第20話 爆死
迅もグランドに足を踏み入れた。最初は皆爆発しなかった。どうやらこの2歩目からの様だ。皆同時にゴクリと唾を飲み込んだ。
迅(俺たちの作戦は、皆と話し合った結果残りの者が進んで行き、地雷の無い場所を歩いて行くという物・・・。だが皆一斉に行けば、その分確かに安全なのだが、1人爆発した時に近くの者が巻き込まれる可能性がある。だから出来るだけバラバラに、でも出来る限り同じ道を進むそれが俺達の作戦。大丈夫なのか?)
心配しつつ歩いて行った。清志はその作戦に反対していたが、皆この作戦が1番と言い諦めこの作戦に決めた。理由は勿論前の協力してない者達が爆死する可能性があるからだ。清志は何とか仲間に出来ないかと皆を説得しようとしたが、皆はこのメンバーで行こうと言って聞かなかった。
清志(何とかして・・・皆の命を・・・・・・。)
ドカン!向こう側で爆発が起こった。幸い協力者はいなかったが、1人爆死してしまった。
清志「ぐっ!」
迅「清志!」
迅の方を見た。迅は顔を振りながら
迅「これは運のゲームだ。完全なる運ゲー。最初のゲームも運だったが、あれはイカサマをして勝つ事が出来た。だがこれは違う!地雷のありかがわからない。踏んでも不発で爆発しないかもしれない。その後誰かが地雷を踏んで爆発するかもしれない。このゲームは協力出来ない!」
清志「そんな事は無い!諦めたら駄目だ!」
迅「くっ・・・。」
清志は迅に耳を貸さず、前に進んで行った。また爆発が起きた。今度は協力者とその友達かはわからないが、ずっと一緒に行動していた人2人が爆死した。それを見ていると、直ぐ右で爆発が起こった。
清志「くっ!」
迅「清志!」
清志の元へ向おうとしたが、地雷が恐ろしく踏み出せなかった。あっという間に3分の1の数まで減った。
迅「早・・・い。こうも簡単に人が死ん・・・・・・。」
清志「おい!皆!!まだ助かる!!大丈夫だ!協力して・・・。」
すると1人の男が涙を流しながら、清志に怒った。
「ふざけんな!偽善者!もうこうなったら協力出来ない・・・。このゲームは自分の手で進むしか・・・。」
清志「大丈夫だ・・・。大丈夫だから・・・。」
「無理よ!!こんなだけの人が死んだ。協力して生き残る何て、このゲームでは不可能なのよ!」
女の人の叫びに何も言えなかった。清志は足元がぐらついた。
「うおぉぉぉぉ!!!」
1人ドアに向かって走って行った。5歩で爆死した。それから皆はパニックになり、一斉に走りだした。爆発、爆発、爆発、爆発・・・。爆死、爆死、爆死、爆死・・・。この連続であった。結果残ったのはまだ1時間も経っていないのに、迅と清志の2人だけになった。
迅「何だよこれ・・・。こんな簡単に死ぬもんなのか?しかも一瞬で・・・。」
清志「誰も救えなかった。」
清志はある事に気付いた。
清志「そうか。」
迅「どうしたんだ?」
清志「俺達の作戦を覚えているか?」
迅「俺はそこ迄馬鹿じゃない。覚えている。」
清志「じゃあ死んだ人達の歩いた場所を歩こう。」
迅「そうか・・・。作戦事態はまだ生きているのか。」
清志「あぁ。だが一つの問題も同じだ。不発の地雷があれば・・・。」
迅と清志は迷った。行くべきか、別の方法を考えるか。だがいくら考えても、これを超える方法なんて思いつかなかった。
迅「行くしかない。」
清志「あぁ。そうだな行こう!」
ゆっくり着実に進んで行った。
迅「大丈夫だ。今の所は。」
清志「あっ・・・あぁ。」
清志の目の前には、もうドアがあった。そのままジャンプすれば届く範囲だった。遅れている迅を見た。喜んでいる様な顔をしていた。
清志「やった!やったぞーーー!!」
だがまだ油断は出来ない。ドアの前にも地雷があるかもしれない。恐る恐る歩き、ドアの前の地面を踏んだ。何も無かった。何度足踏みしても、爆発しなかった。清志は歓喜の声を上げた。迅も涙を流し喜んだ。
清志「良かった!良かった!!」
清志はドアに頭を擦り付けた。そして、ドアノブに手を掛けた。
清志「あっ・・・あれ?あれれ?ドアノブが無い?じゃあ何処かへっこんでいて、そこを押しながらとか・・・。」
やっぱり無かった。いくら探しても無かった。
迅「どうした?清志!ん?」
その時妙な音を耳にした。その音は聞こえるか聞こえないかというぐらい、凄く小さな音だった。
迅「何だ?」
最初は気のせい?かと思ったが、絶対何か音がしていた。
迅「何か音がしねぇか?」
清志「何が?何の音だ?」
迅「そんなのわかんねぇよ。」
清志はドアノブを探すのに必死だった。にしても明らかに音がしていた。
迅(何だよ。この音。耳障りだな。)
キョロキョロと周りを見たが、音を出しそうな物なんてTVを除いて無かった。
清志「無いぞ?何も。押しても開らかねぇし。どうなってんだ?」
清志はドアの開け方、迅は音の音源を調べた。どれも見つからなかった。
迅「イラつく!何だよ!この音!」
もう一回よく音を聞いた。音のする方を見た。
迅「え?」
音のしていたのは、清志の居た所からだった。