第6話 放送
どういう訳か、この日ゲームは無かった。迅は何もわからなかったが、TVを見ていた。この事について話しているかもしれないからだ。しかし、話したのは此処に来て最初にTVを付けた時に言っていた、「30億人の人が行方不明」という事だけで、それ以降1つも話さなかった。
迅「情報は無し・・・か。」
くそっとリモコンを、ソファーに放り投げた。それにしても部屋が豪華だった。市香が挨拶してきた後、放送が流れていた。
海南斗「よう。今お前等が居る部屋は、このゲームに参加している間の、お前等の住む部屋だ。俺の父が寛大だから死ぬ直前はと、出来るだけ豪華にしてある。あと食事の方だが、好きな物を好きなだけ頼んで良いそうだ。これは爺ちゃんが言っていた。そして俺からの配慮は、何か映画とか見たくなったら好きな映画を見て良いぞ。それも、そこの電話で頼め。食事も同じ様にな。それから、別の部屋に入るのも、お前等の自由だ。そして父の配慮で、親は子供の部屋の直ぐ横にした。部屋をどうこうしようが、お前等の勝手だから、別に親子で寝ても良いぞ。ゲームが始まる時は、放送して、TVの電源をこっちから全て付けて、TVで誰がどの部屋に言ってゲームをするのかを知らせる。じゃあな。」
と長ったらしい話をしていた。迅は試しに腹が減っていたので、電話してサーロインステーキを頼んだ。10分すると、移動室という所からピンポーンと鳴った。ドアを開けると、手下がホテルの店員が食事を持って来る時に使っている様な、ワゴンにテーブルクロスをしていて、上にはステーキと水があった。飲み物を頼まなかったら、水が来るのかとわかった。それを食べて電話すると、手下が持って帰って行った。
迅「ふぁ〜。眠たくなってきたな。うん?」
学校のチャイムが流れてきた。女の人の声で
放送「今日は終わりです。明日9時から始まります。」
チャイムの音が流れると、もう何も言わなくなった。眠って良いのかと思い、そのまま目を閉じると眠ってしまった。
〜翌朝〜
目が覚めると、急いで壁に付いてあるデジタル時計を見た。時計は、8:00:02と書いてあった。ホッとした迅は、目玉焼きを頼んだ。美味しかったのか、バクバク食べてまた頼んで食べて、腹が一杯になった。時計を見ると、まだ8:30:20と書いてあった。部屋から出ると、勝手にガチャリとドアが鳴った。まさか!と思いドアを開けようとしたが、ビクともしなかった。でもよく見ると、ドアノブの上に指紋認証があった。親指を当てると、ガチャリとまた鳴った。ドアノブを引くと、ドアが開いた。ホッとした。
???「何をしてるんですか?」
声のした方を見ると、市香だった。
迅「いや。ちょっと部屋から出ようと思っただけだ。」
市香「そうなんですか。それにしても、私昨日眠れなかったんです。ゲームが心配になって。」
迅は右手を頭に当てながら
迅「俺も全然眠れなかった・・・。」
ぐっすり眠っていたとは、言えなかった。チラッと市香を見ると、市香は別の方を見ていた。その俺も方向を見ると、背が高く頭の良さそうな男が歩いてきた。
市香「高野さん!」
???「市香!大丈夫か?まさかお前もこのゲームに参加していたとはな。ん?お前は?」
迅「おっ俺は迅です。」
何故かビビッた。恐らく男のオーラを感じたのだろう。
清志「どうも。高野 清志だ。で?市香に何の用だ?」
迅「いっいや・・・。別に・・・。」
市香「ちょっと高野さん。えっと迅さんでしたっけ?」
迅「あっ。うん。」
市香「迅さんは何もしていませんよ!もう直ぐに嫉妬するんですから。」
清志「本当に何もされて無いんだな。全く。」
恐らく清志は、市香の彼氏なのだろうと迅は思った。
迅(ゲームは始まってないのに、ゲームが始まった様な気分だ・・・。)
ゆっくりと後ずさりをして、自分の部屋のドアに背中を当てた。チャイムが鳴った。声は海南斗の声だった。
海南斗「おはよーう!じゃあ最初のゲームに参加してもらう。じゃあ皆個人の部屋に戻ってTVを見ろよ。TVで出されている時間は10分。そして、画面には自分と、一緒にゲームに参加する人達の名前が出されている。ゲームを行う場所に行きたい時は、部屋の中にある移動室という所に入って、TVに出されている数字を押せ。ボタンは、昔の携帯電話みたいな並びになっているから、1つ1つボタンを押せ。それから行うゲームは、場所によって違うから、間違えた番号を押すと別の部屋に行って、別のゲームに参加する事になる。まあその時はルール違反として、腕輪が反応するから参加は無理だけどな。」
暫く笑っていると
海南斗「それじゃあお前等覚悟は良いな?それじゃあスタート!!」
遂にゲームが始まった。ガチャガチャと音がした。皆が一斉に部屋に入ってる音だ。清志も部屋に戻り、市香も部屋の中に入った。迅も部屋の中に入ると、TVが付いていた。TVを見ると
TV「0013」
と最初に書いていた。名前を見ると迅の名前があり、迅合わせて10人の名前があった。海南斗が言っていた移動室に入って、順番にボタンを押した。最後にOKというボタンを押すと、ガチャッとドアが閉まり、エレベーターの様なドアが出て来てまた閉まった。部屋が動き出した。5分程経つと部屋が止まった。ドアが開くとまたドアが目の前にあった。ドアを開けると、そこには海南斗の手下が居た。
迅(あいつの手下って何人居るんだろう・・・。1000人は軽く超えてそうだな・・・。)
移動室から出ると勝手にドアが閉まった。