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プロローグ

転移!<トリップ>シリーズの第二部です。

前作を読んでいただけるとなお美味しくいただけます。

http://ncode.syosetu.com/n5599cc/

こちらもどうぞっ


1話 - プロローグ


まったく。邦靖さんはどこでこういうものを手に入れてくるのか。


飲み会が終わって帰宅し、仕事が忙しくて全然片付いていない部屋のベッドに避難しポケットの中に仕舞われていたものを取り出して眺める。

半ばブラックと化している職場での、一区切りでの打ち上げの最中に渡されたのは異世界行きとかいう往復券。


定期くらいのサイズのもので、これに名前を書いて血を着けると行けるというもの。


酒の席で渡されたから冗談の代物かと思いだろう?

俺もそうだと思っている。

でも本物だったら面白いよな。

設定も凝ってるし日数決めていけるってのが面白いよな。


よくある小説のような勇者っぽいのとか冒険活劇みたいなのは俺には似合わないだろうけどさ。

でも犬耳娘とか狐耳娘とかいたらもふもふしたいな。もふもふ。


なんてことを妄想してたら酔いのせいか、いつのまにか寝ていたらしい。

携帯のアラームがなっているので起きて身支度をして毎日乗っているバイクで職場へ向かう。


今日も一日憂鬱だな。

仕事したくないでござる。


「おはようございます」


まだ出社してきている人がまばらの仕事場で挨拶をする。

PCを立ち上げ、社内メッセンジャーを立ち上げ、仕事の準備は完了。


メールの確認をしたり今日の仕事の内容の確認をしていると邦靖さんからメッセージが飛んできた。


10:00/『おはようー。あれ、使わなかったの?』

10:01/『おはようっすー。使ってないっすよー』

10:01/『植原さんのことだからさっそく使ってると思ったのに(笑)』

10:01/『なんすか、それ(笑)』

10:02/『せっかくだから行ってくればいいのに(笑)どうせ有給溜まってるんでしょう?』

10:02/『そーっすけどねぇ。つかこれ本物なんすか?』

10:02/『本物なんじゃねーの?わしも酔った状態で適当にネットしてたら勝手に送られてきた奴だしよう知らん』

10:03/『送られてきたってまた手のこんだいたずらっすねぇ』

10:04/『だよな。もし本物ならわしが行きたいくらいだ(笑)嫁と子供がいなければ。。。くっ』

10:05/『別に行ってきてもいいのよ?』

10:06/『その役目は植原さんにまかせるわー。さて、仕事仕事。またにー』

10:06/『ういー』

----切断されました----


その後は普通に仕事をこなし区切りのいいところでPCから目を離し、背伸びをする。

昼じゃないのに昼休み。

ここのところいつもこんな感じ。


まだ食堂間に合うかな。。。?


ギリギリまにあった食堂で日替わり定食を受け取り、いつもの窓際の席に座る。

俺の特等席。


スプーンであんかけ丼を食べながら例の券を眺める。


これどうなんだろうなぁ。。。

本物だったらどうすんだ?俺。


試すにしても先にまず有給申請だよなぁ。

有給自体は二週間分くらい溜まっているけど、取れるんか?俺。


取れれば土日あわせて約3週間。

有給申請だけでもしてみますか。


----


取れちゃった。

しかもフルで。

今週金曜日まで出ればそこから三週間休み。

いない間の引継ぎはそれまでの二日で終わらせなきゃいけないんだが!


このクソ忙しいときに有給取るなんて、明日から会社来なくていいよ、といわれてもおかしくはないのに。

なぜか気持ち悪いくらい部長の機嫌がよかった。


まぁ触らないで置こう。薮蛇になってもイヤだしね。


この券がジョークだったとしても取れた休みは変わらないし、どっか旅行でも行こうかな。

あー、この時期の京都とかもいいよな。

雪の醍醐寺とか。

金閣、銀閣もいいけどなー。


だからといって、異世界で楽しむといった線も捨てがたい。

休みが取れたからには本物であることを願う。


まずは帰りに本屋に行って参考書(ラノベ)でも買いますかー。


----


仕事の引継ぎも順調。

珍しく昼に昼休みが取れたので邦靖さんを誘ってご飯。


「休み取れたみたいだね。おめでとう」

「あざーす」

「で、どーするの?あれ、試すの?」

「試してみるつもりっす。そのために参考書も買いましたし!」


食堂でご飯を食べながら買った参考書をテーブルの上に取り出す。


【美女と眼鏡は異世界でも合いますか?】

【眼鏡をかけた美人宰相さまに毎日お仕置きされている件】

【眼鏡の成り立ち、構造、仕組み】


どやぁ。


「。。。なんでそこまで眼鏡に執着が持てるのかが不思議でならない」

「なんでですか。眼鏡かけてる子いいじゃないですか」

「まぁそこに異論はない。だがなぜそれを参考書に選んだ。」

「眼鏡が大事だからです。向こう(異世界)行って眼鏡がなかったら絶望じゃないですか」

「まぁそれで植原さんが満足なら別にいいんだが。。。」


そのだめな子を見るような目はやめてええええええ

でもさ。

ケモミミとかエルフとかに眼鏡かけてもらいたいじゃん。

主に綺麗な子に。

あ、可愛い子でもありです。


----


引継ぎも終わり、金曜日の夜。

邦靖さんに連れられちょっとお高い夕食へ。

ごちになりやす。


「で、当然今日帰ったらやるんだよな!」

「やるだけはやってみますよー。まぁジョークグッズだったとしても十分妄想で堪能できたし、いいっすけどねー」

「いやいや。そこはほら、気合いで行くしかなかろう」

「気合いって」


気合いでいけるものなのか、異世界。


「ま、有給楽しんできなされ。土産話期待しとるでな」

「はいな。雪の京都の写真とかいっぱい撮ってきますよー」

「そこは異世界の話っていうもんだろー」


二人して笑いながら酒をのみ、いい感じの酔いになってから自宅の方へ向かう。

だいぶ飲んだからバイクは仕事場の駐輪場に置きっぱなし。

飲んだらダメ!


川の上の橋を通っていると海風が火照った顔に冷たくて気持ちいい。

立ち止まって橋の手すりによっかかり、風で身体の酔いを醒ましていく。


気持ちいいなぁ。

でも身体冷えたからか、トイレに行きたい!!!


目の前にあるコンビニへダッシュし、かろうじてセーフ。

せっかく冷たい風に当たっていい感じだったのに走ったから余計に酔いが。うぷっ。


コンビニを出て車通りの多い道の歩道を通り、ゆっくり自宅へ向かう。

最中、無謀運転をしている弄った車が突っ込んできそうになったので慌てて避けて転んだくらいでおおむね無事に家へ到着。


玄関の鍵をしめ、明かりを消し、部屋へ向かう途中にある居間へ顔をだす。


「あら、(むつみ)。帰ったの?」

「うい。明日から有給取れたからしばらく旅行行ってくる。」

「あら。どこ行くの?いいわねぇ」

「まぁなんかお土産買ってくるよ。楽しみにしててー」


酔った頭でフラフラになりながら階段を登り、今日も片付いていない部屋のベッドの上に避難し、スーツを脱ぐ。

ポケットに入れっぱなしだった例の券を取り出し、机の上におく。


なぜか淡く光っているが。


「え、なにこれ」


券の押印欄にはすでに血がついている。

これが原因か。

でもなんで血が。

あぁ、さっき転んだときに手を擦りむいていたんだな。

なんたることだ。


。。。。。ちょっとまて!

本物なのか、これ!!!!!


ってそんなことしてる場合じゃねぇ!

えっと、向こうに持っていくにはこれとこれとこれと。。。


あぁもう!準備もなにもしてねぇよ!!

適当に手に持てるものだけ持って。。。


ちくしょう、どんどん光が強くなってやがる。

なんだよ、タイムアウトとかあるのか?


点滅をし始めた券を持ち、慌てふためいていると、ふと引っかかった。


「あ、転移(トリップ)って言わないかぎり発動しないんじゃなかったっけえええええええええええええええええええええ」


呟きでキーワードを言ってしまった瞬間、券から出ていた光は部屋を埋め尽くし、落ち着いたときには相変わらず散らかった部屋のみだった。


いかがでしたでしょうか。

ちなみに作者はメガネ以外にポニーテールが必須です(聞いてない

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