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第7話(空からの贈り物)

翌朝、冷蔵庫に何もないことに気付いた。


僕は、少し肌寒い朝の風に当たりながら、コンビニへ向かおうとした。


そうか。


僕の家から一番近いコンビニって僕のバイトしてたコンビニ・・


さすがに辞めてすぐは行き辛い・・。



僕は、車で10分の実家へと食料を調達に向かった。


金曜日の午前8時。


出勤途中のサラリーマンや学生がやたらと多い。


自転車のマナーって相当悪い。



どれだけ無敵だと思っているのだろうか。


信号待ちの僕の車の間をスルスルと通り抜ける。


青になっても自転車が邪魔で、動けない。




空腹の今の僕には長すぎる30分の道のり・・・。



「ただいま・・飯・・食わせて〜」



突然帰ってきた情けない顔した僕を見ても、いつもと変わらずいってきますのチューをしようとしてる僕の両親。


「あら??どうしたの?」


「ハル、ユキちゃんに捨てられたか?」



僕は、テーブルに置いてあった懐かしい母の味、卵焼きをほおばった。


「あ!そうそう!あんたに、ドラえもんが届いてたわよ。」


「ドラえもん??何それ?」


「さぁ、お母さんにもわからないわよ。電報だと思うけど。誰からかもわからないの。」


「僕に電報??」


「メールしようと思って、忘れてたわ。ちょうど帰ってきて良かったわ。」



僕は、自分の部屋のベッドにちょこんと座るドラえもん電報を見つけた。


誰からだろう?


心当たりがない。



頭の中で、電報の送り主を考えながら、部屋をぐるぐると歩いた。


期待と不安で、動悸が激しくなる。



僕は、ドラえもんの持つ筒の中の紙をゆっくりと伸ばした。


そこに書かれてあるメッセージを目にした僕は、転がるように階段を下り、急いで車に乗った。



ユキの学校までどうやって運転したのかも思い出せないくらい、僕は無我夢中だった。


僕は、涙がこぼれていることも気付かず、ただユキの元へ向かった。



そこに書かれてあるメッセージ・・・


僕とユキとの4周年記念を祝う電報だった。




「ユキ!!!!!」


食堂で、ユキを見つけた僕は、ユキの腕を掴んだ。

ケンカ中だということも頭から抜けていた。


ユキの手を引っ張りながら、人気のない場所まで走った。


ユキは、何があったのかわからない表情で、僕に笑いかける。


「ハル?どうしたの??」



「ユキ・・・大変だ。僕に電報が届いたんだ・・」


僕は、両目から大粒の涙がこぼれていることに気付いた。



僕は、その電報のメッセージを黙って、ユキに渡した。


しばらく、ユキはそのメッセージを眺めた後、急に地面に座り込んだ。


「うわぁぁぁ・・・ん・・・うぅぅぅ・・・ハル・・・・」


ユキは、子供のように泣き出した。





それは、天国からの手紙だった。


僕らの親友、ゆうじからの電報だった。



いつ、どうして、この電報を送ったのか。

今となっては、ゆうじには聞けないのでわからない。


でも、自分の命の終わりを予感したゆうじが、僕とユキの未来へメッセージを送ったんだ。



ゆうじがこの世を去ってから、半年が過ぎた頃、僕らは再びゆうじによって救われた。


仲直りのきっかけを見つけられず、お互いに意地を張り続けていた僕らにゆうじが手を差し伸べてくれたんだ。



『4周年記念おめでとう!!


 ハル君、ユキちゃん仲良くしていますか?


 ケンカはしていないですか?


 

 僕は、ハル君とユキちゃんのおかげで歌が作れたんだ。


 ありがとう。


 だから、いつまでも僕の理想の2人でいてね。


 

 僕はいつでも2人を見ています。

 


    永遠の親友、ゆうじより   』

 




ゆうじ・・・




またお前に借りができちゃったな。



ゆうじ・・・




これからも、僕の人生にお前は必要なんだ。




ゆうじ・・ ありがとな。





 



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