第11話 延長戦
何時も2000文字以上で出すと決めたんですが、今回は1700文字程で出す事にしました。毎回文字数が少なくてすみませんm(_ _)m
9回戦目辰馬が箱に手を入れた。迷った表情をしながら
辰馬「2。」
引いたのは④。これで迅の④は無くなった。後は③が頼りだ。迅は両手を強く握り締めて
迅(頼む・・・。③最後まで残ってくれ!)
魁斗外れ1。比留間当たり2。春華外れ2。敏信外れ5。美郷外れ2。清志外れ4。市香当たり1。そして迅は外れで・・・・・・4だった。
迅「はっ・・・やっ・・・た。」
ホッと胸を撫で下ろした。助かった・・・。これで春華と同じになった。今回の最下位者は春華と美郷の2人だった。
迅「やったやったやった。」
小声で喜びの声を出した。このまま行けばいけるかも、と思った。そして最後の10回戦目が始まった。これで死ぬか生きるかが懸かっている。ここで敗ける訳にはいかない。絶対勝つ!勝ってやる!と心の中で叫んだ。早く終わらせて、何時もの生活に絶対戻ってやる!!辰馬が箱の中に手を突っ込んだ。
辰馬「3。」
引いたのは1。
魁斗「5。」
引いたのは3。箱の中を漁る音は最初とかなり変わっていた。最初はガサガサと音がしたが、今となっては手が箱の底に当たる音がするだけである。それ程箱の中の紙が無くなってきたという事だ。魁斗が引いた事によって残りは7枚。③と書かれた唯の紙切れ1枚が全ての鍵を握っている。
比留間「1。」
引いたのは4。
迅(まだ大丈夫だ。)
春華「3。」
引いたのは・・・3だった。
迅(嘘・・・だろ・・・。しかもあの3は・・・。)
3は3でも、③の3だった。これで迅の仕掛けた紙は無くなった。今の迅の心境は絶望しか無かった。負けという単語だけが頭の中に残り、他の感情や思想は全て無くなった。そんな気がした。良くてもまたこの戦いを3回・・・嫌だ。吐き気がしてきた。この後の自分の姿が想像出来ない。手足を捥ぎ取られるのか、頭を撃ち抜かれるのか、首を切るのか、どちらにしよ生きるという考えが無かった。
市香「迅・・・さん?」
そっと迅の肩に手を置いた。ビクッとした。
市香「次迅さんですよ。」
迅「え?あっあぁ。わかった。」
敏信当たり4。美郷当たり3。清志外れ5。市香外れ4だった。頭の中が混乱している間に早くも自分の番が来た様だ。
迅「2。」
引いたのは2だった。良かった。ホッとした。しかしまだ終わらない。延長戦がある。まだ油断が出来ない。全員が引き終わり、1時間の休息が与えられた。
清志「おい。大丈夫か?迅。」
迅「あ?あぁ大丈夫だ。」
市香「次の戦いは迅さんと、春華という人の戦いですよね。」
清志「そうなるな。最初の説明からすると。」
市香が先程まで戦っていた所を見て
市香「じゃあどうして辰馬っていう人が彼処に座っているんですか?」
2人は市香が見ている方を見た。清志が手下の方に歩いて行った。
清志「なぁ次の延長戦は迅と、春華とかいう女だよな。なのにどうして彼奴が彼処に座っているんだ?」
手下「両方の賛成を貰うと参加者を変える事が出来ます。」
清志「それは言ってなかっただろ?」
手下「はい。しかし説明には、負けた者がするとも言っていませんでした。基本確かに参加するのは最下位ですが、最下位が2人居れば2人が延長戦を行います。しかしその2人は最下位者じゃなくても良いという事です。」
頭を掻きながら
清志「頭が混乱してきた。簡単に言うと最下位者以外が、延長戦に参加出来るという事だな?」
手下「はい。そういう事です。」
清志は2人の元に戻り、この話の事を説明した。迅も最初は頭が混乱した様だったが、直ぐに理解が出来た。
迅「まぁこの戦いはそのまま俺が行く。」
迅は立ち上がり先程まで座っていた戦いの場所にまた座った。迅は辰馬に当然の事を聞いた。
迅「なぁ。どうしてお前が参加する必要があるんだ?折角生還出来たのによぉ。」
辰馬「お前の所為で、あの計画は失敗してしまったからな。この落とし前は俺がつけなぇと、気がすまねぇからな。」
迅「成る程ねぇ。でもここでお前が死ねば意味無いんじゃねぇか?」
辰馬「あの戦いを見て、お前は今かなり運が悪いだろ。」
何も言えなかった。その事は自分がよく知っていた。
辰馬「そんな奴に俺が負ける訳ねぇだよ。」
迅「後悔するぞ?」
辰馬「しねぇよ。」
そういった会話をしているうちに、休息時間は終わった。延長戦では手下が1〜5までの紙を30枚入れて、箱を振って置いた。つまり今回はガチの運勝負という事。ズルも何も出来ない。
迅(俺が勝つ!)
延長1回戦目が始まった。