第8話 引っかかる物
〜2回戦目〜
辰馬「4!」
引いたのは3。
魁斗「2。」
引いたのは2。
比留間「1。」
出て来たのは5。次に春華が引いた時だった
春華「3かな?」
引いたのは1だった。しかしその1は、①と書いてあった。
春華「まる・・・1?」
迅「俺がちょっとふざけて書いただけなんで、気にしないで下さい。」
迅は手を後頭部に当てながら言った。市香は不思議そうな顔をして、小声で聞いた。
市香「あれだけなんですか?①って書いたのは。」
迅「いや。他にも③、④っと書いた。」
市香「本当にふざけたんですか?」
迅「何が言いたいんだ?」
市香「ふざけて書いただけなら、1〜5まで全て○を付けると思いましたから・・・。」
迅「あぁ。お前の言う通りこれは、ふざけて書いた訳じゃない。全てに○を付けなかったのは、皆に怪しまれない為だ。そして、最後の勝負で残ったやつに、賭ければ当たる可能性がある。本当に一か八かの勝負だったが、偶然にも最後だったから、最後に残った数字を言えば確実に当たる。」
市香「なるほど!だったら絶対に最後に生き残れますね!」
迅「まだだ。」
市香「え?」
迅「最後の勝負まで、もしくは最後の勝負で、俺の書いた数字全て引かれたら終わりだ。チャンスはそれぞれ2つずつ。その時までに奴らが全て引かない事を祈るしかない。」
そんな会話をしている間に、敏信、美郷は終わっていた。敏信は外れで3。美郷は当たりで2。清志は丁度引こうとしていた。
清志「5。」
引いたのは3だった。
市香「2。」
引いたのは2。ホッとした。自分の書いた数字はまだ1回しか出てない。でもまだ2回戦目。もし運悪く全て引かれるとしても、後半の最後らへんの、9回戦目や、最終戦の自分の番が前に引かれて終わりのどちらかだ。まだ安心できる所、そう迅は思った。
迅「1。」
出て来たのは3。結果2回戦目、迅は最下位にならなかったが、春華、市香が最下位になった。迅は考えた。
迅(思ったらどうして俺は、誰かが死んでも良い、俺だけ生き残りたいと思ってるだ?皆が助かる方法は。それを考えなきゃいけないんじゃあないのか?)
そう思い始めた。そうこうしているうちに、3回戦目が始まった。この戦いは誰かが死ぬ。そうCHGと同じだった。
迅(結局は30億の誰か1人しか・・・。もしかしたら、誰も生き残れないんじゃ・・・。考えるな!そんな事!俺はそもそも自殺しようとしていた身。もう何時死んでも良いんだ!誰も俺を大切に思ってなんか・・・・・・。)
???「迅・・・。」
迅「はっ!」
一瞬自分を呼ぶ声がした。その声は、父・洩夜だった。自分の記憶の中から、洩夜の言葉が出て来たのだ。
洩夜「お前は1人じゃない・・・。」
迅「父・・・さん。」
肩に誰かの手が乗った。ビクッと体を震わせ、手の方を見た。
市香「大丈夫ですか?」
迅「あっ。あぁ。別に何ともない。てかどうしたんだ?」
市香「ちょっと父さんって聞こえて、それから・・・。」
迅「それから何だ?」
市香「目から・・・。」
迅「目から?」
目を触ると、涙がポロポロと出ていた。涙を拭いた。清志が迅を見ながら
清志「何を泣いてんだ?」
迅「別に何でもない!」
今度は怒鳴る様に言った。清志もビクッとなった。市香は迅の背中を摩って
市香「落ち着いて下さい。まだ2回戦目ですし、まだまだゲームは続くんですよ。」
市香は心配そうに言った。それを嫉妬している目で、清志は見ていた。
清志「もう辰馬が引こうとしてるぞ。」
市香はまだ摩っていた。ガサガサと箱を揺らしていたが、パッと手を止めて
辰馬「2。」
引くと2だった。
迅(取り敢えず最後の引きまでは、落ち着いて待とう。)
迅はそう思っていた。しかし、このゲームで迅とは別の作戦を立てている人が居るとは、知る由もなかった。
魁斗「そうだな・・・3。」
引いたのは3。
比留間「これは・・・1。」
引いたのは1。
迅(何!?)
連続で3人が数字を当てた。最初は偶然と思ったが、偶然でも出来過ぎている様な気がした。それだけじゃなかった。何か何かが引っかかった。春華外れで3。敏信外れで4。美郷当たりで2。清志外れで1。市香外れで5。迅の番が来た。
迅(とにかく今は、この引っかかりは一体なんなのかをわからないと、このゲーム俺が生き残るのは難しい・・・。)
箱に手を入れ、ガサガサと中を探った。何か、何かないかと探していた。でも特に不自然な物は無かった。
迅(くそっ!)「1。」
引いたのは2だった。この3回戦目の最下位は、迅となってしまった。今は迅が最下位数が1番多い状態となった。
迅(こっ・・・このままだと死ぬのは・・・俺。)
4回戦目が直ぐ始まった。このゲームは、圧倒間に1回戦が終わる。その気になれば、約10分程で終わるゲーム。でも迅達からしたら、1回戦が本当に長く感じた。
迅(俺は・・・生き残れるのか?)
自分の引いた、2の紙を見て思った。紙に妙な触り心地を感じた。
迅(?何だ?これは・・・。)
もっとよく見ると、真ん中に真っ直ぐな線があった。そこを触ると線の部分が、何か凹があった。逆に裏返して触ってみると、凸があった。
迅(まっ・・・まさか!あいつ!)
紙をグシャッと握り潰して、辰馬を見た。
迅(俺の予想が当たってたら、多分奴は2を予想して当てる・・・。)
迅は敏信をじっと睨んだ。
3回戦目迄の成績(最下位数)
新藤 迅・2回
織田 市香・1回
蛭田 春華・1回
高野 清志・0回
橋下 辰馬・0回
白井 魁斗・0回
松田 比留間・0回
春田 敏信・0回
松本 美郷・0回