貴方とずっと共に居たい(前編:全年齢部分のみ)
1年半の婚約期間を経て、私は今日、彼と結婚式を挙げた。
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――...一応言っておきますけど、気持ちは嬉しかったです。けど、貴女に恋愛感情がない間は、”そういう”交際をしたくないんです。ごめんなさい
かつて、通学路が同じだからという理由で行き帰りを共にしていた彼に、私は気持ちを伝えたことがあった。
返ってきたのは、丁寧で、残酷な拒絶の言葉。
それでも彼は私の隣に居続けることを否定しなかったから、私はその優しさに甘え今日までずっと彼のそばにしがみついていたのだ。
その後偶然か否か、私と彼の婚約が決まった。
彼からすると、告白を断ったはずの人との不本意な婚約であったはずなのに、それは今日まで続いていた。
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――永遠の愛を誓いますか
これまで手すら握ったことのなかった彼と、唇を重ねた。
今回の結婚の発端は、私が一方的に"彼を好きだから"という理由だけで結んだ婚約だった。
それなのに誓いの瞬間の彼は、どうしてあんなにも愛おしそうな目で私を見てくれたのだろう。
貴方は私のことなんて、好きじゃなかったはずなのに。
形式だけの、義務のキスだったはずなのに、私の心はこれ以上ないほどに満たされていく。
あぁ、私はずっとこうして触れたかったんだ――心の奥底から、抑えていた"彼の事が好きだ"という気持ちが溢れ出した。
参列してくれた友人や家族からの、温かい祝福の拍手が響く。
やっと、やっと正式な立場で彼の隣を歩ける。そう思うと、堪えていた涙が視界をにじませた。
――それから数時間後。
式を終え、結婚前に二人で用意しておいた新居へと帰ってきた。
夢にまで見た「二人で入る我が家」の余韻に浸り、今日という特別な一日を思い返しているうちに気づけば日はすっかり落ちていた。
コン、コン――
静まり返った寝室に、彼との部屋を隔てるドアから遠慮がちながらも確かな音が響いた。
「雪華、そちらの部屋に行っても?」
彼の聞きなれた少し高めの声がドア越しに聞こえてきた。
その響きだけでも私の鼓動は不規則であるがハッキリとしたリズムを刻み始める。
「......はい」
"彼の気持ちは私に向いていない"ということを嫌というほど婚約前から私に言い聞かせていたはずだった。
だが、結婚式で彼が私に見せたあの愛し気な眼差しが脳裏をよぎる。
希望はゼロに近いと分かっていても淡い期待が胸に膨らみ、気づけば喉の奥から微かな返事を絞り出していた。
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