My Dad.
My daddy..
拝啓父上様。
今日はあなたの誕生日です。
『お誕生日おめでとう』
去年あなたに送りたくて買ったBirthdayCardは、コレクションのPostCardといっしょに部屋に飾られたままで1年が過ぎました。
たった5分前にあなたに送ったメールは【送信先エラー通知】が戻ってきました。
冷静に涙がとまらずに、あなたにこの手紙を書いています。
背の高いお父さん。
自慢のお父さん。
あたしにとってたったひとりの。
どうしていいのかわかりません。
何を信じればいいのかわからなくて辛いです。
前に進むためにあなたの元を離れて、どうしようもなくて考えることをやめたのです。
どうしてもあなたのことが心配で。
考えてしまうあたしは結局何もできないのが苦しくて。
あなたは幸せでいてほしかった。
余計なことなど聞きたくなかった。
だから忘れようとした。
現実から逃げて『幸せでありますように』そう願い続けることが精一杯なんだよ。
あなたは今何を想ってますか?
今、あなたのことが気になります。
仕事から深夜に帰ってきて、さっき母親と言い合いをしました。
くだらない仕事のやつあたりです。
『もう誰とも関わりたくない!』
そう言ってドアを閉めて、隣のあたしの家に帰ってきました。
階段をあがりながら自己嫌悪で涙が出てきました。
携帯を見ると、日付がもう変わっていました。
【1月30日(水)】
あなたに
『おめでとう』
がどうしても伝えたくて、アドレスを探しました。
1年前に、前に進むためにあなたのアドレスと番号を消した、夢か現実かわからない記憶が頭に浮かんで、心がちぎれそうになりました。
あ、
【お預かりデータ】だ。
‥親父‥
あった。本当にホッとしました。
『誕生日おめでとう。あたしは週6の仕事で毎日頑張って‥
‥』
送信‥。
‥
今年もあなたに伝えられませんでした。
誕生日おめでとう。
元気でいますか?
ご飯はちゃんと食べていますか?
寒い思いはしていませんか?
どうか毎日笑って過ごせていますように。
あなたとのたった一本の細い糸が、今プツリと切れました。
あたし達のことは忘れてもいいよ。
だからお願い。
みじめな思いだけはどうかしていませんように。
あたしの父親へ。
幸せでありますように。