Issue#01 I I I Don't Want to Set the World on Fire CHAPTER 01 07
ほどなくして、3種3様の足音が玄関先に募り、四方の空気をせき止めるようにして立ちふさがった。
「どういうつもりなの!」
先陣を切ったのは、さなだ。持ち前の柔声を、今は詰問の調子に染めて放つ。
「ピザ食べながらでもできる話だったら承知しないからな」
続いてアシュリーが応じ、強気な眉と声の鋭角で追い打ちをかける。
この瞬間の彼女たちは、まるで侵入者に気づいたケルベロス――3つ頭の番犬さながらであり、
尊の前に並んで立ち、遠慮会釈もなく詰め寄った。
「そこまで優先する用っていうからには、それなりの理由があるんだろうね?」
おせちもまた、冷静な口調で追及するが、顔つきは存外に鋭く、情に流されぬ気配を漂わせていた。
だが、そうした3人の問いを前にしても、尊は1歩も退こうとしない。
「もちろん“それなり”じゃ!だからこそわざわざテレパシーで呼んだんじゃろうが!……なのに無視しおって!」
目を見開き声を張ると、尊は、指をまっすぐ玄関の扉へ突き立て、こう言い放つ。
「今から日々の訓練を怠っとらんか、抜き打ちでテストするぞ!おのがじし、戦装束に着替えて前庭に集合せいッ!」
その一喝たるや、1対4という人数差をものともせぬ気迫があり、堂の空気は一転、凛として張り詰めた。
「えっ、最近そんなのほとんどやってなかったのに……なんでぇ?」
さなが思わず眉をしかめれば、
「そーだし、順番が変だ。腹が減っては戦は出来ぬって言うだろ」
と、アシュリーも口を尖らせる。
それに対して尊は、あくまで動じず、むしろ一段と声を引き締めて告げた。
「どうしてもじゃ!理由は終わってから説明する!……それと、終わったらちゃんと寿司を頼んでやるからの!」
――すると、その刹那だ。
「……ヤッホー!そうこなくっちゃ、さすが母ちゃん!」
「落として上げる、感情操縦の手本だね!」
「今度カラオケで『Dear Mama』歌ってあげるから!」
「ヤッピー!」
呆れるほど現金な娘たちは、手のひらを返すがごとく満面の笑みを咲かせ、踊り出した。
手をつなぎ、軽やかなステップでその場を回りはじめたのは、さなとアシュリー。やがて他の2人も、これに続く即興の
自由なダンスをする。狭い玄関の空間は、さながらクラッカーが乱れ飛ぶ祝祭のごとき喧騒に包まれ、
その目映さと賑やかさとに、尊もまたしばし呆然とせざるを得なかった――が、それもまた、
この一家らしい日常の一景なのだった。
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本家:ページ中にキャラのコンセプトアートなどあり
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