表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カルテット・マジコ  作者: piku2dgod
Issue#01 I I I Don't Want to Set the World on Fire

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

30/64

Issue#01 I I I Don't Want to Set the World on Fire CHAPTER 03 03

「私たちは――」

希望に胸を震わせながらアシュリーは声を上げたが、


「連絡があるまで待機!」

と尊が力強く即答したことで、


「えぇー!?」

4人は、声を重ねて不満をあらわにすることになった。


「……いや、でも、それがいいかもね。考えてみたらさ、事態が大きすぎるヨ‥‥‥」

いちはやく冷静さを取り戻したはちるが、言葉尻に諦念を滲ませて言う。


「はちるはやはりようわかっとる!たしかにな、わしはお前たちはサイキックの扱いを教えはしたぞ。

しかしな娘っ子たちよ、『戦い』というのはヒーローがこなすべき仕事のほぉ~んの一部分にすぎん。


それ以外の事についてはわしはお前たちになにも教えてはおらん。

今回のようなお国の一大事には、お前たちはまだ関わるべきではないということじゃ」


「……」


尊の言い分は真っ当だから、様々な事柄を勘案して次の1手を考えたがる性質のおせちは、何も反論できず黙り込むしかない。しかし隣のアシュリーは、何か言いたげに唇をかみしめ、黙って地面を睨んでいる。


「ただ、お前たちもシャカゾンビのターゲットに含まれておることがこれでハッキリした以上、

完全に関わらせんというのはもう無理じゃ。


だから、手伝わんでいいとまでは言わん。力が必要となった時は必ず呼ぶがゆえ、

とにかく今は日常の何事にも気を払いつつ、母からの連絡を待っておれ」


と言い残すなり尊は、超常の跳躍力を発揮し――一瞬でこの災厄の現場から姿を消した。


*


ミサイル明けて次の日。

そこからの3週間、吉濱家の4人の娘たちは、それぞれが自分を誤魔化すような顔で学校に通った。

クラスメイトと談笑するひと時も、4人で囲む夕飯の時間も、心の底からは楽しめない。


「シャカゾンビ」という名前については嫌というほど知ったが、その実、何ひとつとして正体のわからない相手から、目に映るすべて、出会うすべて――すなわち大切な日常を守り抜く義務が、彼女たちには重くのしかかっていたからだ。


住宅街の、夏の余韻が重く垂れ込める影、そのどれがいつ、いかなる形で異形の本性を現し、襲いかかってくるかわからない。


教師や友人の姿で近づいてくる可能性さえあれば、反対に彼らが無理やり巻き込まれる危険もあり、4人は、教室の扉が開く音にさえ反射的に振り返り、廊下ですれ違う同級生の無邪気な笑顔にすら、どこかぎこちない会釈を返す日々を送っていた。


想像力に応じて無限に変貌し、いくらでも新たな形で襲いかかってくる取り越し苦労の数々――そのすべてが、じわじわと心の内に沈殿し、吉濱家の娘たちを静かに、確実に疲弊させていくのだった。


*


そうした個人の不安をよそに、この時期の極東情勢はというと、ミサイルのハッキングが明るみに出た直後、北朝鮮政府が即座に公式声明を発表している。

その内容は、空縁州の1件について、「外部勢力の干渉が我々の意図を歪めた」「日本帝国主義者の挑発行為に他ならない」と断じるものであり、一貫して自己の正当性を強調する他責的な姿勢が際立った。


さらにかの国は「無慈悲な報復」を宣言し、今後のさらなる対抗措置に対する揺るぎない決意を示した。極東の空は、地上の不穏さを反映するかのごとく、一層重くよどみ始めていた。


09月09日。日本国政府は、先日のミサイル本土着弾に対する報復として、海上演習の実施を明言する。

防衛省は、日本海の広範な海域において単独の、前例なき規模の実弾演習を可及的すみやかに行うと発表し、護衛艦の甲板に立つ隊員たちや、冷たく点滅する操舵室の計器盤を映した映像が各局のニュース画面を埋め尽くした。


この動きは、北朝鮮への警告であると同時に、米韓との連携よりも即応性を重視した一手として、国民の間で注目を集めた。


その12日後、北朝鮮が再びミサイルを発射した。夜明けの薄闇に解き放たれた短距離弾道ミサイルは、

弧を描きながら日本海へと進み、凪の日の波間に突き刺さり、数10mの水柱を白く噴き上げて波紋を静かに広げた。


なんと驚くべきことに、この事態は来たる09月29日に日本が大規模演習を予定していた海域の中心で起こったのである。海上保安庁の監視船が、揺れる甲板からその決定的な瞬間を捉え、映像は瞬く間に世界に配信された。


同日、北朝鮮の国営メディアは「帝国主義者のサイバー挑発を粉砕」と高らかに宣言。

あわせて、「あらゆる挑発に対する全面的な報復措置を講ずる準備がある」とし、

さらなる軍事的エスカレーションをほのめかした。


この動きに対応して世界連邦安保理は緊急会合を招集するも、常任理事国の対立で議論は膠着。

ソウルの街角では市民がプラカードや大型のタブレットを掲げ、東京の大統領官邸前ではデモ隊の足音が舗道に響いた。東アジアの情勢は、いよいよ風雲急を告げていた。


高評価やブックマーク、本作のご紹介、Xのフォローなどで応援いただけますと幸いです。制作の大きな力になります。


https://x.com/piku2dgod


本家:ページ中にキャラのコンセプトアートなどあり

https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=24843658

https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=25490740

https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=26572256

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ