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thanks & respect  作者: リル
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あたしが言えない理由

【人前では涙は見せない】




悲劇のヒロインを堂々と語る人がいる。


感動ストーリーもあるけど、腹黒いあたしはたいがい思ってしまう。『何ヒロインのつもりになってんの?』


この時代に悲劇なんてあふれてる。

毎日毎日、ありえない事件やら問題がNewsを飾る。必ず当事者がいて、被害者や身内が存在する。


たいがい被害者は、あてられたくもないスポットをあてられて、思いがけなく悲劇のヒロインになってしまう。


その一方で、Newsにならない悲劇も日常の中には存在しているんだ。この世界に生きるほとんどの人間が悲劇のヒロインになりえるわけで、そこには人それぞれ様々な理由がある。


知られざる悲劇を自ら語る人たちはきっと【同情してほしい】人間なんだろう。


こんな悲劇の中でも強く生きてる自分を他人に褒めてもらいたいナルシストだ。



仕事で自己啓発セミナーに連れていかれたことがある。感動を生み出す仕事作りがテーマで、字幕と写真だけの映像を観て、ひとり残らず涙をながした。


あるスポーツ選手の感動秘話だ。足を無くした野球選手の作り話ではない生い立ちだった。


この感動が大切なんだ。教育の現場ではみんな揃った感動を..的なセミナーだ。


あたしも泣いた。もちろん、血も涙もない人間ではない。どちらかと言わず涙もろい人間だ。

ただ、つくられたセミナーの中で、涙を流させる為のこの空間はどうも苦手だ。

あれ依頼、自己啓発セミナーというものを敬遠してしまうようにもなった。



『泣いていい。俺も泣くから。』

そう言ってくれたから今そばにいる。


誰にでも言える過去じゃない。あなたにだから言えるんだ。軽々しく悲劇を語るナルシストになんてあたしはなりたくないんだ。



友達から聞いた家族の話。

あたしは決して悲劇の人生をたどってきたわけではない。あたしがここにこう書くのは今はナルシストにならざるべきを得ないからだろう。


伝えたい人に伝わればいい。


ただ全てを話してくれたあなたに言えずにいた。今もまだ言えずにいる。退かれてしまうのがこわいんだ。


ここでしか言えない真実があたしにも存在する。ずっと苦しかった。


『笑ってればいいから』


初めて自分を出せる存在にであった。


あたしを語ったときにあなたはあたしの幻を好きだったよと言って、それでもいいやと言ってくれた。


あたしが踏み出せないのは、まだ嘘があるから。


あたしの乗ってるWINDOMには秘密があるんだ。


『自由に生きてそうでいい』


そう言われると余計に言えなくなる。


きっとあなたはあたしの勝手だと思うから。きっと、不安にさせると思う。


好きだから離れた、ということ。適当な自由人だと思い込んでいるあなたには、きっとあたしは受け入れられない。


あたしはナルシストでもいい。家族を売ることだってできるかもしれない。それでもあなたに直接語る勇気はまだないんだな。



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