Issue#01 I I I Don't Want to Set the World on Fire CHAPTER 04 09
「……う、浮いた!?」
「嘘だろ、なんで俺まで――」
「こ、これ助けてくれてんのかな!?」
宙を舞う札たちは、熱と煙の渦の間を休むことなく奔走しつづける。人間という荷を見つければ、黄ばんだ紙片の束で包み込み、即座に空中へ持ち上げた。
札の群れは、通りの曲がり角や障害物も正確に計算し、必要な進路を瞬時に選んで、要救助者を次々と運ぶ。たとえ見知った者同士であっても、その搬送先は戦況の要請に応じて細やかに分けられるが、しかしいずれは、戦いと無関係な場所に送り込まれる……。
安全圏まで退避できた者たちは、無数の紙片が体から剥がれていくのにつられ、
「えっ?」
と、お互いの顔を呆然と見合わせた。
誰もが、急に取り戻された「現実感」を咄嗟には信じられずにいる。
「……夢か?」
「いや……でも、さっきまで……」
「助かったのか、これ……?」
風に舞う数枚の呪符――ひとりの視線が、無意識にその背を追う。
紙片には、幼い手跡でひと言、優しい文言が書き記されている。
《このまま、できるだけはやく》
《とおくまでにげてくださいね》
人々の胸に残ったのは、そのささやかな墨跡と、ようやく靴底に感じられてきた地面の実感。
札はそれだけを告げて、次の任務を急ぐように、都市の空を流れていった。
この高度なオートメーション救助が各所で進む中、ミーティス自身もまた、親衛隊としての約100枚の札を背後に従え、逃げ遅れた者の捜索に乗り出していた。迅速なホバー移動で次々と角を曲がり、視線を細やかに巡らせながら、取りこぼした存在の気配を自身の感覚で直に探って、この戦場という迷宮を踏査していく。
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