第21話 地雷地獄
カチカチカチカチ耳障りな音がまだ続いていた。タイマーは無い。TVも点いていない。迅は少しずつドアに近付いた。すると、音が近付けば近付く程大きくなってきた。
迅(嘘だろ・・・まさか!! )「清志!!そこから離れろ!!」
清志「何言ってんだ?」
迅「ドアを開ける方法なんて今はどうでも良い!!!その前に周りの音に耳を傾けろ!」
清志「はぁ?」
迅の言っていた事がわからなかったが、言われた通りよく音を聞いた。
清志「何だ?」
音のする方へ耳を近付けた。するとドアに耳が付いた。
清志「まさか!」
手を突いて音を聞いた。確実に音が早くなってきていた。
迅「戻れ!早く!」
清志「どうやって戻れば良いんだよ!地雷があるかもしんねぇんだぞ!!」
迅「じゃあさっき通った道を戻れば良いだろ!!早く戻って来い!!」
清志「くそ!」
後ろを振り向いた。その時音が止まった。清志はドアに顔だけ向けて、迅は顔を下に向け腕を前に出した。ドン!遂にドア自体が爆発した。爆風が迅を襲った。足がグラグラになり、1度転けそうになった。
迅「くっ!清志!!」
爆風が止むと清志の姿は無かった。少し後ろを見ると、口から上の清志の顔があった。脳が頭から出ていた。
迅(死んだ。清志が・・・死んだ。)
TVの説明で言っていた事を思い出した。
TV「向こう側の扉に行き扉を開けると成功です。但し油断はしないで下さいね。」
油断の意味はこの事だったのかと、今更迅は気が付いた。このゲームでの正規ルートは、ここ迄到達した後ドアの前に爆弾のスイッチを埋めてあって、それを踏んだ後直ぐに後ろに下がって、爆発させてドアに穴を空けてそこから出る。それこそがこのゲームでの正規ルート。それを直ぐに気付いていれば・・・いやあの時迅は戻れと叫んでいた。あの時清志が下がっていれば、当然生き残れていた。
迅「俺・・・1人・・・。」
ドアには穴が空いていた。彼処から出れば、このゲームから抜ける事が出来る。
迅「もう突っ切る!走って穴に飛び込んでやる!」
迅は覚悟を決めた。
迅「うおぉぉぉぉぉぉ!!!!!」
猛ダッシュで走った。後ろで次々爆発が起きた。
迅「おらぁぁぁ!!」
ジャンプした。丁度ピッタリにドアの穴から抜ける事が出来た。
迅「痛!ぐっ!いった。」
ジャンプして床に着地した時に、背中が壁にぶつかった。ドアの穴から爆風が激しく吹いていた。やがて爆風が吹き止むと、TVが点いた。ここの部屋にもあったのかよと、迅はイラつきながら思った。
TV「おめでとうございます。見事地雷地獄から生還いたしました。」
迅「ふっざけんな!」
TVを殴った。ピキピキとTVの画面は割れたが、TVの電源はまだ点いていた。TVの画面が変わり、人が変わった。出てきたのは、勅使川原 海南斗だった。
海南斗「やぁ迅。見事このゲームから、1人だけ生き延びた様だな。」
迅「まぁぁなぁぁとぉぉ!!ふざけんな!よくも!よくも清志を!いや!他の人達を!てめぇ!人の命を何と思ってやがんだ!!」
海南斗「別に。蜚蠊等と同じだと思っている。人の命は特別だとか言ってるけどな、命は命だ。人間の命は蚊や蜘蛛、牛、魚等と同じなんだよ。良い加減に気付け。人間なんて生き物も簡単に死ぬんだよ。お前だって蚊の1匹や2匹殺した事あるだろ?」
迅「殺す!絶対に殺してやる!海南斗!」
余裕な顔をしながら
海南斗「殺せるもんなら来な。」
迅は目から涙を流し、歯軋りをだんだん激しくした。
海南斗「あっそうそうお前。部屋に戻らずにそのまま次のゲームの部屋に行け。」
迅「はぁ!?」
海南斗「朗報だ。次がラストゲーム。だがそのラストゲームは、直ぐに始まる。だから直ぐにラストゲームが始まる部屋に行け。行かなかったら・・・。」
迅「腕輪で殺すってか?」
海南斗「そうだ。わかってんじゃねぇか。じゃあせいぜい頑張れよ。」
最後は少し馬鹿にした口調で言った。TVの画面が暗くなり99999と書いてあった。
迅「ふざけんな・・・。ふざけんな・・・。」
ふざけんなを連呼しながら、移動部屋に入り番号を押した。ガシャン!と部屋が揺れ止まった。
迅「何だ?」
何分か経つと部屋が少し動きまた止まった。
迅「渋滞か?」
一遍に多くの人が部屋に向かっているのだから、仕方が無い事だった。迅は1時間程待った。要約ドアが開いた。
迅「やっとか。」
部屋から出たら、また地雷ゲームが始まる前と同じ暗く5歩程歩くと、前に壁があった。
迅(またか・・・。まさか同じゲーム何て事は無いだろうな・・・。)
それから2時間程待った。次々と人が入ってきた。TVが点いた。全員集まったのが直ぐにわかった。
TV「どうも皆様今回で最後のゲームとなります。今回はゲームに参加している人全員参加となっておりますが、数がまだ5億程なので、分けてゲームを行います。」
迅(分ける?)
TV「そして途中途中その方々の生き残りが、どんどん追加されていきます。」
迅(全員参加・・・。途中参加・・・。一体どんなゲームが・・・。)
部屋に明かりが点き始めた。