Issue#01 I I I Don't Want to Set the World on Fire CHAPTER 03 12
撃墜されたアシュリーは、寺の前庭に敷かれた砂利の上を、何度となく派手に跳ね返り、
やがてその動きを失って、大の字に体を開き、静かに地面へ沈んだ。
3人がその落下地点に駆け寄ると、
「……なんだよ!? 誰も1日分の片栗粉が欲しいなんて言ってないぞ!」
立ち昇る砂煙に包まれて、粉まみれのアシュリーが体を起こす。
その姿はまるで、巨大なたい焼きでも爆発させたかのように見えた。
そこにはちるがしゃがみ込み、説明を始める。
「あのねアシュリー、いい? ミサイルの軌道を衛星が観測できるのって、宇宙に上がってくとこまでなんだよ?
ミサイルにおかしなことが起こったのは、宇宙に到達して、それから地上に落ちていく後半の軌道の部分ね?そのへんはみんな地上のレーダーが見てるから、宇宙なんて行ってもムダなんだよ!?」
「ウソだろ?……おいッ!そういうのは義務教育で教えとけよ!」
一瞬呆気に取られたアシュリーだったが、すぐに負けん気の色を取り戻し、砂利面をひとはたきしながら悪態をつく。
「……ねぇアシュリー、冷静になってよ。決定的な証拠を掴む前からこんな目立つことをしてちゃさ、事を構える勢力が増えてくだけだよ。
中でも国と対立するのは1番マズいよ?そんなことしたら、
シャカゾンビを捕まえたところでもうこっちの話はロクに聞いてもらえなくなるんだからね。
あからさまな犯罪は控えよう。本当の本当に大事な決断を下す時まではさ」
アシュリーという娘が、時に古風な老人のような頑固さを見せることは、身近な者ならだれもが知っている。
しかし、それはまたおせちも同じことなのだ。つまりアシュリーの感情が逸ったときには、彼女がふと、
その夫人のような面差しを呈して、この小さな家長の暴走を抜かりなくいさめていくのだった。
*
誰もあえて、さきほどの出来事――爆発も粉まみれの顛末も――には触れようとしない4人は、
1列になり、家の玄関まで粛々と引き返していく。
「――あっ、アシュリー!ちょっと待って。部屋、粉まみれにしないでね」
家に入ったその瞬間、さながくるりと振り返って声を上げた。
その目線は、アシュリーの“ドレスコード”、すなわち、頭から爪先まで白くまみれたその姿へと、まっすぐに注がれている。
「 お前らがやったんだろうが!」
アシュリーは両腕を大きく広げ、まるで法廷劇の被告人のように堂々と反論する。
だが、
「部屋に入らなかったらいいからね。はい、お風呂行ってきて。頭冷やすのも兼ねてね」
と、背後からおせちが近づき、淡々とした手つきでその小柄な肩を押し出す。
体が踵から滑り出したことによって、
「うぅん……!」
不満げなうめき声を漏らしつつも、アシュリーは観念した様子で自分から歩き出した。
木の廊下には、風呂場の方へと向かう白い粉の足跡が点々として落ちる。
その場に膝をついたおせちは、さっと雑巾を取り出すと、廊下に散った痕跡をひとつずつ丁寧に拭き取っていく。
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本家:ページ中にキャラのコンセプトアートなどあり
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