Issue#01 I I I Don't Want to Set the World on Fire CHAPTER 03 07
……情景は、束の間の恍惚境だろう。
清冽なまでに白く澄んだ肉体が、やすらぎに身を委ねるこのひとときは、
天上の夢に通じる、言祝がれるべき時間であり、
もしも「作品」として、目撃者の存在を不可避とする形式を取らなければ、
本来は、誰の視線にも触れぬまま、ひそやかに、無垢に、通り過ぎてゆくべきものだった。
上半身をあらわにしたアシュリーは、左右から腋のくぼみをわずかに寄せるようにして腕を上げ、
かき乱れた紅の髪をひた結い直していた。肩甲骨の浮かぶ背中は、腕の事こまかな動きにあわせて、
その陰影をまるでオールのように器用に浮き沈みさせていく。
暴れる髪先はしばしば肩に振りかかるが、そのたび首の動きで跳ね返され、
そうなれば、静電気が彼女の肌の上をたわむれのように伝って、細く分かれた髪の房をふわりと宙へ持ち上げる。
だがそれでも――そのうなじには、どうしても汗に根付いた赤い毛束が数本、
とりとめもない流水模様を描きながら、ずっと貼りついたままでいるのだった。
おせちは、前かがみにした尻にふとのしかかってきた感覚、ピンクの水玉パンツの、
自分自身戸惑いをおぼえるほど生々しい密着と湿り気に一瞬、浮かない顔をしたが、
あくまでそれは私的な空間での出来事だったから、感覚はすぐに放下された。
ただ、それはそうとして、客観のまなざしで見るならば、おせちの尻に刻まれた肉のやわらかい実相は、地肌の色をのぞけば、ほとんどすべてが暴かれてしまっている。
胴と脚のつなぎ目――そこの、呪いでも帯びているかのように淫靡な形状が、
1枚の下着によって、余すとこなく”拓”を取られてしまっているのだ。
しかも下着の皺というものはこの時、三日月をふたつ、背中合わせにしたようなひと筋のくぼみ、その危うい一線へこそこれ見よがしに寄り集まり、淡々とした仕事ぶりで、生命神秘の要とも言うべきあの”かたち”までも、半ばまで象ってしまっていたのである。
彼女は、その布の密着した尻を何もない空間へと無防備に突き出したまま、
部屋着のスカートを――どこまでも因果なことに――見る者の神経をじりじりと焦がしながら、
もっとも苛立たしい形で欲望を刺激する、あの絶妙な緩さと、身のかたむけ方、そして手つきとで、
そっと上からあてがっていくのだった。
しかし無論、当のおせち、そして残る3人の乙女にも、誰かを誘惑しようという意図など、
その動作のどの部分にさえ、微塵ほども込めたつもりはないのだ。
さなは、真白い腕をひとつ滑らせ、新しい服へとしなやかに手を伸ばす。
彼女の動きはまるで蝋が音もなく形を変えるかのように静謐で、
細い肩にかけられた服の布地がなびけば、透き通るような背中の線を一瞬だけ照らしては隠していく。
その姿は、触れれば壊れてしまいそうなほど精妙で、どこか人形じみた非現実性を帯びている。
一方ではちるはどんな種類の色気も自分自身では披露せず、とにかくわんぱくに服を脱いで着た。
その動作には獣人特有のおおらかさが常に宿っており、人間の少女たちよりもはるかに素早く身支度を済ませ、終われば即座に背中からベッドに飛び込むのだ。脱ぎ捨てられた衣類はというと、
身支度を終えたおせちが、嫌な顔ひとつせず、てきぱきと片付けて回るのだった。
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