21/22
からっぽ
この部屋はからっぽ。
ワタシと、ワタシの手の上にある小さな箱しかない。
机やいす、感情さえも無い。
今日もつまらない一日だった。
授業は話をするだけ。
当てられたら答えを返すだけ。
楽しくもなんとも無い。
楽しいことなんて何も無い。
友達はいない。いらない。
友達なんてうるさいだけじゃないか。
私に初めて『友達』ができた。
私は『友達』ができたことで、いろいろなことを知ることができた。
『友達は《大切》』である。
『友達』ができて分かったことがある。
それはあの部屋のこと。
あの部屋は私の心。今はワタシの他にもう一人、人が立っているだろう。
部屋の中にいるワタシは偽善者の私。
あの箱の中にあるのはきっと―
―『本来のわたし』