第17話 友達
柊花「うっ!」
両手を口を抑え、涙を流した。
雅人「くそっ!!」
雅人は目を抑えた。さっき徹也から出た血が、雅人の目の中に入ったようだ。
雅人「あがぁ!見えない!!」
雅人は兼子の服を掴もうとした。兼子は雅人を無視して
兼子「行くわよ!」
柊花「え?」
零「うぅ!」
ダッシュした。雅人は後ろに引き摺り込まれて行った。
雅人「誰かぁぁぁぁぁー!!!!!!!あがぁぁぁぁ!!!」
チェーンソーで肉が千切られていく音が聞こえた。目の前が真面に見えない程、涙が溜まってきた。後ろをもう振り返りたくなかった。今度は零に異変が起こった。
零「もうイヤイヤイヤイヤイヤ!!嫌ぁぁぁ!!!」
零の走るスピードが遅くなって来ていた。柊花は零の手を握り締め様とした。が逆に兼子に柊花は手を握られた。
兼子「行きましょう!」
柊花「嫌!誰も!もう死なせたく・・・。」
後ろの方でぐちゃぐちゃという音がした。下を向いた。涙が次から次へと零れていった。音の理由は見なくとも直ぐにわかった。
柊花(もう嫌だ!嫌だ!嫌だ!嫌だ!!)
ハッと前を向くと、箱が目の前にあった。タイマーはまだ7分だった。
柊花「長く感じました・・・・・・。」
兼子「そうね。」
柊花「でもたったの3分で人が・・・。」
横では兼子が箱を見ていた。
兼子「何?これ。」
柊花「え?どうしたんですか?」
箱を見た。確かに鍵はあった。後は箱を開ければ・・・そう思い箱に手を掛けようとすると、番号を押すスイッチがあったのだ。
兼子「番号って一体何処にあるのよ!」
兼子が箱を殴った。ガラスは割れなかった。強化ガラスの様だ。部屋中を何度も何度も見渡した。だが何処を見てもタイマーの時間以外、数字の様な物は無かった。
兼子「時間がもう無い!」
探すのに4分掛かった。残り3分柊花はある事に気付いた。
柊花「首輪・・・。」
兼子「え?」
柊花「首輪はどうですか?」
柊花は兼子の首輪をよーっく見た。首輪に小さく、543と書いてあった。
兼子「貴方の数字は?」
柊花の首輪には0123と書いてあった。
兼子「これよ!」
2人はそれぞれの数字を打ち込んだ。ブーッと鳴った。
柊花「何が違うの?」
兼子「私と貴方のが違うのかも。私の首輪の数字が貴方ので、貴方の数字が私のかも。」
打ち直した。柊花は543で箱が開いた。
柊花「やった!」
これで首輪を外す事が出来た。柊花は笑顔で兼子を見たが、兼子はまた違っていたらしかった。
兼子「え?何で?何でなの?」
柊花「まさか・・・・・・。」
2人は後ろを見た。あの3人の誰かが兼子の数字を・・・。でももう時間が無い。今タイマーは1分丁度だった。
柊花「私の鍵なら!」
兼子「無理よ!この箱に一つ一つ入ってるという事は、1人1人鍵が違うという事じゃないの?」
柊花「そんなぁ・・・。じゃあ私が!」
兼子は足を曲げて泣く柊花の肩に、手を置いた。
兼子「もう良いの。貴方は生き残りなさい。」
柊花「皆・・・皆私に悪口言ってたのに、貴方はどうして今優しくしてくれるんですか?」
兼子「私もね。貴方と同じ犯罪者の娘なの。本名は秋本 恵子。」
柊花「秋本?」
恵子「あら?あまりニュース見ないのね。この前CHG関係無く死刑された犯罪者よ。」
柊花「そうだったんですか・・・。」
恵子も足を曲げて座った。
恵子「私も貴方の気持ちがわかるわ。というより唯親がCHG参加したか、してないかというだけの違いで、それ以外は全く同じなのよ。わかない筈が無いわ。」
柊花「そうですか。」
初めて他人と話して、嬉しいという感情が湧いて来た。また涙が出てきた。
恵子「貴方って泣き虫ね。」
柊花「父さんが言うには、母さんに似たって・・・。」
恵子は柊花の頭を撫でて
恵子「もうそろそろ時間ね。」
タイマーを見ると残り10秒だった。柊花は恵子の服を握り締め、大泣きしながら
柊花「嫌だ!!折角初めて友達が出来たのに・・・・・・。直ぐにいなくなっちゃうなんて・・・・・・。」
恵子「私も初めて友達が出来たわ。」
3。
恵子「じゃあね。」
2。
恵子「柊花ちゃん。」
1。
柊花「駄目ぇぇぇぇぇ!!!!!!!」
0。向こう側の機械がさっきより早く動く音がした。最初は柊花の首輪が引っ張られて行った。
恵子「バイバイ。」
柊花「恵子さんー!!!!!」
そのまま恵子は引っ張られていった。
恵子「ぐっ!はっ!!」
恵子の体は他の皆と同じ、真っ二つに切れた。殺され方、死んだ後の体の状態は他の3人と全く一緒だったが、一つだけ違う所があった。それは・・・
柊花「恵子さん・・・・・・・・・。最後まで・・・笑顔で・・・。」
この世への未練が全て無くなり、嬉しかったのだろうか。唯柊花にはこう見えた。友達を沢山作ってね・・・と。ドアがガチャと開く音がした。酔っ払った人の様に、千鳥足でドアに向かった。その最中何度か転けたが、もう後ろを振り向く事無く、真っ直ぐ・・・唯生き残る為、唯それだけの為に振り向かずに、ドアに歩いていった。その間ずっと恵子さん、恵子さんと呟きながら、部屋に帰った。