第12話(バージンロード)
ゆっくりとゆっくりとバージンロードを歩く姿を目に焼き付ける。
そこは、まるで
ユキとお父さんの生まれてから今までの長い道のようだった。
いろんなことがあったね…
たくさん泣いたね、ユキ。
何度もお父さんを憎んでしまいそうになり、
何度もお父さんを許してきた。
お父さんの目には涙が溢れてた。
たくさんの後悔と反省…そして、ユキへの愛。
僕は、誓う。
もう泣かせないと・・・
お父さん、あなたの大事な娘さんを僕が一生大事にします。
そして、お父さんとお母さんのことも
本当の両親のように大切に思います。
ユキ、いろんなことがあった分、僕らは強くなれた。
もう迷わない。
もう見失ったりしない。
大事な人は、君なんだ。
ユキがいて、僕は生きていける。
ユキがいて、僕は笑える。
これから、僕達にどんな未来が待っているんだろうな・・・
明日から出発する新婚旅行で、いきなり赤ちゃんができちゃうかも知れないよ。
最初で最後の新婚旅行、僕達はきっとおみやげを買い過ぎてしまうだろう。
今まで僕とユキを支えてくれたたくさんの人に感謝の気持ちでいっぱいだ。
僕とユキが今日この日を迎えることができたのは
たくさんの愛情のおかげ。
僕達を見守ってくれる人々のおかげで
僕達はやっとこの日を迎えることが出来た。
だけど、ここがゴールじゃない。
まだスタート…
聞こえるかい あの鐘の音
聞こえるかい あの笑い声
春の日も、雪の日も隣で笑いあう君と僕
出逢ってからの 全てのページが宝物
君との時間 天使のくれた時間
僕を信じて 僕を見つめて
僕は君のために生きてゆく
僕は何にも負けない強さで君を守る
永久に誓うよ forever
覚えてるかい 教室の光
覚えてるかい カーテンのぬくもり
春の日も、雪の日も隣で笑いあう君と僕
出逢ってからの 涙 笑顔 全部抱いたまま
君との時間 天使のくれた時間
僕を愛して 僕についてきて
僕は君のために生きてゆく
僕は何にも負けない強さで君を守る
永久に誓うよ forever
「おめでとぉ〜!!!ユキちゃん、ハルっぺ!!」
「綺麗だよ、ユキちゃん!!」
「ハルって七五三みたいだね〜!!」
「ユキ・・・綺麗だよ。」
「ハルも素敵だよ!!」
永遠の愛を誓った僕らは
青い空の下
花びらを
思いっきり空へ投げた。
ゆうじが僕とユキの為に作ってくれていた結婚ソング。
披露宴でMDから流れるその歌を聞いて、
涙が溢れた。
僕はテーブルの下で
しっかりとユキの手を握る。
ゆうじ・・・届いてるよ。
お前の歌。
お前の気持ち。
今、お前はここにいるんだ。
遅くなっちゃったけど、
やっとこの日を迎えることが出来たから・・
心配かけたな・・ゆうじ。
もうお前に心配かけないように
2人で生きていくから。
だから、これからも僕らのこと
ずっと
見守っていてくれよ。
窓から見える空は、とても青く澄んでいた。
僕は思い出す。
卒業式に見た空を・・
あの日、春の雪と桜に誓った約束を・・・
みんなの笑顔が眩しくて目を細める。
ユキが笑う。
「ハル・・・今日の夜頑張っちゃう??」
相変わらずのユキに、僕は安らぎを感じる。
僕らは決めていた。
いつか生まれる僕とユキの子供の名前・・
ゆうじのように優しい強い心を持った人になってもらいたい。
男の子でも
女の子でも
『悠』
僕とユキはみんなの笑顔と拍手の中を
歩きながら囁き合う。
絶対幸せになろうな・・
空には大きな雲がひとつ
浮かんでた。
その雲が
『おめでとう!!ハル君、ユキちゃん!!』
そう言って
ふわふわと揺れながら
消えていった。