん、討伐依頼って少ないね。」

「討伐依頼は人気だからね、早く来た者が取って行ったんだよ。DとEあたりの討伐依頼って手頃だしさ、いい小遣い稼ぎにもなるし。何と言っても冒険者になる奴は腕に自信がある奴だろ? いつも討伐依頼から無くなって行くよ。今残っているのも複数貼り出してる物だけだね。」

「C以上はいっぱいあるよ。」

「そこまでの腕の奴は少ないんだ。俺達は今日行こうと思ってるけどね。」

そう言ってCランクの依頼から1枚剥がして仲間に渡して確認させている。

リカント討伐の依頼だった。

やっぱりインザーグ達の実力ってその程度だよなぁ、じゃあシルビアはボルトもいるし、もうワンランク上でいいんじゃないか? 上って事はサラマンダー辺りってことか? このランク辺りの依頼を剥がす奴は少なそうだし、あえて剥がさなくても良さそうだな。討伐完了してから残ってたら剥がそう。それより、どこに行けばいるんだろ? その辺の情報って誰か教えてくれないかなぁ。

『ボルト、ボルトはサラマンダーがどこにいるか知らない?』

『さぁ何処でしょうか。我は特に相手を決めて狩りをしたことはございませんので』

それが正解かもね、その方がレベルも上がるし。

依頼に縛られ過ぎるって無しだよな。シルビアの冒険者ランクも上げたいけど、まずは剣や魔法のレベルアップをしないと今後の為にもならないよな。

『よーし! それで行くぞ! ボルトもシルビアもやるぞー! まずはどんな魔物でも退治していくぞー!』

『おー!』

『御意、我はいつもの事ですが。』

『そこはオー!って言えよ。』

『御意、し、失礼しました。おおお。』

『そんなんでもいいよ、みんな頑張るぞ。』

『おー!』『おおお!』


よーしやる気が出てきたよ。オレはなーんもやんねーけどやるぞ~。

討伐対象の魔物が何処にいるかわかんねーけど、来た方向と昨日のボルトが地龍を倒した辺りは省いていいだろうし、南の更に先に行くか東か西の森だな。

『インザーグ達はどっちに行くんだろ? シルビア聞いてみて。』

『うん。』


「インザーグさんはどっちに行くの?」

「やっぱり一緒に行くかい? 俺達は西の森に行く予定だよ。リカントの討伐予定だけど、西の森にはDクラスまでの魔物が多いからね。」

「じゃあ、私は東かな。」

「東の森は魔物のレベルが上がるから西の森にした方がいいよ。地龍もいるって噂だし。」

噂じゃありませんねー。昨日ボルトが地龍3体やっつけましたからねー。

『昨日さ、ボルトが東の森で地龍を倒したから、もう強い魔物はいないかもしれないぞ』

『ボルトが地龍を倒したの? 凄ーい。』

『主殿、その話は辞めて下され、我の恥ですので。』

ボルトも念話に参加してきた。

『そんなこと無いよ、地龍を倒すってボルトってやっぱり凄いね。なんで恥ずかしいの?』

『そ、それは、ぐむむむ。』

『不意を突かれて少し怪我をしたんだ。それが恥だって言うんだけど、そんな事ないよな。しかも3体も倒したんだぜ。』

『3体も! 私も見たーい。』

『もう解体しちゃったから見れないよ。残念だったね。』

『そうなの? じゃあ、まだいるかもしれないし東の森に行こうよ。』

『あんなのがそんなに沢山いるわけないよ。いてたまるかって。』

実は怖いんだよ。地龍だぜ? ボルトだって死にかけたんだから、わざわざ見たいってシルビアってどういう性格してんだ。

『そうなの? ざーんねん。』

『主殿、恐らくまだ地龍か地龍クラスの魔物はいるようでした。我も更に強くなりましたし、腕試しに行きたいと思っておりますが如何でしょうか。』

なにそれ? まだあんなのがいる訳? 行かねーよ。行くわけないじゃん。オレ達よく無事に帰って来れたな。

『まだいるのー! 行く行くー、見たい~。』

『い、いや。』

『主殿!』『馬車さーん。』

『だ、だって。』

『主殿! 是非!』『馬車さーん、お願いー。』

『・・・わかったよ。でも森の奥までは行かないぞ、会えなかっても文句を言うなよ。』

『御意! 感謝致します。』

『馬車さん、ありがとう。』


「シルビアちゃん? どうかした?」

オレ達と念話で会話しているので、ぼーっとしているように見えたんだろう。インザーグが心配して声を掛けてくれた。

「ん~ん。私やっぱり東の森に行く事にする。」

「そうか、でもシルビアちゃんにはあのボルトって従魔が一緒にいるからね。でも、あんまり森の奥まで行かないようにね。俺達は少し足を延ばしてダンジョンに行く予定だから何日か戻らないけど、宿には話をしてあるからシルビアちゃんは泊まるといいよ。」

「ダンジョン?」

お? ダンジョンってオレの知ってるファンタジーでお馴染みのあのダンジョンだよな。やっぱりあるんだ。

「知らない? 西の森の奥にあるんだ。ここの冒険者ギルドに来る奴らはダンジョン目当ての奴が多いんだよ。」

「何かいい事あるの?」

「そうだね、ここのダンジョンは地下50階層あるんだけど、20階層ぐらいまではDクラスの魔物までしか出ないし、経験値稼ぎには丁度いいんだ。魔石を落とす魔物も多いしね。」

「ふ~ん。」

「今回は40階層まで挑戦してみようと思っててね、2週間は帰って来れないと思うんだ。だからシルビアちゃんがメンバーに入ってくれると丁度いいと思ってたんだけどね。」

「私も行けるの?」

「俺達となら行けたんだけど、シルビアちゃん1人では行けないね。冒険者ならDランク以上しか入れない決まりだから。俺達と一緒ならパーティで参加することになるからGランクでも行けたんだけどね。」

「ふ~ん、別にいい。」

「今日は西の森で行き掛けの駄賃として討伐依頼のリカントを倒してダンジョン村で1泊する予定なんだ。ダンジョン村で装備を整えて明日の朝からダンジョンに入る予定だから少しの間お別れだね。」

「うん。」


『ボルトはダンジョンって知ってた?』

『知っておりますが、興味はありません。』

『なんで?』

『出て来る魔物も弱いですし、狭いですから。』

下の方に行くと強い魔物もいると思うけど狭いのが嫌なんだね。小さくなってるとストレスがあるって言ってたもんね。

オレ達には関係ないね、だってオレ馬車だから階段降りれねーし。

《2人乗りバージョンになれば降りれます》

え? そうなの? でも行かないから関係ないって。シルビアが行く事になってもボルトを付けてやればいいだろ。オレが行く必要は無いって。怖いのは嫌だし、戦えない者が付いて行ってもなんも役に立たねーじゃん。

《結界、宿泊バージョン、回復(ヒーリング)地帯(ゾーン)、収納など役に立てることはあります。》

はいはい、サポート役ね。でも行かないったら行かないの。ボルトも興味ないって言ってるしね。

《行く事になるでしょう。》

なに暗示掛けてんの! 行かねーって。


「シルビアちゃんはそっちでパーティ組むんだろ? パーティ名はあるの? もし無いならパーティ名を付けて登録した方がいいよ。」

「なんで?」

「シルビアちゃんはまだGランクだからパーティ登録した方が得する事が多いと思うよ。」

「わかった、ありがとう。じゃあ、今考える。」

シルビアは【馬車長】をジーット見て

「キャリッジ冒険団。」

「キャリッジ? 馬車って事? 確かに冒険者で馬車を持ってる人は少ないからいいかもね。ここを出る前に登録して行きなよ。」

「わかった。」

名前付けちゃったね。しかも馬車って。シルビア冒険団でいいと思うんだけどね。

パーティ登録を済ませ、インザーグ達と別れてオレ達は東の森へ向かった。

なぜかオレの名前はヘーベルって変わってたしパーティランクはDになっていた。ダンジョンに行かせるつもりか? 行かねーぞ。

偽造カードなんだろうけど、使える偽造カードって意味わかりません。なんで名前も毎回変わるんだ? オレを認識させないように仕組まれてんのかね。


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