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9つめ 拾い癖

少し長め。次回で終了予定です。

リタが目を覚ますと辺りはすでに、すぐ目の前でさえ見渡せぬほどの夕闇に覆われていた。

目を開けているのに、風景が入り込まない。

そのために一瞬、リタは自分が生きているのか死んでいるのかもわからなかった。

しかし少し経って暗順応してくれば、生きているのだと確信が持てた。

王宮にあるリタに宛がわれた個室だ。

夢の残滓を追い払うように、頭を振った。

眠りすぎて、少し頭が痛い。喉の乾きはそれほどでもないが、水が欲しい。

サイドテーブルに手を伸ばすと、何かが置いてある。

目を凝らしてみれば、それは水差しであるらしかった。

こんなものを置いておいた記憶は無い。けれど今は少しありがたい。

一口二口飲んで喉を潤すと、一息ついた。

そこでようやくリタは、ベットに寄りかかって眠る少女に気づいた。

この暗闇の中でも輝きを失わぬ髪色の持ち主――王女殿下(食欲増す君)。

何をどう考えても、一介の侍女如きの部屋で眠りこけていていいような人物ではない。

リタは王女殿下を起こさぬようにそっとベットを抜け出すと、音を立てぬように部屋の扉を開けた。

すると、扉のすぐ傍に若い男が一人立っていた。おそらく王女殿下の近衛だろう。

「えっと……」

なんと言うのが適当なのだろうか。

悩んでいると、近衛らしき男はリタを横目で見て、

「殿下は君が起きるまでここにいると仰られた。起こして差し上げれば、あとはご自身で判断なさるだろう」

と告げ、再び視線を元に戻した。

「……ええっと……はい」

部屋に戻ってから「お疲れ様です」くらい言えばよかったかも、と思ったが後の祭りである。

ブランケットの上から、王女殿下を揺する。

「食欲増す君。起きてください」

「……ん」

王女殿下はその美しいご尊顔を輝かせながら身を起こした。

まだ眠たげに目を擦った後、口元を拭う王女殿下にリタはハンカチーフを差し出した。

「あぁ、リタ……起きたのね。ごめんなさい、少し汚してしまったみたい」

ベットを濡らす、少しというには些か過度なほどのよだれを見て王女殿下は謝罪する。

「掃除係にお願いして念入りに洗ってもらいますからお気になさらず」

リタの直截的な物言いに苦笑を浮かべた王女殿下は髪をかきあげながら辺りを見渡した。

「もうこんな時間なのね。リタ、あなた丸一日寝てたからお腹がすいたでしょう? 何か食べる物を用意させましょう」

言われてみればお腹がすいているような気もするが、こんな時間に起こされる料理人のことを思ってリタは首を振った。

「食欲増す君と比べれば私は小食ですから平気です。それより、私は丸一日も寝てたんですか?」

首を捻る。

最後の記憶はズエル殿下と、彼の持つ銀色の針の光景だ。

おそらくアークのように一時的な麻痺状態にでもさせられたのだろうと予測は付く。

なんだか無性にムカムカしてくるが、本人にこれをぶつけた瞬間、命の危機に瀕する事は想像に難くない。

リタは憤懣をそっと飲み下して、自分が寝ている間に何があったのが聞くことにした。

すると、帰って来た答えは、

「あぁ、リタが過労で倒れたって噂を兄上が流して、それを狙ってやってきた暗殺者とかもろもろを片っ端から片付けて回って、無事解決したわ」

「……あぁ」

結局のところ、自分はいい撒き餌だったのだ。

考えてみればこれほど適任はいないし、これほど効率的なやり方もないだろう。

自分が納得してしまえば、それを誰かに責める気など起きないもので、先ほどの怒りも一緒に風化してしまった。

リタは得心して頷いた。

「ズエル殿下のあれは演技だったんですね。ちょっとやりすぎな気もしましたけど、大牛様のためなら――」

「え」

「え?」

数拍の間があって、

「……兄上は演技なんてしてませんよ、たぶん」

「え?」

浮かんできた汗を拭うと、同じように王女殿下も額を拭った。

「ええと、リタ、えっと、待ってね。ちょっと待ってね」

「――ズエル殿下が『開きたがり』っていう噂は……」

「それは――本当なの……私、小さい頃にお気に入りの人形を裂かれたことがあってね。私が呆然としてると、兄上が嬉々とした様子で中の綿の種類だとか、産地だとかを説明し始めて……思わず泣いてしまったわ」

命の危機の演出だと思ったら、実は本当に命の危機だったなんて。

あの場に王女殿下がいなければ、もしかしたら今ここに自分はいなかったかもしれない。

リタは顔を青褪めさせたが、王女殿下はそんなリタを見て慌てて手と首を振った。

「だ、だいじょうぶよ! ちゃんと兄上がリタに手を出さないように言い含めたから!」

性的な意味ではなくて、解体的な意味で。性的も勘弁願いたいが。

「兄上は私の大事なものには絶対手を出さないから」

先ほど聞いた思い出話と食い違う内容にリタは首を傾げた。

「……あのとき私に泣かれたのがショックだったみたいで、それからなの。だから、気に入った新しい子が来ると『わたしのもの』ってマークをつけるの。そうすれば兄上の被害に遭わないでしょう?」

それで私が登城したときにも王女殿下が待ち構えていたのか、と納得する一方で、「やはり王家にはヘンな人が多いな」という結論に達したリタだった。




----




大きな欠伸をひとつした。

あれから王女殿下と他愛もない話をして、空が白み始める頃に彼女を見送ってから客室に戻ってきた。

リタのいない悪夢の一日を経た客室は、しかし少しの汚れも見つからなかった。

三匹の動物たちはまだ明け方であるからか眠っているらしい。

それぞれの寝顔を見て、呼吸を確かめた後でリタは椅子に座り込んだ。

なんだか途方もない疲労が肩に圧し掛かっているようだ。

今日中には日数的にアーティレット王子が帰ってくるはずだ。

ズエル殿下に対面した後では、あのおちゃらけ王子ですらいとおしく感じる生命の不思議である。

出来ればこれ以上生き物を持ち帰って欲しくはないが、リタには拾い物の世話しか許されていない。

登城する切欠や理由がなんであれ、リタ自身の能力を買われているというのも事実だ。

面倒だからといって手を抜いたりはしないが、期待に応えないというもの間違っているだろう。

目を覚ました白い猫がこちらにやってくる。

それを抱きかかえて、緩やかに迫り来る眠りの波に身を委ねて、リタはゆっくりと目を閉じた。



眠っていたのはさほど長い時間ではない。

浅瀬を泳ぐような意識を覚醒させたのは、扉を叩く大きな音だった。

リタは瞼を持ち上げる。

開けてくる視界に、扉を開いて入ってくるアーティレットが見える。

「おかえりなさいませ、アーティレット王子。その肩の物体は何ですか?」

爽やかな笑顔を浮かべるアーティレット王子は、まるで米俵を担ぐようにしてその肩に何かを乗せていた。

アーティレット王子は「良くぞ聞いてくれた!」とばかりに大きく頷くと、その物体Xをリタの膝の上に乗せた。

大きさの割りには軽い、と思った。

黒色と灰色、茶色。布切れ。

見覚えが、ある。

リタは戦慄した。

「お、王子――これは」

「驚いたか? カルッツェリオの貧民窟で拾ったんだ。なかなか活きがよかったから」

普通の人間は活きがよかったからなんて理由で、人を拾ってきたりはしないものだ。

王女殿下との最初の邂逅を思い出す。

「――アーティレット王子、とうとう人間を拾ってきてしまったのですね……」

「今の僕なら経済力もあるし、問題はないと判断した」

「問題はそこじゃありませんよ、バカですか」

「む。僕はバカではないぞ。考えなしとは言われるが」

「はぁ……」

薄汚れた襤褸を下ろすと、小さな顔が現れた。砂と泥と垢に塗れ、素肌と思しき場所など全くない。

よくもこんな状態の子供を担いで二つも街を越えたものだと呆れるしかない。

「まぁ世話を頼む。汚れているからまず風呂に」

リタが頷きながら、

「風呂にも入れずにここまで連れてきたことは腹立たしく思いますが、どうやら少女みたいですし、そうだったらそうだったでアーティレット王子を見る目を改めなければならないところでした」

と言うと、アーティレット王子は訝しげに眉を寄せた。

「何を言っている。この年齢ほどの少女の人体構造は概ね把握している。僕がそんなことをする理由がない」

至極真顔でそんなことをのたまうので、リタは思わず絶句する。

「ではまた後ほど来る」

そんなリタを置いて、アーティレット王子は部屋を出て行こうと踵を返した。

バタリと音を立てて閉じた扉に向かってポツリとこぼした。

「……この変態拾い癖王子め」

きっとその知識はズエル殿下譲りに違いない。なんというか、配慮に欠ける輩である。

リタはそっと視線を落とした。

すると、寝静まっていると思っていた少女が唐突に目を開いた。

そして跳ねるようにしてリタの膝から飛びのいた少女は、敵意むき出しの目でリタを睨みつけた。

「何でも思い通りになると思ったら大違いよ、バカ貴族! あんたたちの思い通りになんて、私は絶対ならないんだから! さっさとここから出しなさい!!」

すごく、手がかかりそうだ。

リタはすごぶる笑顔を浮かべて言った。

「言いたいことはそれだけ?」

「は? え?」

素早く手を伸ばして襤褸切れの服を掴み上げると、リタはさらに口角を上げた。

「聞いてたんでしょう? こんなに汚いんだから、しっかり磨かないと綺麗にならないわ。この後も仕事があるんだから、余計な手間をかけさせないで」

そのまま少女を引きずって浴室に向かおうとするリタに、彼女は必死の抵抗を始めた。

「ヤダ! ヤメロ、放せバカ! ブス! デブ! クソ喰らえ!!」

足をつっかえ棒のようにして抵抗する少女に足払いをかけ、再び引きずる。

「これも仕事ですから、諦めなさい」

「鬼! 悪魔! お前なんて人間の――」

リタは振り向いて、少女の口を鷲掴みにした。

「人間の、なんですって?」

そのまま力を込める。

「……なんじも、ありまふぇん」

「よろしい」

手を放したリタは再び少女を引きずろうとしたのだが、少女が手を引いた。

リタは眉を寄せて振り返る。

「……自分で歩ける」

「そうですか」

とは言うものの、逃げ出されても困るので手は放さずに捕まえたままだ。

少女はリタが手を放しそうにない事に気づいて、溜息をひとつ吐いて歩き出した。

「あんた、慇懃無礼だな。メイドってもうちょっと優しいもんじゃないのか」

「言葉の使い方を間違ってます。慇懃無礼とは自分より目下の者に対して使う言葉です」

「……そっすか」

「ええ」

実はリタもよくは知らないが。

そんなことをやっている間に脱衣所についた。

「さぁ、手を上に伸ばして」

「ほい。って、自分で脱げるっつーの!」

薄汚れてほつれたりしていてよくわからなかったが、貫頭衣だったらしいそれを受け取って、リタは少し考えた後で丁寧に折りたたんで藤の籠に入れた。

胡乱な目をする少女の尻目に、リタは侍女服の裾を捲り上げると少女と浴室に入った。

腹部が浸かる辺りまで浴槽に湯を張り、そこに少女を入らせる。

「ふわー」

と気の抜けるような声を出す少女に、思わずリタは笑ってしまった。

自分も似たようなことを言ったのを思い出したのだ。

「熱くないですか?」

「平気」

「それじゃ、頭からかけますよ」

ぎゅうっと目を閉ざした少女の頭からお湯をかける。

その後、肩からも何度かお湯をかけ、身体の表面を暖めたところで浴槽から片腕ずつ出してもらう。

「しかし、汚れてますね。川で水浴びとかしなかったんですか?」

お湯の出る風呂は、それこそ貴族などの上流階級の家でなければ存在しない。

一般家庭での入浴といえば、桶に湯を貯めて身体を拭くか、公衆浴場を利用するしかない。

ここでいう公衆浴場は俗にいうサウナのようなもので、隙間を空けた床板の下に焼いた石を敷き詰め、そこに水をかけると出る湯気を使って汗を流すのだ。

ただし、当然無料ではなく、一般家庭といえども毎日通えるほど安いわけでもなかった。

そのため、貧困層ともなると街を流れる川の水で身体を洗うしかない。

しかし。

「……あんたには関係な」

「しかし汚れてますね。洗い甲斐がありますねぇ」

「……カルッツェリオの水路は貧民窟には流れてねぇ。全部壁の外っかわだ」

「壁? あ、今度は逆の腕を出してください」

お湯をかけながら文字通り、少女の身体を磨きながら尋ねる。

少女は大人しくそれに従いながら、何処か怨嗟の篭った声を出した。

「街のやつらは孤児とか貧困層を一箇所に集めて、そこを高い壁で覆ってるんだ。唯一の入り口を兵士で見張らせて、そいつらが幅利かせてやがる」

「あぁ、通行料とか言い出すわけですね、あのクズどもが」

「そ、そうだ。街の美化だとかなんとかしらねぇけど、いい迷惑だよほんと」

リタはそれきり黙って、垢まみれの腕を布でよく擦った。

暖かいお湯で浮いた垢が、布で擦ると面白いように剥がれ落ちていく。余りやりすぎると肌を傷つけてしまうため、リタは記憶を探りながらどんどんこなしていった。

上半身を磨き終えると一度お湯を抜いて、もう一度張りなおす。

「今度は肩まで浸かって、足はここの台に乗せてください」

「こうか?」

「よろしいです」

枯れ木のように細い、けれど少女らしいしなやかな足を手にとって、リタは同じように垢を擦る。

なるほど、これは面白い。

自分が大牛に拾われたときも散々湯場で磨かれたが、そのときの侍女の顔を思い出して納得した。

きっと自分も同じような嬉々とした表情で少女を磨いているのだろう。

垢を擦り終えた足にお湯をかけると、そこから白い肌が覗く。


快感。


「何ニヤついてんだ、きもちわりぃ」

「お気にせず。ただの思い出し笑いです」

「……あっそ」

そして最後に頭を洗う。

湯場にいけばあるのだが、ここには香油を置いていない。

一通り洗い流した後、風呂から上がってもらって石鹸のみで身体を洗う。

その間に再び、今度は肩に疲れる程度のお湯を張っておく。

指先でマッサージするようにして洗い始めると、少女がくすぐったそうに笑い出した。

「我慢してください」

「だ、だって、手つきが。手つきが、エロいんだもん!」

「何を言ってるんですか」

擦るだけでは全ての汚れを取ることは出来ない。

本当なら全身をじっくりとやりたいのだが、早くしないと王子がやってくる可能性がある。

頭と腕と足のみを重点的に指圧して、汚れを取り除いていく。

されるがままになった少女が、天井を見つめながらボソっと喋った。

「悪かったな、こんな襤褸雑巾みたいな小娘洗わせて。別に私のせいじゃねぇけど、あんたの服も汚しちまったしよぉ……」

自分はあのときなんと言ったか、似たようなことを言った覚えはあるが良く思い出せない。

けれど、あのときの侍女は笑って言ったのだ。

「汚れは侍女の誇りです。この汚れは、あなたを一人の女性に磨き上げた私の勲章です」

もちろん、汚れたままでいるのはただの不衛生なだけだが。

この言葉に当時の自分はやたら感銘を受け、自らもこのような侍女になってみたいと思ったのだが、目の前の少女はと言えば――

「なんだ、その嘘くせーセリフ。きもちわりぃ」

本来ならここで感動を与えられるはずなのに、おかしい。

リタは首を捻って、少女を浴槽に浸けた。

「ふおー!」

奇声を上げながら身体を伸ばす少女を見て、昔の自分よりも図太そうだなと思った。

あのときの自分はこの少女よりもっと殊勝な態度だったはず。

名状しがたい感情は置いておいて、リタはタオルと服を用意することにして浴室を出た。

服とは言っても、風呂上りに着る貫頭衣しかここには置いていない。

普段着は別に用意をしなければいけないだろうが、彼女を置いて侍女長を探しに侍女統括室に行くことはできそうにない。

ひとまずこれを着てもらっておいて、王子が来てから対応を考えよう。


とりあえずの対応を決め、用意を済ませたリタは少女を浴槽から出してタオルで拭いていく。

それから脱衣所に通すと再度水気を落として、用意しておいたクリームを薄く肌に延ばした。

「何これ、変な匂い」

「これは花の蜜とミルクを混ぜたもので、保湿効果があります」

「ホシツね、ホシツ」

少女に服を着せて部屋に通すと、椅子に鎮座している二匹の猫を脇に押しやってそこに座らせた。

「王子が来るまでまだしばらくありそうですから、ここでお待ちください」

リタは少女の背後に回って、タオルで髪の水分を押し取った。

長い間手入れさえなかった髪の毛は痛み放題荒れ放題で、強く引っ張ればちぎれそうなほどだった。

それに先ほどとは違ったクリームを塗りこんでいく。揉むようにしてゆっくりとなじませる。

「……さっきのよりこっちのほうがいい匂いがする」

「そうですか。中に入っている花の種類が違うんですよ」

「へー」

さして興味のなさそうな声を出す少女。

顔にもまた別のクリームを塗ったところで、ノックの音がした。

「はい」

「アーティレットだ」

リタは扉を少し開けて確認する。

間違いない。

「今用意が終わったところでした」

「知っている」

「……そうですか、この変態」

「僕とリタの間で何か深い勘違いがあるように思うのだけれど」

「気のせいですよ、この変態」

「さて、それで」

アーティレット王子は強引にこの話を切ると、少女のほうを向いた。

「改めて君の名前を聞かせてもらおうか」

「なんでてめぇに教えなきゃ……いけな……うっ。…………アヴェリア」

そういえば名前を聞いていなかったと思ってリタが少女のほうを向くと、何故か少女は声を詰まらせた後で搾り出すように名前を言った。

名前を聞けてご満悦のアーティレット王子だ。

「そうか、アヴェリアというのか。僕はアーティレットだよ、アヴェリア。」

「けっ」

「さて、リタ」

アーティレット王子がリタのほうを向いた。

「なんでしょうか」

「この子を客人扱いにするから、世話をたの――」

「お断りさせていただ――」

「――頼んだからね?」

にっこりと微笑んだアーティレットに、リタも微笑み返す。

「――了解いたしました」

アーティレットは手に持った一枚の紙をリタの前にひらつかせ、リタはアーティレットの爪先を踏みつけていた。

冷気漂う両者を見ていられず、アヴェリアはそっと視線を逸らしたのだった。







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