Issue#01 I I I Don't Want to Set the World on Fire CHAPTER 04 05
轟――ッ!!
まさにその瞬間、爆裂音が大気を引き裂き、まるで街そのものの咆哮であるかのように、地面が爆ぜた。
石材が弾け、アスファルトの皮膜がめくれ上がり、瓦礫と砂塵があちこちへと飛び散る。
そこを割って現れたのは、銀色に輝く、巨大なステップドリルの先端だった。
日光をにぶく弾くその螺旋の刃が、なおも回転を続けながら、くだけた舗装を絡め取り、
地上へと、その構造体の残るすべてを這い上がらせてゆく。
「わぁあああッッッ――!!」
叫び声とともに、歩道にいた群衆が一斉に走り出した。
押し合いへし合いながら方々へと散っていく背中の列、その恐慌に満ちた足音が鳴り響くなかで、
アシュリーだけは、まるで別の時間に身を置くかのように微動だにせずその場に立ち、
目を細めて、ひと息ぶんの静けさに声を落とした。
「でかいな……」
地上に姿を現したものは、ちょうどスノーモービルの車体に、逆錐状に溝を刻んだ鋼鉄の円錐を接合した異形の機械だった。
名を与えるなら、「ドリルタンク」と言うほかないその頑健な車両は、まるで自らの重みに苦しむかのようにして、ひび割れた道路の、土がむき出しになったところの傾斜を、えらく時間をかけて乗り越えた。
スパイクが隙間もなく並んだキャタピラは、細かな回転のたび地面を執拗にかきむしり、そのたびに破片と土煙を低く舞わせた。
車体の、前部のハッチがゆっくりと持ち上がると、その奥から、曇ったゴーグル越しの視線が4人の少女に投げかけられる。
つまりこれは、制御された兵器なのだ。人間の明確な意図を持って操られた……。
「ヘイデュード、お前、どいつを狙えばいいか知ってるか?」
その声とともに、オカピの獣人――プロディジーが、車のドアを内から乱暴に蹴り開け、地上へと姿を現す。
アスファルトの地面に、亀裂まで残す豪胆な1歩目には圧倒的な足の長さと質量があり、
次の瞬間、彼の全身が、見上げる者の視界を埋め尽くすように立ち上がっていく。
長すぎる首がゆっくりと伸びきり、猫背気味だった肩がぐいと開かれると、
異形の体躯が、青空を背にそびえ立つ。
かの狭小な車内に、いったい、これほどの巨体がどのようにして収められていたのだろうか?
車外に解き放たれからの時間がたてばたつほど、その問題への理解は際限なく難しさを増していくような気がした。
「そりゃ簡単だぜ、ビッグ・ブラブ!つまりよ……オカピとカバじゃねえヤツ全員さ!」
そう吼えたのは、低く響く地声を、その奥から引き裂いていくかのような明るさで笑う、カバの獣人ハヴォックだった。
降車に弾みをつけるために、車両のルーフを、手首のくびれもない巨大な腕でつかんだ彼は、
そこが本来固定された鋼鉄の1枚板であることなど意に介さず、厚手の布でもそうするよう簡単に押し上げていく。
黒光りする爪先が装甲の表面を引き裂きながらずり落ちる。塗装の剥片が宙に舞い散るなか、
1秒でも長くこの車内にいたくない、そんな、熱い風呂から逃げだす子供の衝動で、カバの男は巨躯を丸ごと車外へ飛び出させた。
するとその瞬間、彼の体重と力が集中した車体の側面に、おどろくべき変化が刻まれた。
地下の高圧にも耐えうる頑強な装甲板が、まるで粘土細工を指で押したかのようにふかく陥没し、5本の指の形がありありと浮かび上がったのだ。
さらに驚嘆すべきは、車体全体が波を打つように歪み、押しのけられた瞬間のままに、永続的な傾斜を描いて湾曲してしまったことだろう。
鉄を壊すというより、まるで鉄などそこには存在しなかったかのように振る舞う。
彼の圧倒的な腕力にとって、「物質」とは基本的に柔らかく存在するもののようだった。
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本家:ページ中にキャラのコンセプトアートなどあり
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