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メガネさんは家出をしました。

遅くなりました!

第7話です。

短すぎて申し訳ない。。。

7話 - メガネさんは家出をしました。


いつからメガネが完成していると錯覚していた。。。?


いや、昨晩、あの細い弦を嫌味が出ない程度のデザインを施し、一通りの完成を果たしたはずだ。


そのままテーブルの上に置いたまま、突っ伏して寝てしまっていたわけだが。。。


今、目の前にメガネはない。


「あれええええええ?」


寝ぼけて弾き飛ばしてしまったのかと、テーブルの下や椅子の下なんかも見てみるがやはり見当たらない。


「おい、声だけお化け。いるか?」

『くすくすっ。いませんよー』

「いるじゃないか。昨日作ったメガネがどこに行ったか知らないか?」

『くすくす。この辺にはないねー。』

「。。。この辺には?」

『くすくすっ。この街にはあるみたいだねー。』


「おい、レンズ!いるか!!!」


声だけお化けと話していると、シェレスさんが扉を蹴飛ばす勢いで作業部屋に飛び込んできた。


そんなに慌ててどうしたのさ。


「ここにいますよー。どうしたんすか、そんなに慌てて」


あくまでのほほんと。メガネがなくなったのを悟られないように対応をする。


「お前のメガネ、多分、盗まれているぞ」

「な、なんだってー!?」


盗まれてたのか。。。そりゃ部屋探してもないはずだ。


「今日朝一で、レイラさまの所にとある工房から申し出があったらしい。なんでも「事務仕事をする際に目を保護するものを開発した。」と。」

「それが俺の作ったものだと。。。?」

「うむ。話を受けた執事が大まかな形状と性能を聞いたら形状はあのとき選んだメガネのフレームそのもの、効果はいまいちよくわからないということで技師に聞いてくると帰ったそうだ」

「。。。。ほー」


鑑定アイテムかなんかで効果なんてのはわかると思うんだけどなぁ。

盗んでからそんなに時間が立ってないからやってる暇なかったのかね。


「時にシェレスさん。その工房ってのはもしやここのライバル的な存在だったり?」

「いや、その工房はヘイムワトル工房というのだが、この街での実力は3位と言ったところか。」

「へぇ。。。」

「いろいろとあくどい噂がある工房ではある。他の工房の技師を強引に拉致してデザインをさせるとか、今回みたいに作品を盗み出したり、とな。今回みたいに格上の工房にまで手を出してくるとは思わなかったが。」

「あぁ、最初から真っ黒なんですね。。。で、今回はどうなるんでしょう?」

「先ほどレイラさまからこの話を聞いたときにその工房に行って直訴してきたが、うちが独自に開発したものだ、うちが起源だ元祖だと突っぱねられてな。」


なんということでしょう。

異世界に来てまでそのフレーズを聞くとは思いもしなかった。


どうしたもんかなぁ。


----


「あれがないだと!?」


目の前の男が大声を上げ、椅子を蹴飛ばす。

どこから拾ってきたのか盗んできたのかしらないが、持ってきて俺らに調査を命じていたものが、ちょっと席を外していた間になくなっていた。


「まずいまずいまずい。明日には領主様に献上しなくてはならないのに。。。おい、おまえら、あれと同じものを明日までに作り上げろ」


んな無茶な。

形状は真似したものが作れるとはおもうが、あの薄さの水晶への加工は無理だ。

どのようにやったのかすら検討もつかない。

そしてこの付与された効果。

いくつか付いているのだけはわかるが、遠近調整しかわからなかった。

これと同じものを一晩で作り上げろとか無理もいいところだ。


しっかしさっきまで机の上に置いてあった物が10分も席を外していないうちになくなるとは。。。


----


「ふむぅ。。。」


メガネが盗まれた騒ぎの後シェレスさんはまたレイラさまの所に戻っていった。

そして俺は。。。


「おう、にいちゃん。いい食いっぷりだね!」


えぇ、屋台で食事をしています。

考えててもしょうがないしね。

別に期限を決められているわけでもないからもう一回作ればいいや。と考えたらそんなに重い事態でもない。

それよか今はこの目の前にある肉串だよ。肉串。


鳥もも肉っぽいのを唐揚げにしたものを串に刺してある。

いや、うまいわ。これ。

きちんと油も切ってあって、肉汁だけが口の中にあふれ出す。

熱々の肉汁が口の中を蹂躙した後、衣のスパイスが口の中に広がる。

そしてその二つが混ざるとこれがまた絶品の味わい。

咀嚼を繰り返し、喉を通る頃には口の中にはハーブっぽい清涼感だけが残り、油っぽさが消える。

いくらでも食べられるな。


屋台のおっちゃんが揚げる。

俺が食う。

以上ループ。


「そんなに気に入ったのか?にーちゃんよ。すごい量食べてるな。」

「えぇ、ほんとに美味しいですし、これ」

「そうかそうか。アルファミラは満腹亭名物の唐揚げ串。たんと食え!」


おっちゃんが大きな声で言ってくるが、それ、宣伝含めてるだろう。

まぁうまいのはたしかだから文句はないけどね。


なお、アルファミラに行くと、この唐揚げにご飯を合わせた定食が食えるとのこと。

やべぇ、超いきてぇ

卵かけご飯とかと合わせると箸が進みそうだ。久しぶりに食べてぇなぁ。


遠い目をして空を見上げていると、視界のはじに小さな子供達がこちらを隠れて見ているのを見つけた。

服がボロボロだから定番のスラムとかの子かな?それとも孤児院の子かな?


子供達に背中を向け、目を合わせないようにして後ろ手で手招きをし、近づいてきたところに持っていた肉串を腰の後ろあたりに2本差し出す。

恐る恐るといった感じでその串を受け取って早足で去っていく足音を聞く。


偽善だなぁ。

全部の子が救えるわけでもないのに。


決して一人が将来有望そうな可愛い子だったからじゃないよ!!


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