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第12話 買い取り

え? どういう事? 冒険者ギルドで主人公が絡まれるってデフォだけど、なんでこいつが伸びてるの?

『シルビア、どうした何かあったのか?』

『・・・・。』

『シルビア?』

【馬車役】を立たせシルビアを確認する。シルビアは青銅の剣を手に持ち冷めた目をして倒れた冒険者を見下ろしている。

『少し懲らしめてやった。』

『少しって、こいつ泡吹いて白目剝いてるじゃん。何をしたんだ? まさか斬った?』

『見て無かったの?』

『ほんの少しの間だけど、見れない状態だったんだ。』

『そう、斬ってないわ。柄の部分でお腹を突いただけよ。こんな輩には拳を使うのも勿体ない。』

こんな輩って。相当怒ってるね。これって問題あるの? 建物の中だけど、シルビアが捕まったりしないよな? 130センチぐらいの女の子が巨漢のおっさんを倒して見下ろしてるって。シルビアが強いのか、こいつが弱いのか。

周りの冒険者達も何が起こったのかわからず突っ立っている。

シルビアが剣をしまいそのまま立ち去ろうとしたら、気を取り直した仲間だと思われる冒険者が倒れた冒険者に駆け寄る。

完全に気を失っている事を確認してシルビアに声を掛けた。

「嬢ちゃん、お前が何かしたのか。」

「見えて無かった? 少し躾てあげただけよ。」

「なんだとぉ、ゲルバさんは俺達のリーダーだぞ、躾って何をしたんだ。」

「見えて無いんならいいじゃない。それじゃあね。」

立ち去ろうとするシルビア前を別の冒険者が立ち塞がる。

「ちょっと待ってくれるか、ゲルバさんが何かされたってのは分かるんだが、嬢ちゃん相手に気絶するって事は何かの魔法か?」

「魔法? この程度の相手に?」

「ゲルバさんはDクラスの冒険者なんだぞ? この程度の相手ってどういうことだ。」

「へぇ、これでDクラスなんだ。」

「このまま行かせる訳にはいかねぇな。一緒に来てもらおうか。」

「いいえ、遠慮しておくわ。それに先に手を出したのはそっちよ。」

「つべこべ言わずに来ればいいんだよ。」

立ち塞がっていた男がシルビアに掴み掛かろうとしたがシルビアはヒラリとかわす。

他にも2人加勢に入った。


『ヤバいな。ボルト! シルビアを助けに行ってくれ。』

『御意。』

ボルトがギルドの中に向かってくれた。

ボルトがギルドの建物に入るとあちこちから悲鳴が上がった。

それを見たアーサー事務長が慌ててやって来て従魔であることを説明している。

ボルトは他には見向きもせず、シルビアを見つけるとそちらに近寄っていく。


シルビアに絡んでる男は追い打ちをかけて掴み掛かって来る。シルビアはヒラリとかわす。

中々掴まらないシルビアに痺れを切らし今度は男が殴り掛かって来る。シルビアはまたヒラリとかわす。

かわされた男の拳がオレっていうか【馬車役】に当たり【馬車役】が吹っ飛ぶ。

全然痛くは無いんだけど、視界が逸らされた。

【馬車役】が吹き飛ばされたのを見たシルビアは、また剣を抜いた。

「今度は気絶では済まさない。」

問答無用でシルビアが剣を振った。

ガキーン!

別の男が割って入りシルビアの剣を自分の剣で受け止めた。

斬られそうだった冒険者は何が起こったのか見えて無かったから避けてもいない。

それほど速い振りだったが、割って入った男は片手で受け止めた。まだ30歳前ぐらいに見える冒険者だった。

「邪魔。」

「それぐらいで勘弁してやってくれ。こっちの魔物は君の従魔か?」

「ボルトは仲間。」

「ボルトって言うんだな。この魔物には敵いそうもないから大人しくさせてくれると助かる。」

「ボルトは助けに来てくれただけ。」

「え? 助けにって・・・ハッハッハー。それなら心配ないな、君の方が強いんだから助けてもらう必要は無いもんな。」

男は周りを見回すと唖然としている冒険者に話し掛けた。

「お前らの腕じゃ命がいくつあっても足らないよ、もうこの子に絡むのは辞めるんだな。これ以上やるんなら、俺が相手をする事になるぞ。」

シルビアに絡んで来た冒険者達は、男に言われ気絶しているゲルバを連れて引き下がっていく。

入れ替わりにアーサー事務長がやって来た。

「インザーグさん、大丈夫ですか? シルビアさんも大丈夫ですか?」

「ああ、大丈夫だ。ただ、この子の剣は無事では済まなかったな。」

カラーン

その言葉を言ったと同時にシルビアが持ってる青銅の剣が半分に折れて刃の部分が落ちた。

「あ、折れちゃった。」

「君の力に武器が付いて来れなかったようだな。弁償してやってもいいけど、もっと強い剣にした方がいい。」

「青銅の剣だもんね、仕方がないよね。」

「シルビアさん、そろそろ従魔を、その~外に出してもらえませんか?」

「ダメなの?」

「ダメではないのですが、冒険者達が怯えてしまって。」

「いいじゃないか、こういう従魔がこの冒険者ギルドにはいるんだぞっていうアピールにもなるんじゃないか?」ハハハハ

「確かにそうではありますね。」ハハ

アーサー事務長は苦笑いだ。

どうやらお咎めは無さそうだな。まだ依頼も見たいんだけど、その前に金貨が欲しいな。シルビアは持ってるけど、オレは持ってない。シルビアの面倒は見るんだから、金貨は持ってないとな。

『シルビア? 魔物の素材の買い取りについて聞いてくれないか?』

「あの、魔物の素材って買い取ってくれるんですか?」

シルビアがアーサー事務長に聞いてみた。

「買い取りですね、やってますよ。そちらの買い取り窓口で受付てます。あ、武器の購入ですね。この冒険者ギルドでも少しは置いてますが、ありふれた武器や防具しかありません。シルビアさんでしたら武器屋や鍛冶屋に行った方がいいでしょう。」

「うん、そうする。」


インザーグはミーティングルームに入って行き、アーサー事務長も業務に戻った。

インザーグには、後で話しがあるから買い取りが終わったらミーティングルームに来てくれないかと言われた。


シルビアに買い取り窓口に行ってもらい、【馬車役】にも付いて行かせる。

なんかみんなの中ではこの【馬車役】って存在が薄いのか、いない事になってないか?

話しはしてくれるけど、今の騒ぎでもシルビア以外には気にも止められて無いみたいだよ。名前も入門の時とは変わってるし、このままここで消しても誰も気付かないんじゃないか?


「買い取り希望ですね、何を出してくれるんですか?」

何を出せばいいんだ? 全部出してもいいのかな? シルビアの剣は高いものを買ってやらないと、また折れるかもしれないし。町に出たら必要な物も出てくるかもな。

ボルトが言ってたCクラスの魔物のものでも相当持ってるしな。Aクラスの物まで出さなくてどれぐらいになるのか確認しようか。もし足らなかったら足せばいいか。

オレは纏めて持っていたウェアウルフの爪と牙を机の上に山積みしてやった。キリのいいところで50ずつ出したら机の上には置けなくなった。

今オレが止まってる場所から買い取り窓口まで直線だと10メートルも無いからな。直接収納から出しても届いた。


「ちょ、ちょっと待ってくださいね。」

買い取り係が慌ててアーサー事務長の所に向かった。

「騒ぎの元はまたシルビアさんですか? オーっと何ですか! この素材の山は!」

別に騒ぎを起こしたくて起こしてる訳じゃ無いよ。でもこのままじゃシルビアの印象が悪くなるよな。あとは買い取りだけだし、シルビアは戻って来させようか。

『シルビア、一度オレの所に戻って来ないか。』

『どうして?』

『今アーサー事務長も言ってたように、シルビアの印象が悪くなりそうだから、【馬車役】に任せて戻って来いよ。』

『そうね、わかったわ。』

ボルトもシルビアと一緒に馬車に戻らせた。

「シルビアさん、この素材の山は何ですか?あれ? 居ませんね。 えーと、あなたはベスターさんでしたね。あなたが買い取りされるんですね。しかし、これだけの素材の山は凄いですねぇ。すべて買い取りで宜しいですか?」

「はい。」

「それでは確認しますので少しお待ちください。」

「はい。」

少し待ったらさっきの買い取り係が戻って来た。

「ではこちらを確認してください。ウェアウルフの爪が50組で金貨25枚、牙が50個で金貨50枚。締めて金貨75枚です。確認してください。」

金貨75枚を収納と同時に次はリカントの爪と牙を50ずつ出した。

まだ買い取りして欲しい素材は一杯あるし、金貨の価値がわからないので多く持ってた方がいいよな。

「え? まだあるんですか?」

「はい。」

「ま、まさか、まだ他にもあります?」

「はい。」

「・・・、では大口買い取りの方に行きましょうか。付いて来てください。」

出した爪と牙を収納し、係の者に付いて行った。

奥の大型専用窓口まで案内されると

「どうぞ、買い取り希望の品を全部出してください。」

それではお言葉に甘えまして出しましょう。

ウェアウルフの爪と牙を更に50個とリカントの爪と牙を100個、キラービーの牙と針を200個、ビッグタートルの牙と甲羅を50個、リザードマンの牙と爪と皮を50個、キングサラマンダーの牙と爪と皮を10個、オーガの角と爪と睾丸を10個、クロコダインの牙と爪と皮を10個出した。

まだまだあるけど、これぐらいにしてシルビアの武器と防具を買いに行って金貨が足らなければまた売ればいいよね。


30分待たされた。さっきの係の人とアーサー事務長も一緒に来た。

「お待たせしました。かなり高額になったことと討伐依頼の素材もありましたので確認をしておりました。では確認してください。」

アーサー事務長が金貨が入った袋をたくさん持ってきた。

「はい。」

「まずは先程と同じくウェアウルフが50個ずつで金貨75枚、リカントも爪が金貨50枚と牙が100枚、キラービーの牙が金貨50枚と針が金貨400枚、ビッグタートルの牙が金貨25枚と甲羅が金貨250枚、リザードマンの牙が金貨50枚と爪が金貨25枚に皮が金貨500枚、キングサラマンダーの牙が金貨30枚に爪が金貨20枚と皮が金貨80枚、オーガの角が金貨30枚と爪が金貨20枚に睾丸が金貨50枚、最後にクロコダインの牙が金貨30枚に爪が金貨10枚と皮が金貨100枚。締めて金貨1945枚。それと、依頼が入っていたものがありましたので、依頼達成の報酬も加算しました。リカントの討伐依頼が金貨5枚、これは10体以上で達成の依頼でした。キラービーの討伐依頼が金貨30枚、これも100体以上で達成の依頼でした。キングサラマンダーとクロコダインの皮の依頼が報酬として金貨20枚ずつ。依頼の報酬として金貨75枚。合わせて金貨2020枚です。金貨50枚入りの袋を40と20枚入りが1つです。どうぞ。」

「はい。」

金貨の袋を収納した。

たぶん多いんだとは思う。でもこれで何ができるのかもわからないんだよね。どこかで買い物しないとわからないね。

【馬車役】を戻らせた。

「あれ? さっきの人って何ランクだった? ランクアップじゃなかったかな? 名前は・・・・誰だっけ?」

幻? イヤ素材はあるねぇ。

アーサー事務長は首を傾げていた。


【馬車役】を出してる間に先に戻って来たシルビアと相談していた。

買い取りには結構な時間が掛かったが、別にオレが待ってる訳でもないのでシルビアとは話しは終えていた。

シルビアを1人で行かせるのがイヤだったので、【馬車役】が戻って来るのを待ってたんだ。


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