第3話 勅使川原
〜翌朝〜
トントンとドアが鳴った。その音に目が覚めた。また高校に行かなければいけないと考えると、起きるのが嫌になりわざと二度寝した。愛が部屋に入ってきた。
愛「そろそろ起きなさい。迅。」
迅「今日学校行きたくない。」
愛(不登校生がよく言う言葉ね・・・。)「そんな事言わずに、早く起きて学校に行きなさいよ。」
迅の体を持って、ベッドから引き摺り落とした。背中が強く床にぶつかって
迅「痛!」
かなり強く背中を打ったのか、背中を支えて藻掻いていた。
愛「とにかく早く着替えて、学校に行きなさいよ。」
取り敢えず返事をして、着替えて下に降りた。もう3人は朝御飯を食べていた。椅子に座って、一緒に朝御飯を食べた。TVを見ると、やっぱり昨日のニュースをしていた。CHGの話が終わると
TV「続いてのニュースはこちら。2035年で遂に世界の人口が、90億人を突破しました!」
それを見ていた洩夜が、不思議そうな顔をして
洩夜「CHGで人が殺し合っているってのに、世界人口は増えてんのか。全く。」
愛「第1回CHGの時は、まだ約70億人だったのにね。」
柊花「20年前だから、2015年の時よね?」
新聞を手にして言った。
洩夜「たったの20年だが、かなり技術が進んだな。」
愛「えぇ。もう二酸化炭素を出さないエアコンや、水素で動く車が普通に走ってるもんね。ガソリンスタンドはもう無くなってるし。」
もうパンを食べ切った迅は、鞄を持ち上げて靴を履いていた。
迅「いってきまーす。」
柊花「あっ!私も着替えなきゃ!」
まだ着替えてなかった柊花は、急いで着替えて、迅が出て行った10分後に家を出た。歩いて学校に向かっていた。あまり早く学校に着きたくないからだ。
迅「今何時だ?うん。まだ大丈夫だな。」
スマホで時間を確かめた。小さな道を歩いていた。何時も学校に行く時は、この道を利用していた。今日は珍しく車が走ってきた。横を通り過ぎる瞬間、中の男がこちらを見ていたのが見えた。車は少し前で止まった。中から男の人が出てきた。さっき見ていた男だった。
男「お前。新藤 迅か?」
迅「あんたは?」
男「お前は、新藤 迅か?」
何度も同じ事を聞くので、仕方なく答えた。
迅「そうだけど・・・。」
ガンッと後頭部を誰かに鉄製の物で殴られた。そのまま視力を失った様に、周りが暗くなった。目が覚めた。しかしそこは、車の中でもなく、高校でも病院でも家でもなかった。始めて来た場所だった。
迅「此処は何処だ?それにしても人が多いな。」
周りは暗かったが、声や自分に当たる人の数で何と無く人が多いというのがわかった。パッと電気が付いた。案の定人は物凄く多かった。だが、そんな事を見たのは一瞬で、迅の目はもっと別の事に奪われていた。迅の目は上を見ていた。それは他の者達も同じだった。
迅「何だ・・・これは・・・。」
天井で見えていたのは、水の中に泳いでいる魚達であった。当然見えている理由は、部屋の明かりの御蔭であった。周りは暗かった為、明かりが付く前は何も見えなかった。
迅(どういう事だ?此処は・・・水族館か?)
迅以外の皆もそう思ったが、上をよく見ると船底の様な物があった。大きさ的に豪華客船なのであろうか。どちらにせよ、水族館に豪華客船の様な船が通る訳が無い。だとすると此処は・・・
迅「海!」
迅は大きく言った。皆一斉に迅の方を見た。両手で自分の口を抑えた。その時『展覧会の絵』が突然流れた。スポットライトが急にステージを照らしだした。ステージに、スーツ姿でサングラスを付けている男が出てきた。
???「えーまず言っておきたいのですが、おい!音響!選曲間違えるな!」
遠くから声が聞こえた。
音響「すいませーーん!!」
???「全く!あのね!選曲間違われると、皆の目の前に出てきた時に、俺がすげぇ恥ずかしいから!現に今すっげぇ恥ずかしかったから、本当に頼むよ!」
音響「すいませーーん!!」
???「謝る気あんのかよ。はい!という事で!」
迅(どういう事だよ!)
皆も同じ事を思った。男は何事も無かった様に話を続けた。
???「どうも!!皆様!今回俺の爺ちゃんが作ったこのゲームに選ばれて、本当におめでとうございます!!」
迅「は?爺ちゃん?」
海南斗「俺の名前は、勅使川原 海南斗でーーす!!」
海南斗の声は大きかった。海南斗の声は周りに響き渡っていった。
海南斗「えっとね。俺の爺ちゃんが、雅由樹で、父ちゃんが翼惟斗でーす!!知ってるかな・・・。まああの有名な、CHGを開催した人達と言った方が良いかな?」
迅(な!?CHGを開催した奴だと!?)
それを聞いて、怒りが込み上げてきた。
海南斗「皆は運が良いねぇ。他の部屋でも、こんな感じで説明するんだけど、他の部屋で説明している奴らは全員俺の手下で、今此処で話をしている俺が、1番偉いんだからな。と言っても、俺はまだ18何だけどな。」
そう言った後、1人で大爆笑していた。まだ状況がわからない迅達は、どうすれば良いのかわからなかった。