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儺(おにやらい)【追い払いさえすれば関係ない】

 今しがたまで王とともに争いの世界にいたはずのわたしは、突然、南の島の浜辺にいることに驚いた。思ったことが現実となる世界にいたため無意識にここへきたのか、それとも王が移動させてくれたのか……。

 周りに人の気配はなく、視界いっぱいに広がる水平線と、冴えわたった青空の広がる浜辺には、おだやかな波が打ち寄せ、汐風が心地よくそよぐ。

 見知らぬ場所のはずなのに、どこかで見た懐かしい景色は、かつて思い描いていた誰もいない浜辺そのもの……。

 ふり返ると南国風景によく似合う小屋があり、誰もいない家の中にはハンモックが小さく揺れている。

 小屋に入ってハンモックに体をあずけると、浮揚感がなんとも心地いい。

 ……ここが、どこでも……いいや……。

 一日の疲れも手伝い、わたしは大きなあくびをして深い眠りに落ちこんでいく。


 彼と王は争いの世界から離れ、緑豊かな世界へと移動していた。

 高く晴れわたる青空にはひつじ雲が浮かび、小鳥のさえずりが聞こえ、ときおり吹く風が木の葉を優しくざわめかせ、岩のすき間を流れる小川のせせらぎが心地いい。

 涼しい木陰の下、青々と輝く草の上に座る二人は竹筒に汲み上げた清流でノドを潤す。

「さて、何から話したものか……」

 口元を拭いながら王が話し始める。数億年にわたる話だ。昔語りにしては長い。

「順を追って話そう、それが分りやすいのでな……まず、かつてオマエを含めた吾々は、物理的な世界に生まれたばかりの生き物を吾らの望む種族へと進化させようとしていた」

「なぜ、そのようなことを?」

「結論を先に言えば、現在のような文明を築けるほどの人間を始めとする動物、植物たちをつくりたかった。でなければ、吾々は滅ぶ運命にあった」

「滅ぶ? 吾もか」

「当然だ」

 言い切る王に、彼は少なからず動揺する。永遠の時を生き続け、これからも滅ぶことはないと考えていたが、そうでないとは……滅びへの不安ではなく滅びることのできる安堵にも似た思いに、動揺していた。

「なぜ滅びから逃れるには、人間が必要であったのか?」

 詰め寄る彼に王はあきれる。

「だから順を追って話そうと言っている。今さらあせる必要もあるまい」

「そうであったな、すまぬ」

 彼は座り直し、王もまた楽な姿勢をとる。

「吾々は、生命の種とも呼べる生まれたばかりのタンパク質を、自然から切り離して育てるため『ドーム』と呼ぶ場所をつくった。そこでは自然界で起こる何倍もの速さで進化を進め、単細胞生物から多細胞生物……やがて、は虫類からほ乳類が台頭し、人間の祖先を生み出した……もちろん簡単に言ってはいるが、相当の時間を費やしてのことだ。

 人間の祖先が生まれ、計画は成功したも同然だったが、その時、思いもよらん事故が起きた……」

 王は表情を曇らせる。

「ドームをつくっていた場所に隕石が衝突し、生き物を育てていた大地が崩壊する事態を招いた。吾々は力を合わせて守ったが手に負えず、崩壊に巻きこまれ四人が消滅してしまった」

「消滅した?」

「そうだ。人間であれば、死ねば吾々と同じ意思のみとなるが、意思のみである吾々が滅びれば、消滅するほかない」

「なぜだ? 巻きこまれたところで物理的な影響は受けないはずだ」

「確かに。だが崩壊の渦中で消滅のイメージにおちいった……意思のみであるからこそ、自らイメージした状態へと変化したわけだ」

「自らのイメージによって消滅するだと、吾らとはそれほど脆いものなのか? 吾とてそれは同じか?」

「そうだ。だが、オマエが脆いかどうかは話が別だ。崩壊の中で唯一消滅せず、誕生したばかりの人類の祖先や多くの生き物をドームから救い出したのだからな」

「吾が!?」

 彼は大きく目を見開く。

「その後、このまま滅びを受け入れようとするものや、もう一度ドームをつくろうと言うもの、うろたえるばかりで話にならんものとが集まったが、話はまとまらなかった。

 そこへオマエは救い出した人類の祖先を連れ出し、最初からやり直すのではなく、すでに誕生していた生き物を元の場所に移して育てようと提案した……それならば時間も短縮できる。

 吾々が希望を取り戻しかけた時、事態は急転直下した。あろうことか、ドームをつくっていた場所が隕石の衝突で軌道を変え……いや待て、話がややこしい。まずはっきりさせよう。ドームをつくっていた場所とは月だ」

「月?」

「そうだ。地球の生き物に最も影響しない場所として、月面は打ってつけであろう」

「なるほど。ならば隕石が衝突した月が軌道を変え始めたと?」

「それも、地球と衝突しどちらも崩壊を招くという最悪の軌道をな」

「地球と……しかし、現実に崩壊はしていない。衝突は回避できたのだろう?」

「まあな……だが……」

 王は額に手を当てて、フフッと笑う。

「……だが、きっかけを話せばわずかでも記憶が戻るかとも期待していたが、その様子ではまったく思い出せんようだな」

「期待に沿えず、すまぬ」

「いや、勝手に期待していたのは吾だ。続きを話そう……その事態に吾らの中で唯一動いたものがいた。そやつは吾に人類の祖先を託して崩壊を回避する方法を考え……そして見つけた」

 彼は身を乗り出す。

「方法は一つ。地球に衝突する前に、月に別のものをぶつけてさらに軌道を変えてやればいい。それが可能となるものとはなんだと思う?」

 問いかけに彼は首をひねる。

「別の、隕石か?」

「いいや」

 王がニヤリと笑うと、それまで青く晴れわたっていた空が暗闇に包まれ、巨大な天体が二人を照らし出す。

「…………月?」

「これから話すことはオマエにとって常識外だが、吾は事実を話す……まず、地球に最も近い天体でありながら、月は多くの謎に満ちているが、その代表的なものとはなんだ?」

 王にうながされ、月について思い出す……。


・太陽系内の惑星と衛星の質量比は大きくても一〇〇〇分の一程度だが、地球と月は八〇分の一と極端に大きい。

・表側と裏側の岩石成分に違いがあり『月の二分性』と呼ばれている。

・地球や他の太陽系の天体と比べてナトリウムやカリウムなどの揮発性元素が少ない。

・それでも地球と月の同位体や親鉄元素は非常によく似ている。

・地球から見て裏側の地殻が表側より六〇〇〇~九〇〇〇メートルも厚い。

・表側の海には局地的な重力異常がある。

・月震が起こると極めて長時間揺れ続けるが、原因である地球との潮汐力よりも大きい。

・地球の自転と月の公転、地球対月の角運動量は突出して大きい。

・地球に比べてコアがとても小さい。


「……大まかにはこのくらいだが、成り立ちそのものさえまだ分かっておらぬ状態だ」

「充分だ。では、それはなぜだ?」

「たった今、分からぬと言ったばかりであろう」

「そうではない。なぜ分からないのか分かるか、と聞いている」

「それを知るために、人間は日々解明に取り組んでおる。確かに吾は人間よりはるかに長くを生きているが、記憶や経験はすべて人間の進化・発展とともに積み重ねてきたものだ。基本的な知識や常識は人間とそう変わらぬのだ」

「分からないということは現在、頭上に浮かぶ月そのものがオマエの知るものとは違っているということだ……かつて地球には二つの月があったことを想像できるか?」

「バカな!」

 そんな話はまったくもってまゆつばだ。もし月が二つあり、一つが軌道を変えて地球に衝突するようなことがあれば、もう一つの月もただではすまない。仮に地球ではなくもう一つの月、すなわち二つの月どうしが衝突したとすれば地球に月は一つも存在せず、土星のリングのように細かな残骸が周囲を取り巻いているだろう。こんな話、相手が王でなければ一笑に付すところだ。

「どのような衝突であったか、見るがいい」

 王は目の前に地球と月の映像を浮かばせる……地球の大陸の位置が違うのは当然としても、クレーターがない小さな月と、さらにもう一つ小さな月があった。

「これがかつてできたばかりの地球と二つの月の姿だ。分かりやすいように大きい月をA、小さい月をBとする。

 当時、それぞれの月は地球の自転に対して垂直に三つの歯車が組み合わさって回転しているように自転していたため、安定し、地球の自転も早かった。吾らはこの月Bにドームをつくっていた……そこへ隕石が襲来した」

 ドームをつくっていたのは月Aであり、月Bの質量が覆いかぶさった。現在の月の裏側の地下を調べればドームの残骸と、当時の月の地表を見つけられるはずだ。

 月Bに接近した隕石は、衝突によって激しい爆発と衝撃波を巻き起こす。

「これによって月Bの自転速度が遅くなった。歯車のように同じ速度で回転していた一方の速度が鈍ったのだから、月Bは地球の自転方向に引っぱられ始める」

 自らの破片の大軍を従えながら巨大な残骸となった月B。

 月Aと地球には吹き飛ばされた隕石群が襲いかかり、ほとんど大気のない月Aには燃え尽きない隕石によって次々クレーターができていく。

「このまま月どうしが衝突すればロッシュの限界を超えてどちらも崩壊し、二つの月は地球に落下して地球もそれに匹敵する多大な被害が出されただろう。

 そこでオマエはこう考えた……衝突によって不安定になった軌道を利用して月Bの南北の極を上下逆転させることで逆向きの回転が月Aとの衝突のエネルギーを吸収し、月Bは月Aに覆いかぶさるだけとなり、かぶさりきれない残骸も地球の外に弾き飛ばされると」

 彼は黙って映像を見つめる。

 宇宙を飛び回る塵や隕石よりはるかにゆっくりと、月Bが天地逆になり月Aに衝突したが、天文学的なレベルではあっても、言葉通りその衝撃は覆いかぶさる程度だった。

「月Aの後ろからゆっくりと……ある速度で走るクルマに、同じ方向へ走る少し速いクルマが追突したと考えるがいい。多くの亀裂もあり、脆くなっていたことも衝突のエネルギーを軽減させたことの要因だ。

 しかも完全な直撃ではなく、中心からズレた位置への衝突のため、月Aは崩壊に到るほどの被害は受けなかった」

 いくらゆっくりだったとはいえ、衝突によって月AとBは高熱を発生させ、月Bより先に襲来した残骸でクレーターだらけとなっていた月Aの深いクレーターからは、内部のコア周囲の押し出されたマグマが噴き出して穴をふさぎ、衝突した側は月Bがそのままフタとなり、前後の姿がまるで別のものへと変化していく。

「これが現在の月ができるに至った過程だ。人間は月が一度の形成で完成したと考えているために、多くの疑問が解けずにいる。

 月A、Bは地球と同時に生まれた。ゆえに形成されている物質が似ており、月どうしの二度目の形成の際に発生した高熱によって、太陽系でも珍しい揮発性元素の比率が少ない天体となった。地球と月の質量比が他の惑星と比べて大きいことも、この衝突によって加わった質量が後押ししている。

 月に火山がないにも関わらず海の部分があるのは、この時、噴出したマグマが海をつくった。月の二分性と呼ばれる表側と裏側の主な物質に違いがあるのはこのためであり、裏側の地殻が表側より厚いのは月Bが盛り土となっているためだ。

 かつて月の内部は空洞かと推測されたこともあった……その根拠は地球に比べ月震の振動が長期にわたって観測されたことにあるが、それは月全体を構成する物質の比重が大きさに比べて軽いことに原因があり、空洞でないことは計算上確かめられている。

 重いマグマを噴き出すかわりに衝突で加わった質量は月Bとして完成されていた天体の軽い地表の部分だ。比重は当然軽くなる」

 一気に説明する王に圧倒されたが、彼はその説明にはまだ疑問があることに気づいた。

「再形成されたのはいいとしよう。しかし、なぜ現在、月は地球に対し表側のみを向けているのだ? 衝突した月Bのために盛り上がっている……量を増やしたという裏側を向けるほうが自然ではないのか?」

「説明が足りなかったようだな。一方の側しか見せない状態は天文学的に珍しい現象ではない。月についてだけ簡単な物に例えるのであれば、起き上がりこぼしを知っているな? 月はコアとその周囲のマグマという重りのついた表側、一番重い部分を地球に向けて立ち上がっているのと同じだ。

 表側の海に局地的な重力異常が見られるのも、クレーターの深さによって内包されているマグマの量が違うため重力に違いが生じてしまうからだ」

 彼は腕を組んでうなる。確かにそんな衝突ならば月は消滅せず、多くの謎も説明できる。また、地球に大きな被害はあっても崩壊は免れるだろう。

「そのような事態において、吾がそのような大それたことをしたのか」

 彼の言葉に、王はしばし口を開いたままぼう然とし、爆笑し始めた。

「何を笑う?」

「これほどまでに思い出せんとは、オマエは本当に別のものであると考えねばならんようだな」

「ならば、間違いなく吾が月を動かし地球の崩壊を回避させたと……」

「そうだ。そしてここからが、いよいよオマエの計画の始まりだぞ」

「まだこれが始まりだと?」

「月Bが月Aに計画どおり衝突しなければことは始まらん。ようやく第一段階が成功したに過ぎない。計画はまだ続く。

 ……その前に聞くが、オマエがこれを起こしたのはいつだと思う?」

 そこまでは考えていなかった。ただ王の説明に驚き、圧倒されたばかりだったが……。

「考えられるのは二億五〇〇〇万年前のペルム紀末か、六五〇〇万年前の白亜紀末期だろう」

「その年代の根拠とは?」

「崩壊が避けられたとはいえ、地球にも相当の被害が出たであろう。だとすれば地球規模の絶滅があった時期だと考えたのだ」

「そのとおりだ。月Bが月Aに衝突したのは地球の生き物の約九十八%を絶滅させた史上最大の被害が起きた二億五〇〇〇万年前だ。

 当時の地球はパンゲアという巨大な一つの大陸が存在し大部分が海であったため、ほとんどの残骸は海へ落ちたが、それでも、陸には大きな被害が出た。だがそれだけではこれほどの絶滅は起こらん。そこで最も基本的なことを問いたい。生き物が生存するために必要なこととはなんだと思う?」

「それは、自らを養う食料と水。そして安全な場所が必要であろう」

「もっと根本的なことだ。最も単純に考えてみるがいい、食料や水や場所とはなんだ?」

「なるほど……生存のために最も基礎的なこととは『環境に適応していること』だな」

「そうだ。つまりオマエの計画とは、それまで地球に暮らしていた生き物を絶滅させてでもドームでの守られた環境に適応していた人間が暮らせるように、地球環境を変化させることだ」

「吾がそのような……しかし、あの大絶滅はスーパープルーム……重なった大陸プレートの下層のものが上層からの圧力に耐えかねマントルの底に落ちこんだため、地球の反対側に巨大な上昇流をつくり、その流れがパンゲアを引き裂き、引き裂かれた大陸によって海流や気流が乱されて環境が変化し、その変化に適応できなかったため起こされたものだと言われている」

「ではなぜそのスーパープルームが起きたかだ。まずは衝突後の月Aがどうなったかを話そう。だが、もうただ月と呼ぶことにする。

 当時でさえ月は多少の天体の衝突ではビクともしないほどの質量を持っていたが、この時ばかりはケタが違う。月Bの衝突によって、月もまた自転速度にブレーキがかけられた。それまで地球とは逆回転で安定していたところに、月Bと同じ状態になったというわけだ」

 目の前の映像が月にクローズアップされると、それまでの自転速度がガクンと落ち、地球の自転に引っぱられ始める。

「月と地球は今でも潮の干満に影響を与えるほど密接な関係にあり、当時はそれよりもずいぶん近い距離にあり、より深い関係にあった。そのため地球の自転にも強いブレーキがかけられたというわけだ。

 地球と月が同時に形成されたとする説のネックとなっている四十五億年前の地球の一日の短さだが、現在の月の数と大きさが違い、そもそも自転が逆回転で加速させていたのだから計算が合わんのは当然だな」

「なるほど。概ね合点がいく」

「そして月だが、自転ばかりに目を向けていたところが、公転軌道をも変えられていた。例えるならボールの中に重りを一カ所くっつけて投げたのと同じく、押し出されたマグマによって質量が一方に片寄った月はどんな軌道を描くと思う?」

「極めて不規則な動きをするであろうな」

 王は彼の言葉を聞き、清流でノドを潤した。

「そう……軌道を乱した月に対し、地球はバランスを取り戻そうと単純に物理的な方法を選んだ」

「……地軸移動(ポールシフト)か!?」

「地軸が傾いている惑星は天王星を始め多くあり、そのほとんどは天体どうしの直接衝突によるものとされていて、証拠となる衝突跡も残されている。

 だが地球にはその痕跡がないためポールシフトはなかったとされているが……触れてもいない月に引っ張られ地軸が傾くなど、誰も思わんのだからな」

「いくら地球との距離が近かったとはいえ、月程度の質量ではそれほどの影響は出ぬのではないか?」

「確かにそうだが、これは地球だからこそ起きた特別なことだ。いくつかの条件がそろっていたのだからな。一つは、突然傾いた地球の動きについていけず、海が取り残された」

「……海が取り残された、とは?」

「見るがいい」

 王は皿を出現させて竹筒の水を注ぐ。

「この皿が大地で水が海水だとする。大地が急激に動けば、海は……こうなる」

 素早く皿を動かすと、水は勢いよく飛び散った。

「固体である大地の上に乗る液体の海水はその速度に追いつけなかった……」

「……大洪水が起こったと」

「並みの洪水ではないぞ」

 全地球規模にわたる凄まじい大洪水を想像し、彼の背中に冷たいものが走る。

「その後、急激な大陸移動が始まり、もう一つの大洪水が始まったため、火山活動が活発化を始めた」

「もう一つの大洪水とは?」

 彼の質問に答えず、王は笑って彼の足もとをじっと見つめる。

「足の下……」

 彼は腕を組む。海と同様に地下にも巨大水脈流があり、それが影響したのか? いや、そんなものはないはず……その時、彼は気づいた。足の下、それもはるかな深みに巨大な流体が沸々と渦巻いているではないか……。

「そうだ……」

 彼の表情を見て、王は目の前に、垂直に回転する透明な球の内側にもう一つ球が入った球体を浮かべる。

「これを仮に地球とすると、外側の球が地殻であり、内側の球がコアだ」

 その外側を回っていた月が変則的な動きを始め、それに応呼するように地球の『外側』だけが傾いた。

「地球規模で考えれば、地殻など卵の殻ほどでしかない。大陸移動とはその下にあるマントル、マグマという流体の流れに乗って起こるものだが、この時は地殻とコアを切り離す役目を見事に果たしてくれた。

 内部の重いコアは表面の地殻が回転する向きが少々変わろうとも、慣性の法則に従い、それまでどおり垂直の回転を続ける。わずかな差であっても内外の回転方向の違いによってかき混ぜられたマントルは大きく対流し、火山活動は一気に活発化して急激な大陸移動を招く。これこそがスーパープルームを引き起こした本当の原因だ。

 そして白亜紀後期まで活発に続いた火山活動とはこの内外の回転方向の差によって生じたもの。まさに地球規模の溶岩の大洪水だな」

「……月が軌道を変えるだけで、それほどの影響があろうとは……」

「何を言っている、これもまだ始まりにしかすぎんぞ」

 追い討ちをかけるように王は続ける。

「それまでの大陸は赤道付近に集中しており、太陽に対しほぼ垂直に向いていたおかげで、太陽光が地表に均一に当たり、年間を通して気候の変化が少なかった。

 ところが地軸が傾いたため各地で太陽光を受ける時間に差が生じることになり、それまで地球に暮らす生き物にとって経験のなかった『季節の移り変わり』が生じた。先に確認しただろう、生き物が生きていくには環境に適応しているかどうかだと。

 大絶滅という大きな変化は一つの出来事で起こるわけではなく。環境の変化とは、そこに至るまでの様々な要因が重なって生じるものだ」

「うむ……なるほど。これでヌシの言った影響の二つが分かった。では、残るもう一つ。地球の自転にブレーキがかかった影響とはどんなものだったのだ?」

 王は眉をひそめる。

「確かにすべて話すと言ったが、自転にブレーキがかかり、回転が遅くなると何が起きるのか、オマエも少しは考えてみろ」

「……うむ。まず一日の時間が伸びるのであれば、生き物がそれまで持っておった体内時計が狂い、ホルモンの分泌がおかしくなる。時差ボケの状態がずっと続くであろう」

「それもある。だが問題は大絶滅後に繁栄する生き物に大きく関わってきた」

「のちの?」

「そうだ。自然はある生き物が滅び、それまでに成り立っていた食物連鎖の輪が途切れると、修復するために切れた輪の部分を埋めるようとする。そしてそれは大絶滅後にも起きた。知っていよう? 三畳紀後に地球を支配した地上最大の生き物を」

「恐竜だな」

「そうだ。それまで天敵であった種族が滅んだため、恐竜が爆発的に台頭し、繁栄した。そのまま何も起きなければ地球は人間など入りこむ余地のない惑星となっていただろう」

「つまり何かが起こったということだな?」

「起きなければ六五〇〇万年前に恐竜が滅びることなどない」

「やはり環境の変化に適応できなかったということか。推測されている有力な説は、巨大隕石の衝突によるものであるとされている……それならば、確かに大きな変化だが」

 王は何も言わず、どこかしら自嘲気味に笑った。

「確かに隕石は衝突した。それが恐竜絶滅の原因の一つであることも否定しないが、それ以前から恐竜は徐々に数を減らしていた……オマエはゾウを知っているな?」

「うむ……?」

 いきなりで拍子抜けだが……ゾウは現在、地上最大の生き物であり、理知的で自然を敬うところは彼も気に入っている。

「ではノミはどうだ?」

 ゾウとノミを今ここで問う意味が分からなかったが、彼はうなずく……体長三~五ミリメートルだが、自らの体長の一〇倍、約五〇センチメートル以上ジャンプする驚異的な生き物だ。

「では、両者を高さ二〇メートルの位置から、なんの装備もつけずに落下させるとどうなる?」

「むう……!」

 ゆるやかに落下し、地面に生える草をクッションにして軽やかに着地するノミに対し、ゾウは助からない。

「それがどう関係するのだ?」

「分からんか? なぜノミが助かり、ゾウが助からんのか」

「ある物体が落下した後、スピードが一定になってからはどれほど落ちても落下時の衝撃が変わらなくなる物理的な世界の法則によって、ノミはどれほどの高さから落ちても衝撃が変わらぬからだ。ゾウはその法則には当てはまらぬ」

「ならばなぜ違う、両者の違いはなんだ?」

 ……単純にノミは小さく体重が軽いが、ゾウは重い。空気抵抗ならゾウがはるかに大きく受けるため、明暗を分ける要因ではない。それならば、両者を分ける違いとは……いや、小さければ小さく、大きければ大きく影響する単純な違いがある。

「気づいたな?」

「うむ。しかしそれが、恐竜の絶滅とどのような関係があるのだ?」

 さすがの王も、この質問にはあきれた。

「そこまで分かっておきながら、まだ分からんと言うのか。ゾウは現在、地上最大の生き物であると確認しただろう?」

 ……ゾウは現在、地上最大の生き物……。

 彼はようやく王の言わんとすることに気づいた。

 ……ゾウは成長すれば体高五・五メートルにも達し、体重は軽く四トンを超えてしまう。そうなればもう身軽に走ることができない。単に体が大きく重いだけでなく、体を支える骨がその体重を支えられなくなるからだ。

「……恐竜は巨大過ぎるというわけか。発掘されている巨大な恐竜の足の筋肉比率では走ることすらできない。しかし、恐竜が繁栄していた当時はあれほどの巨体を支え、活動することができた。

 つまり自転にブレーキがかかった直後の地球の遠心力には違いがある。徐々に地球から振り払う力が弱まるということは、時代が進むほど弱かった重力がだんだん強くなっていくということか……ならば、恐竜の絶滅は重力増大に伴い自重を支えきれなかったことが原因だな!?」

 叫ぶ彼を冷ややかに見すえながら王は首をふる。

「勘違いするな。重力の増大など通過点でしかない。恐竜は絶滅するまで巨体を誇っていた。つまり生存可能であったということだ。

 重力が増大していくことで引き起こされる環境の変化を考えてみるがいい。月の変化で見たとおり、物事は決して孤立して成り立つものではない。一つの影響は必ず別の影響を引き起こす」

「うむ、確かに。ならば別の影響とは……」

 考えこむ彼をしばし見つめ、王が先に口を開いた。

「……ゆっくりとした、変化だった。最初に気づいたのは地球全域に雲が増えたことだ。当初、活発化した火山性ガスの影響かとも考えたが、それより大規模に大気濃度が濃くなっていくことが判明した。

 原因を調べた結果、地球の自転という遠心力によって日常、大気圏外へ放出される様々な大気が、重力の増大によって減少し始めたことによるものだった」

「うむ……」

「それにより本来なら日光が遮られ、核の冬と呼ばれる現象が起こるのだが、火山活動が活発で水蒸気と二酸化炭素が多く、地熱が逃げないため温暖化が進んだ。つまり重力の増大は、地上にうす暗く温暖な気候をもたらした……そこで、疑問を感じないか?」

 ひと呼吸おいて尋ねられたが、もう何が疑問なのか分からず、黙って王の言葉を待った。

「当時の重力が弱かったとはいえ、恐竜はなぜあれほど巨大化できたのかだ」

 巨大化の利点は敵に襲われた場合、のしかかるだけで押しつぶすことができる……一撃で急所をしとめられなければ襲う側が不利になるため……実際にライオンは数頭でも成長したゾウやサイ一頭を容易には襲わない。

 また巨大であればカロリーの貯蓄効率が高くなり食料が少なくて済む。ネズミやモグラのように食べ続けなければ死ぬという危険からも逃れることができ、寒さにも強くなる。

「どれほど奇妙に見えても生き物は決して不利になる変化はしない。不利な要因を持つ個体は天敵にたちどころに淘汰され、子孫を残すことができなくなるのだからな」

「ではいったい、なぜだ?」

「生存に有利だからだ」

「……吾は問答をするつもりはないぞ」

「重力増大のため大気濃度が上昇したと言っただろう、現在約二〇%とされる酸素濃度は恐竜が繁栄し始めた三畳紀の終りには十四%ほどだったと言われている」

「酸素が薄ければまともな活動などできなかったのではないか?」

「まともに活動できなくてどうやって繁栄することができる?」

 矛盾する答えに彼は頭を混乱させる。

「薄い酸素の中で活発に行動するなら方法は三つ。呼吸回数を増やすか、一度に取りこむ空気の量を増やすか、取り込んだ空気中から酸素を漉し取る効率を上げるかだ。オマエならどれを選ぶ?」

「もちろん効率を上げることがよいが、その器官が発達するまでは一度の吸気量を増やすほうを選ぶだろう」

「うむ。重力の弱さと薄い大気濃度のバランスが肺を大きくさせた……体を巨大化させた要因の一つだ。その後、効率のいい器官を獲得した種族が台頭する。知っているように、人間のように入り口と出口が一カ所しかない呼吸法ではなく、現在の鳥と同じ気嚢を使った効率のよいものだ。やがてその利点を活かし、元々巨大化していた種族とも肩を並べるようになる。そのままの環境が続けば恐竜は間違いなく永遠に地上の楽園を謳歌していたはずだ。だが、長い年月は環境を変化させる。もちろんその変化には進化という方法で対抗することができるのだが……事実、一億六〇〇〇万年ものあいだ、恐竜は多種多様な種を生み出してきた。

 当たり前に思えるかもしれんが、それは次々と環境が変化し、それに恐竜が対応していったことを裏づけている。だがその進化も環境の変化が徐々にであれば追いつける」

「進化では追いつけない急激な環境の変化が起こった、と?」

「そうだ、そしてその恐竜たちの中でまっ先に影響を受けたのは、頭を高く持ち上げていた巨大恐竜だった。それは巨大であればあるほど早く症状が現れた」

「症状と言うのであれば、恐竜たちは病気で滅んだのか?」

「あせるな。一説によるウイルスとは違う。巨大恐竜の症状はこうだ。めまいや立ちくらみが起こり、立っていることすら困難となり、次々と倒れた。

 復元された骨格を見れば分かるように、恐竜は巨大な内蔵を支えておかねばならないため腰骨近くまでろっ骨がある性質上、腰をひねって立ち上がることができない。重力が増大する中で巨大恐竜にとって転倒はすなわち死に直結している。恐竜そのものが現れた当時はまだ重力が弱かったため起き上がるのは容易だったが、その症状が始まった時にはすでに手遅れだった。その病名とは……」

 分かるだろうと、彼に視線を向ける。

「……重力の増大によって巨大恐竜に発症するその症状から考えて、最も単純な答えは貧血だな」

「そうだ。心臓からの血液がそれまでと同じ血圧では頭部まで送れなくなってしまった。また頭部を水平以下にして吊り橋構造で支えていたものたちは、首の長さを支えることができなくなった……巨大である利点は増大する重力にとって災いとなった。一時八〇%も滅んだ巨大恐竜だが、この時もまた首の短い種へ進化して生きのびたのだがな」

 ……これまで多くの説が出され、乱立しているとも言える絶滅の原因が、ただの貧血だったとは……彼は腕を組んで複雑な表情を浮かべる。

「待て、その様子ではまた先走っているようだな。貧血など、ごく初期の症状にすぎない。これからが始まりだ」

「まだ始まったばかりだと?」

「当然だ、重力は徐々に増大していった。それに伴い変化する環境によって、滅び方もまた変化する」

「そうであったな……ついあせってしまっておる。頭を冷やさねばならんな」

 彼は竹筒を手に取りひと口飲み、残りを頭からかぶった。

「ヌシの分も汲んできてやろう」

 空になっていた王の竹筒に手を伸ばして清水を汲むため立ち上がる。意思のみである彼らが水を飲む必要はないが、物理的な世界に長く暮らす彼が無意識にそうしているため、王もつき合っている。

 ……記憶がないとはいえ、変わらんな。

 背を見送りながら王は微笑む。

 ……吾の竹筒が空であることに気づき、ついでのように振るまうなど……。

 人間がからかいの対象にしかすぎないだと? そんなことを数百万年も飽きずに続けられるはずがなかろう。やはりオマエは人間を愛しているのだな。

「何を笑っておる?」

 戻ってきた彼は、嬉しそうな王に尋ねる。

「地球を天変地異におとしいれ、生き物を根底から覆したものを水汲みの使いっぱしりにしているのだから、おかしくないはずなかろう」

「言っておれ」

 無造作に投げられた竹筒を受け取り、額に当ててからひと口飲むと、冷たく心地いい。

「それにしても、この世界を任されて以来、争いを好む者たち以外でこれほど話をするのは初めてのことだ」

「なぜだ? ヌシの世界に暮らすものもおるのだろう。入れぬようにしておるのか?」

「入りたければ入れるが、誰も入ろうとは思わんようだ。同じ場所にいてもオマエが同調せねば人間からは見えん、声も聞こえんことと同じだ。吾が担う世界に同調するものがいないのだな」

 ……ならばヌシはどれほどの時を独りで過ごしておったのか……いや、それは同じなのだ、自分が何ものかさえ分からないままの吾と……。


「……さて、貧血症状が一段落したころに新たな症状が現れた。今度は体の大きさに関係なくめまいが起こり、指先や足先の震えが続き、目がかすれ、幻覚を見始めるようになると、なすすべもなく次々息を引き取っていった。症状そのものは貧血に似てはいるが、明らかに性質の違うものだ」

「なんらかの有毒物質……火山性の有毒ガスのせいではないか?」

「確かにそれで死に至った種族もいるが、あくまで局地的なもので地球全体というほどでもない。事態はもっと深刻だった」

「うむ……それほどの規模で幻覚症状を起こすとなれば……大気の成分が大幅に変わったとしか考えられぬ。

 恐竜の出現当時はほんの十四%だった酸素だが、絶滅当時は三〇%以上あったと言われている。十六%以上も濃度が増した環境での末端部の震え、幻覚症状……つまりは酸素中毒を引き起こしたというわけだな」

 確信して答える彼に、王は首をふる。

「それでは八〇点といったところだ。単純に十四%の酸素が三〇%となったところで問題はまだ少ない。酸素中毒を起こす別の要因とはなんだ?」

「酸素中毒を起こすには……」

 言いかけた彼は思わず苦笑した。何が頭を冷やすだ、むしろ興奮している。

「重力増大によって大気濃度が増すと同様に気圧も増すのだな。徐々に高まる酸素濃度と気圧によって恐竜の多くが酸素中毒で命を落としおったか……」

「恐竜だけではなく生き物の多くがだ。だが、『多くが』とは、少しは頭が冷えてきたようだな」

 彼はニヤリと笑う。

「当然だ、あくまで恐竜は突然滅んだ。絶滅の原因が酸素中毒であるのならば、もっとゆっくり滅ぶか、環境に適応できる種が現れる。それとて原因の一つと考えるのが妥当だ」

「まさしく直接の絶滅に至るにはまだ変化が必要だ。そのころに、さらに変化したものがある」

「まだあるのか?」

「結果ばかり追っているため矢継ぎ早に思えるかもしれんが、これらの出来事は一億年以上の時間をかけて起こったことだ。宇宙にとって一億年などほんの一時のことだが、天体の衝突というハプニングを受けた惑星の変化だ。目まぐるしくても仕方あるまい」

「そうだったな。では何が起きた?」

「起きたと言うよりも、終ったと言うべきだな。不安定に自転していた月が安定し、地球とも安定を取り戻した。つまり、それ以上の重力増大が止まったというわけだ。

 それに連れて火山活動も終息の兆しを見せ、そこで吾々は話し合いを行った」

「話し合いとは?」

「かねてからの計画を実行に移すかどうかの話し合いだ。隠していても始まらん、地球を人間の住める場所にするかどうかの最終的な合意を得るためのものだ」

「その合意が得られたことは明らかだ。そうでなければヌシたちも滅んでいたはず。なぜわざわざ合意を得る必要があったのだ?」

 王は先ほどの自虐的な笑みをまた浮かべた。

「一度地球の生き物を滅ぼしたオマエの片棒を担ぐことになるからだ」

 眉を吊り上げる彼に構わず、王は続ける。

「恐竜が生きる環境に人間や現在の生き物は共存できない。人間にとって欠かすことのできないものが足りないからだ。だがそれを足すことは恐竜の絶滅を意味する。

 人間がいくら考えても正しい答えなど出るはずがなかろう。恐竜を滅ぼしたのは吾らなのだからな!」

 低く叫ぶ王に、彼はいぶかしげな目を向ける。

 王たちならば恐竜を滅ぼすくらいたやすいだろう。しかし、常識外とはいえ符合の合う話をしてきた王にしては、魔法でも使って消し去ったかのような口ぶりはあまりにも白々しすぎる。

「吾が行ったことは話せても、ヌシたちが行ったことは話せんのか? ヌシはすべてを話すと言ったではないか」

「ははは、もとより隠すつもりはない。だが、いわば自白だ。多少言いにくい。吾の話を聞いたオマエならばものの見方が違っているはずだ。ヒントをやる。オマエ自身で解くほうが面白いとは思わんか?」

「よかろう、ヒントとやらを話すがよい」

 彼は笑いながら提案に乗る……正直、話に圧倒され続けたことは面白くなかった。

「ではヒントの一つ目だ。恐竜が滅びた六五〇〇万年前に起きたとされる出来事を、もう一度思い返してみるがいい」

「それのどこがヒントだというのだ……」

 苦笑しながらも、起こされた出来事を思い出す。

 代表されるものに、巨大隕石が地球に衝突した。一時的に海岸線が大きく後退した。植物が花を咲かせるものへと変化した。ヒマラヤ造山活動が始まった……王の口ぶりからは限られた者しか知らない専門的知識を必要とはしないようだが、どれもよく知られ、研究も進んでいる。

「……出来事と言えば、このくらいだろう」

「それだけ知っていれば充分だ」

 ……ならばこれらの中にこれまで説明されたことを踏まえれば、王たちが何をしたかが隠れているに違いない。

「二つ目だ。その中に仲間外れがある」

 仲間外れ……どれもバラバラなものに思えるが、すべての原因となった月どうしの衝突も、その後、思いもよらぬ変化を引き起こした。つまり起こされる出来事は一本の道としてつなげることができるのだ。

 ……隕石が衝突したこと……いや、これは環境の変化を引き起こす根本的なものだ。

 現在指摘されているのは有名なユカタン半島のチチュルブクレーターと、もう一カ所、推測の域を出ないインドのシヴァクレーターがあり、そのシヴァクレーターで起こされた衝撃は、関連こそつなげられていないものの、プレートを動かしてヒマラヤ造山活動を引き起こした引き金だと考えられないか? それならば二つは関連を持つ。

 では海岸線が後退したことか……隕石が衝突したのなら、津波が押し寄せることはあっても後退することはないが……衝突の衝撃は地殻に大きな穴を開けたはず。しかもそれが海ともなれば、流れこんだ海水は地下のマグマに直接触れて爆発を起こす。そうなれば大量の海水が蒸気となって失われ、海岸線を後退させるだろう。これも関連を持つ……。

 残ったのは、植物が花を咲かせないものから花を咲かせる被子植物中心へと変化した理由だが……これだけは他と結びつかない。

「……仲間外れとは植物層の変化。花を咲かす被子植物の台頭だな」

「そうだ。もちろん花を咲かせる植物は白亜紀前期より徐々に発生し、トリケラトプスなども食糧として利用していたが、小さく白いものばかりだった。それが一気に繁栄した理由、有利な点とはなんだと思う?」

 確かに巨大天体の衝突でそれまで繁栄していた花を咲かさない裸子植物が失われたため、競争相手のいなくなった被子植物が台頭したと考えられるが、これまでと違う生き物が繁栄するには環境が有利になる必要がある。

 では花を咲かすことで何が有利になるのか……植物の中でも初期に栄えたシダ植物はともあれ、栄養分を確保する光合成なら松やイチョウなどの花を持たない植物も対等だろう。しかし、昆虫や鳥、コウモリなどの生き物を利用した受粉の効率は、風を利用する裸子植物をはるかに凌ぐ。

 受粉……そもそも生き物が繁殖するには、いわば精子が水泳競争をして卵子に一着でたどり着いたものが勝者となる仕組みで、多くの動物や植物もそうしている。

 発生初期のころは確かに繁殖に水を利用していた被子植物だが、圧倒的に台頭するに至った最大の利点は花粉が雌しべの先につきさえすれば、泳ぐ必要がないという繁殖方法だ。

 それまで繁っていた巨大なシダなどの森が枯れ、日影がなくなって湿り気が失われたため、これまでの受粉方法が使えない環境となり、まったく新しい方法を生み出す必要に迫られたということか……。

「……乾いた環境で花を咲かせる植物が繁栄するには受粉を媒介する生き物が必要不可欠だ。当時の花が主に白いのは、そこに暮らす生き物たちが日中の暑さを避けて夕方から夜間に行動するため……うす暗がりの中では白であるほうが鮮やかに見えるためだ。

 しかし現在の花は色とりどりのものが多い。被子植物は蜜や香り以外の方法で生き物を集めるために色を発達させた。しかも自らの受粉を媒介する生き物だけに見える色までをも使っている」

「ははは、そこまで分かったのなら、もう答えを聞くまでもないかもしれんな」

 大笑いしながら王はうながす。

「それまでの時代が雲で覆われていたのだ。隕石の衝突によって厚い雲が取り払われ、太陽の光が直接射しこんだため空気が乾燥し、シダ植物や被子植物よりも生き物を利用し受粉させる方法が環境に最も適していた。花びらは日の光を反射させるのに都合がよい。

 ただし、それまで受粉に風を利用していた裸子植物も、花を咲かせる植物の利点を取り入れ、生き残りを果たしたものも多い」

「そのとおりだ。月の自転が収まるに連れて徐々に雲が薄れることで花の前身となる植物が生まれ始めていたが、それでもまだ完全ではなかった。そして二度目の隕石衝突によって空けられた巨大なクレーターに海水が流れこみ、幾度となく爆発が繰り返され、噴煙ははるか上空まで立ち上った。

 雲はそれだけでは雨にならない。たがいを結びつける凝結核となるものが必要だ。噴火や大きな火災で煙が立ち上った後に雨が降ることはよく知られている。その大規模なものが起きたというわけだ。

 今日、恐竜絶滅の謎を解くカギの一つとされているK/T境界線はその時の噴煙を含んだ雨が層となって積み重なったものであり、稀少物質を多く含んでいるのは立ち上る噴煙に含まれて上空へ舞い上げられたマグマの一部だからだ。

 場所によってK/T境界線が何層にも重なっているのは雨が幾度にもわたって降り注いだためであり、同時に地殻変動が起こったことの証拠の一つだな。

 ……突然、空のフタを奪われた地上には直射日光が降り注ぎ、極地の氷が一気に溶けて大量の氷山が海洋へなだれこんだ。その氷山は太陽光線を反射させるため地表に熱がたまらず、地球の大気の温度が下がり、空気は乾燥して氷河期を呼び海岸線は大きく後退することになった」

 海岸線が後退した理由は違っていたが、彼は王の話の後を続ける。

「……隕石の衝突によって雲が取り払われ、地表は日の光を取り戻し、大地は光で満たされた。それが決定的な原因だった。これまで雲のおかげでわずかしか射しこまなかった日光……人間にとってなくてはならないものだが、それをわずかしか浴びたことのない生き物にとっては致命的な、莫大な量の『紫外線』が、地上に暮らす生き物たちに降り注いだ。

 恐竜絶滅直前には多くの変わり種の種族が次々と生まれている。突然トサカを持つものが増えたり、異様にえり巻きを大きくしたものなどもだ。頭骨を極端に長くしたり、厚くしたものもおり、卵の殻も異常な厚みを持って産まれたりもした。

 影をつくり紫外線に抵抗しようとしたのか、それとも紫外線によって遺伝子を傷つけられ、突然変異が増加したか……」

 自分自身どうしてそんなことを知っているのか不思議だったが、無意識に咲由の記憶を利用しているのだ。

 ……そのとおりだ、と言いたげに微笑む王だが口を開かず彼の話の続きを待つ。

「だがここで大きな疑問にぶつかる。なぜ恐竜だけが滅びたのか、ということだ。理由は単純にして明解。恐竜が最も栄えていたため……他の生き物たちよりもはるかに巨大で強く、昼間の時間帯に適応していたためだ。奇しくも生存に最も有利だったことが、最も有害な紫外線を直接浴びる原因となった。

 カメやワニなどが生き残れたのは、月どうしの衝突によって雲が厚く覆われる以前から生存していたため紫外線に対する抵抗力を遺伝子の中に持っていたからだ。

 また鳥は、紫外線を防ぐために羽を発達させた。『進化的新奇性』と呼ばれているが、紫外線が強まる環境に対抗するためだと考えれば不思議ではない。ましてそれが翼竜という空の支配者が減っていく中で、飛ぶという利点を獲得していたのならばなおさらだ。

 恐竜が絶滅した後、生きのびた生き物たちは新たな環境に合わせて適応していった……どの種族に限らず体が小さくなったのは、太陽の熱と紫外線の量と体温調節の兼ね合いによるものだ。これらの適応の過程が進化と呼ばれるものであり、完成すれば変化はしない。現在の生き物たちはその状態にあり、サルが人間になったり、猫がチーターにならないのはそのためだ」

 一気に言い切る彼に王は微笑む。

「まあ概ねは正解だ。つけ加えるなら海が取り残されたと言ったが、さらにかき乱されるものがある……当時は風をさえぎる高い山、例えばヒマラヤなどはなく、自転速度が速かったため常に強風が吹き続けていた。

 その風を利用して飛んでいた翼龍の中には、体重と翼の形から推測して時速四〇キロメートル以上の速度で飛ばなければ失速するとされているものもいるが、当時の比べようもない強風と弱い重力の中で翼を広げれば凧のように風に乗ることができたため、あれほどの巨大さであっても飛ぶことができたというわけだ。裸子植物が繁栄を誇っていたのも、この強風によってより遠く、広く花粉を蒔くことができたからでもある。

 翼龍はジュラ紀から白亜紀にかけて隆盛を誇ったが、白亜紀後半から急に衰退している。しかも、さらに巨大化への道を進もうとする兆しさえあった。その理由は翼を大きくして弱まる風に乗ろうとしたためだが、結果的にそれが生き残るには逆の方向であった。生き残れたのは体毛を羽へと変化させ、体を軽くして重力の変化にも紫外線の増加にも適応することのできた現在の鳥の祖先たちだった」

 彼の顔を見ながら王は続ける。

「紫外線が降り注いだ後、わずかに生き伸びた恐竜の大半は元々数に勝る草食であったが、そのほとんどが植物の変化についていけなかった。

 肉食恐竜が減ると草食恐竜たちの数が増える。増えれば当然、食べ物が必要だ。だが残念ながら食物連鎖は下位の生き物の一〇分の一しか上位の生き物を生かすことができない。それまで食べ分けで争わず生活していたものたちだが、食べられる植物が減る中で奪い合いとなり争いに負けた多くの種族が滅んだ。

 しかも温暖な気候と豊富な食料の中で巨大な体を保つために脂肪という余分な重りを持たなかったゆえに長期の絶食に耐えられなかった。だがカメやワニ、カエルはわずかな食料で一時的に長期の絶食に耐えられる。

 食物連鎖の根底を支える植物と最上位の肉食恐竜が同時に滅んだことが、最後のひと押しとなり、絶滅につながったというわけだ」

「恐竜は、ほんのわずかな期間で滅んだと?」

「もちろん生き残った種もいたが、生態的地位……ニッチを奪われては生きのびることはできない。

 新たに最上位の座についたほ乳類は元々夜行性で紫外線による被害が少なく、体が小さいため重力の影響も少ない。多産で世代交代が速いおかげで紫外線に強い個体も生まれやすかった。

 こうしてほ乳類は徐々に昼の領域に進出し、現在の生き物が生まれてくる素地が敷かれ、いよいよ人間が暮らせる環境が整えられた。

 そこで吾らは人間の祖先を地球へと解き放った。だが、不思議だとは思わんか?」

 さらなる問いに彼は頭を悩ませる。これ以上いったい何が不思議だと言うのだろうか。

「細かな隕石は毎日地球に降り注いでいるが、これほど環境に影響を及ぼすほどの隕石が月への衝突と合わせ、なぜ二度も起きたのかということがだ。

 二億五〇〇〇万年前といえば、太陽系内部がまだ木星や土星による隕石の『掃除』が不充分であったとしても、この広大な宇宙で地球ほどの星にそんなハプニングが二度も起こるなど、確率が高すぎるだろう?」

「いや、それこそがヌシたちの行ったことであろう。吾が月を動かしたことと同じく、隕石を動かし地球へ衝突させたのだ」

 これを聞いて大笑いする王に、彼はあっけに取られた。

「その言葉が聞けただけでも、永きにわたり待ち続けた甲斐があったというものだな」

「どういう意味だ?」

「最初にこれは、オマエがすべて仕組んだことだと言っただろう。吾々が何もせずとも隕石は地球に衝突していた」

「なんだと!?」

「吾らが行ったこととは、間違いなく衝突するかどうか慎重に見守りながら、落下する隕石を止めなかったことだ。しょせん吾らもオマエと同じ穴のムジナだということだな」

「二億五〇〇〇万年前の吾がどうやって六五〇〇万年前……一億八五〇〇万年後の地球に隕石を衝突させることができると言うのか」

「だから、初めから仕組まれていたと言っているだろう」

「初めから……初めからとは……そうか、そうであったか!」

 あぐらをかいていた膝を手のひらで叩く。

「最初の月Bへの衝突で覆い被さりきれなかった残骸が、一億八五〇〇万年の時間をかけて再衝突した……と」

「太陽や各惑星の影響を受けながら、懐かしの故郷に帰ってきた時に、旅立つ際に交わした約束を果たしたということだ……今度ばかりは月もその身を呈してはくれなかった……そうなることこそが人間の暮らせる環境を生む条件だからな……すべてが順調に進み、今日に至っている」

 話を終えた王に対し、新たな疑問がわいた。

「しかし……それでは話が合わぬ。人間の祖先が生まれたのは恐竜が滅んでから、なお後の時代であろう? 滅びぬために人間や他の生き物が必要であり、時間がないと焦っていたはずのヌシたちは、なぜそれほど待てたのだ? ドームをつくり直すにはそれ以上の時間が必要だったのか?」

「確かに類人猿が生まれたのが約一五〇〇万年前だ。最初の残骸の衝突から二億三五〇〇万年もの差が開いているな」

「ならばなぜ?」

「……環境が整うのを待つあいだ、地球にいた別の生き物に人間で行うはずのことをしていたからだ」

「行うはずのこととは?」

「行ったことはすべて話した。オマエならばそこから答えが導けるはずだ」

 ……言い切る王を見ながら……彼はこれまでの話をもう一度思い返す。

 ……この計画の最終段階は現在のように人間や生き物が繁栄することだ。ではなぜ意思のみであり、物理的な制約から解き放たれ、死の恐怖もなく、人間よりはるかに優れた能力を持つものが人間や生き物に救いを求めなければならないのか……いや、相反するからこそ成立するのではないか?

 あらゆる物事には必ず表と裏が存在する。意思の存在、物質の存在、永遠なるものと、有限なるもの……果たして永遠とは、永劫に続いて欲しいものであろうか?

 限りない欲求も満たされ続けばいずれ飽きる。いつ終るともしれない時間だけが限りなくあることは幸福だろうか? いいや……物理的な世界ではるかな時を過ごしてきた吾は、永遠であることに疑問を抱いている。

「……そうだ、すでに吾々は皆、限界に達していた」

 表情を読み取った王が静かに話し始める。

「吾らは意思のみであるため、あらゆることを行った。様々な世界をつくり、法則をつくり、生き物を生み出した。この世界中にあるもの、ないものまでをも模索し続けた。だが、それもいつか出し尽くした……たった一つ残された変化を除いてな」

「……それは意思のみであればこそ、思い願えば即座に叶う……素晴らしく、そしてずいぶんと厄介な変化だな? 自ら滅びを望んだ……そうであろう」

「そうだ。すでに多くのものがそれを望む中、あるものが妙案を思いついた。問題は吾らが永遠であるということだ。

 ならば制約をつければいいと……一度すべての記憶を失って物理的な世界に生まれる。そこは時代や場所により、先に行くもの、あとからくるものによって状況は千差万別し、思いもよらない出来事に出会うこととなる。

 そしてそれを繰り返すたびにうかがいしれぬ体験に驚きの連続となるだろうと……永遠であることに枷をつけることで永劫という名の檻から逃れることができる。時に喜び、悲しみ、絶望し、歓喜し、すべては経験として積み重なるのだからな。人間や生き物とは吾らを檻から解放してくれるありがたい器だ」

「人間を選んだのは同じ姿であるからか?」

「そうだ。吾らとて自ら望む姿でいたいのは当然だ」

「吾はこの姿を望んではおらんぞ」

「だが拒否はしなかっただろう、結果的に受け入れた。もしオマエが目覚めた時より咲由の姿であったならば受け入れていたか?」

 ……もし太古のアフリカでボスの目に映した吾の姿が今のものでなければ、どんな姿であればよかったのか……。

「うむ……この姿を選ぶか」

「外見と内面に差異が生じるのはたまらなく苦痛となる。人間も化粧や美容整形を行いたがるようにな。人間が住めるようになるまでのあいだ、吾らはその苦しみをイヤというほど味わった……」

「どのような苦しみだ?」

「滅びから逃れるためには物理的な制約をつけなければならない。だが待つだけの時間は残されていない。残された方法はたった一つ」

「人間以外にそれを求めたと?」

 王はうなずく。

「中には望んで人間以外の生き物を選ぶものもいる。吾も鉱物や植物や動物に生まれたこともあったが、意に沿わぬ姿の場合は極めて苦痛だった。だからといって他に手はない。

 吾らはドームで成長させた人間が生きられる環境が整うまでの二億八〇〇〇万年ものあいだその苦しみに耐え続けた」

 二億八〇〇〇万年……ひとことで言っているが、それは途方もなく長い時間だ。

「その時がきて吾らは歓喜した。ようやく苦しみから解放されると。思惑どおり解き放った人間は爆発的に増加し、大地を席巻した」

 望んだことであるはずなのに、王の口調は明らかに不機嫌だった。

「もくろみどおりのことが起こったのだろう、それの何が不満……」

 彼は言いかけた言葉をのみこむ。王の不機嫌の理由に気づいたのだ。

「ならばやはり、恐竜が滅びたのは……」

「言っただろう。恐竜は吾らが滅ぼしたと……人間が定住できるまで代替えとしていた恐竜を生かし続ければ人間の天敵となる。吾らは吾らが内包され、ありがたい器として利用していた恐竜を見殺しにしたということだ!」

 救われるために利用しておきながらなんたる傲慢か……しかし、そのすべては吾が蒔いた種だ。吾こそが傲慢の根源ではないか! 彼は自分自身に対する怒りと恥ずかしさに歯を食いしばる……。

「オマエの行いと起こされたことはすべて話した。さて、最後にオマエが何ものかについてはまだ教えておらん。これまで問い続けてきた疑問に終止符を打つ気はあるか?」

 腕組みして問いかける王に、彼の視線が向けられる。

 それは何よりも渇望し、求め続けてきた答えであり、知りたくないはずがない。

 しかし、自らの行為を知ってからでは後悔にさいなまれるのではないか……現代に至るまでの数百万年の経験のすべてが揺らぐのではないかとの不安がわき上がり、自我を取り戻してから初めて、自らを知ることに恐怖を感じた。

 ……しかし……それでも知らなければならない。求め続けているあいだならば前進することができるが、知ることを拒めば、この先は逃げ続けなければならなくなる。そんな惨めな生き方などしたくはない。

「……教えてくれ。吾は真実から目を背けることはせぬ」

「それでこそオマエだ。ならばその目でしかと見よ。オマエが人間より与えられている姿、その正体を!」

 目を輝かせる王の叫びと同時に足もとが揺れ、地面から何かが突き出す。

「こっ、これは!」

 驚きとともに彼は絶句する。突き出てきたものはよく知っている。

 それは持国天、増長天、広目天、多聞天の四体の仏像であった。

「四天王……であったとは。では、この中の誰が吾なのか?」

「誰だと? 何を言っている、よく見るがいい」

 いぶかし気に指す王の先にあるものに彼の視線が向けられると、表情が険しくなる。

「ヌシはこれが吾だと言うのか?」

「吾ではない、人間がこれをオマエだとしている」

 答えを聞いたとたん、像はバラバラに砕け散った。

 残されたのは、奴隷の扱いを受けてきた衣服すら与えられていない醜い小鬼……四天王の足もとに踏みつけられ、踏み台とされている矮小なモノ。

 苦悶にゆがむ表情で這いつくばる、天の邪鬼だけが残されていた。


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