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第11話(新しい扉)

ライブの後、集まったみんなの顔は


ライブ前とは違って見えた。





それから、僕らは



少しずつ



少しずつ



強くなろうと 頑張った。







水野さんは、また病院に運ばれた。



原因は、無理に薬をやめた事による禁断症状。


そろそろ子供が欲しいというみずきさんと水野さんの想いが伝わる。



薬を手放せなかった水野さんをそのような行動に駆り立てたのは


ゆうじのメッセージかもしれない。




今回、水野さんの行動は逆効果となってしまったが


決して無駄ではなかったと思う。




2人の絆はより深まり、焦らずにゆっくり病気と向き合おうと心に誓ったという。




シンは、新しい生活を始め


どんどん大人の顔へと変わってる。



サッカーとエッチなことしか頭になかったあいつは



もういないんだ。




夜中までバイトに励む姿は、僕や周りの奴らに大きな影響を与えてた。




僕もとにかく働いた。


眠気と戦いながら深夜のガソリンスタンドで毎日働いた。




きっと 今しか経験できないから。




このきつい毎日も



いつか 懐かしく思い出すときがくるんだ。




ユキとの結婚まで秒読み段階に入り、今まで親に頼ることしか考えていなかった僕も


真剣に貯金を始めた。



今更遅いと、言われるけどね。




朝方家に帰ると、寝返りを打つユキが待つ。


その布団にもぐりこみ、僕も数秒で眠りにつく。



こんな忙しい毎日の中にも


幸せや感動や喜びがたくさんある。



辛いときには空を見上げて


ゆうじに語りかける。




この日々は今しかない。


ゆうじがいなくなった悲しみをなかなか消すことができない僕は


ただ・・がむしゃらに働いて時間が解決してくれるのを待つ。



みんなそうなのかもしれない。




ゆうじに



負けないように



みんな必死でもがきながら



前に進もうとしていた。




いつの間にか雪の降る季節が近づいていた。




僕とユキは、結婚式の準備とバイトと勉強に追われる毎日。



だけど、幸せだった。



同じ目標に向かって、ユキと努力することが幸せだった。




不思議な気持ちだった。



最近なぜか、ユキと出逢った頃をよく思い出す。



夢にも見るんだ。






ユキを初めて見た時のあの胸のときめき。



初めて声をかけたときのあの勇気。


ユキの涙の訳を知った時のショック・・


ユキがいなくなった日のこと。



初めてのキス。


やっと結ばれたあの日のこと・・




僕の青春。





ゆうじに会いに行った日のこと。




僕が事故に遭った日のこと。




歩けなくて、壁を殴った日のこと。




水野さんが倒れた日のこと。





思い出には、ユキの笑顔が必ずついてくる。




僕が辛いときも嬉しいときも


そばで支えて 笑わせてくれる君は


今も僕の天使だ。






これから



一生僕はユキと生きていく。




ユキを支え、ユキを幸せにできるのは僕しかいない。



そして、僕もユキにしか癒されない。




この運命的な出会いをくれた神様は


残酷にも僕の親友を天国へ連れ去ってしまった。




どうか



ゆうじが



天国で笑っていますように・・・




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