第13話 1VS1
目が覚めTVを点けた。ニュースを見ると明るくなっていた。そして、時間を見て朝だという事がわかった。
迅(昨日目の前で1人死んだ。海南斗が言うには、俺達以外の奴等全員あんなゲームをさせられてんだよな。一体何人の人が死んだんだ?)
放送が流れた。
放送「おはようございます。皆様。今から残り人数の数字をTVに出します。」
TVの画面が勝手に変わった。
TV「残り25億2501万0312人。」
と書いてあった。計算すると、約6億人が死んだという事になる。たった1つのゲームでここ迄死ぬなんて・・・。次は一体どんなゲームが・・・。とにかくチャイムが鳴る迄セルフサービスで食べ物でも注文して、一休みしようと迅は思った。電話を手に取って
迅「スクランブルエッグと、牛乳・・・。」
電話を切った。10分ぐらいで届いた。スプーンを取ってスクランブルエッグを食べた。ピンポーンと、インターホンが鳴った。ドアを開けると、市香と清志が居た。
迅「?何だ?」
清志「いや。昨日の事について話そうと思ってな。」
2人は中に入り、椅子に座った。
清志「お前は自分が生き残る為なら、人を殺すのか?」
迅「はぁ?」
市香「昨日辰馬っていう人を・・・殺すと言ったら違うかもしれないけど、結果的に迅さんが生き残って、辰馬さん死んでしまったじゃないですか・・・。」
迅は何も言えなかった。確かに辰馬を殺したのは、この糞ったれなゲームの所為なのだが、迅が負ければ辰馬は生きていた。ほぼ迅が殺したのと一緒だ。
清志「俺達は昨日あの後話し合って決めた。」
迅「何をだ?」
清志「誰も死なずにゲームを攻略すると。」
迅「はぁ!?」
清志の言った事が信じられなかった。こんなゲーム絶対誰か死ぬ。絶対俺達の目の前で誰か死ぬと思った。
市香「昨日はまだルールとかあまり知らなかったから仕方がなかったけど、もう誰も死なせたくないの。だから迅さんも・・・。」
迅「そんな事出来るのか?こんな殺人ゲームで・・・。」
清志「出来る。出来る筈だ。だから協力してくれるか?」
絶対不可能だと思ったが、自分の手でもう誰も死なせたくなかった。
迅「わかった・・・。」
そう返事した。そんな時チャイムが鳴った。
チャイム「それでは皆様。お部屋に戻って下さい。」
迅「糞!朝早すぎるだろ!」
市香「とにかく迅さん出来るだけ!死人を出さないで下さい!」
清志「頼んだぞ!」
迅(そんな・・・無茶な・・・。)
そう思いつつ、TVを見た。そこには自分を除けると、1人しか名前がなかった。
迅「え?2人だけ?斎藤・・・孝良?(サイトウ タカヨシ)」
とにかく移動部屋に行き番号を押して、その部屋に向かった。
迅(どんなゲームをするんだ?)
ドアが開き少し前に行くと、急に後ろから口を塞がれた。
迅「んん!ん・・・。」
その内眠ってしまった。目が覚めると、謎の部屋に居て、足には鎖が繋がれていた。
迅「何だよ・・・・・・これ。」
前を見ると真ん中に円錐型の針が無数に付いている横棒があった。近付くともう1人寝ていた。周り込んでその人を起こした。
迅「貴方が斎藤孝良ですか?」
少し目が開いた。手を床に突き立ち上がった。
孝良「何処だ?此処は。」
迅「わかりません。」
するとTVが点いた。
TV「お二方おはようございます。今回は生中継でお送りします。どうぞ初期位置にお戻り下さい迅様。」
迅「何だ?」
言われた通り部屋の端に戻った。
TV「今回のゲームは、回転針ゲームです。ではルールを説明をします。今2人の足を繋いでおります鎖は、長さ6mです。10分毎に1mずつ真ん中に引き摺られます。」
迅「真ん中って・・・・・・。」
孝良「あの針地獄にか?」
TV「はい。そしてその針は・・・。」
すると、真ん中の棒が回り出した。
TV「見てお分かりの様に回転します。つまり足とか手等、体の何処かが刺さればどんどん巻き込まれ、体を突き刺すという仕組みになっております。そして2人が助かるには、2人の内誰かを殺さなくてはいけません。」
孝良と迅は目を合わせた。
TV「時間は先程申した通り60分です。それではスタート。」
TVの電源が切れた。
迅「おい・・・。マジかよ・・・。」
その時あの2人の言葉を思い出した。
市香「もう誰も死なせたくないの・・・。」
清志「出来る!出来る筈だ!協力すれば!」
そして、現実の世界に戻った。
迅「無理だろ・・・。こんなの・・・・・・。誰も死なずに何て・・・・・・・・・。」
絶望しかなかった。孝良という人を殺さなくてはいけない・・・。ふと気付くと孝良が目の前に来ていた。
迅「なっ!」
孝良の握り拳がこちらに向かって来た。ガシッと受け止めた。
迅「ちょっと待て!」
孝良「早く終わらせねぇと2人共死ぬんだよ!!だったらお前が死んで、俺は生き残ってやる!!」
腹を思いっきり蹴られた。
迅「がはっ!!」
腹を抑えて転んだ。
迅「ぐっ・・・お前・・・。」
迅は足を震わしながら立ち上がった。
迅「話を聞け・・・。」
凄まじい勢いで、孝良の足が顔に近付いた。蹴りをしゃがんで避けた。