Issue#01 I I I Don't Want to Set the World on Fire CHAPTER 01 03
3人目の少女は、
その名を「さな」といった。
(さな 制服)
(さな バトルコスチューム)
すでに紹介したアシュリーほど空を自分の物にできているわけではないが、
安定したホバー移動をしていることにはかわりない。
このサイキックの王道をゆく移動法は、本人にとってきわめて日常的な振る舞いだったようで、
身にまとうものも、赤いジャージの上下というまったくの部屋着にすぎない。
だけどもその在り方は、凡俗の印象からはほど遠い。
しっとりとした質感をたたえたミディアムヘアは、水をはね返すことすら忘れた花弁のように、白さのうちにかすかな湿り気をとどめて、
その端正な髪のすぐ下には、何につけても美醜の配分に偏執する神が、その均衡を放棄してまで施したのではないかと思わせるほどの、
息を呑む造形が据えられていた。華美が惜しげもなく注ぎ込まれた、赤の双眸である。
その眼差しには、眉間から流れ込む緊張を、涙嚢から外眼角にかけた儚げな傾斜でそのまま受け流して留めない、絶妙なたれ具合があった。
首から上の印象は、あるいは体にもそのまま適応されるだろう。
能力を行使している時にこそ、彼女の肉体からは、世間の猥雑さと向き合うために誰もが幾ばくかは用意しなければならない、「力み」がすっかり取り払われる。交感神経を働かせるための、何か無視しがたい毒性のある水にかわって、瞳の持つ閑雅な気配が、しずかに、たしかに、茎の末端にまで浸透していくのだ。
肌の色にも、雪を思わせる中に適量の血色が匂いやかに溶かし込まれ、肢体の輪郭には、彫琢された宝石の、鑑賞に向いた静謐さがある。
ならば、造物主が彼女に強いた不完全とはなんだろう?そう、 この「和氏の璧」にも、ひとつだけ瑕があった。
美があまりにも行き届きすぎたその身体は、芸術の域を踏み越え、祈りのように存在としてか細くなっており、生命という奔流を受け止める容れ物――ときに動き、荒び、燃え上がる器としては、どうしても壊れやすく見えてしまうのである。
最後に名を挙げる「はちる」は、ひときわ異彩を放つ変わり種だ。
(はちる バトルコスチューム)
というのも、この娘はホモ・サピエンスにすら属さぬ存在――ネコ科の獣人なのだ。
ユキヒョウか、あるいはホワイトタイガーを想わせるその風貌は、
まずもって2足歩行という点をのぞけば、むしろ動物としての面影を随所に濃く留めている。
たとえば、逆巻く毛並みの長髪などがそうだ。ここにはいかにも野性の風味が集結しており、頭髪という、ヒトに特有の部位でありながら、
百獣の王のたてがみを彷彿とさせる気高さや、強情な撥水性が透けて見える。
またその一方で顔立ちはというと、ぬいぐるみやマスコットのように柔らかく、警戒心のない丸みに満ちており、
したがってここも人間的とは言いがたい。
そんな彼女が身につけているのは、ピンクのセーターに無地の白いミニスカートという、飾り気のない普段着だ。
その無邪気な装いのまま、彼女は開き戸を両脚で蹴破る勢いで姿を現した。
高い上枠へと指を引っかけ、段違い平行棒でも渡るかのような身ごなしで勢いよく飛び上がると、
軽やかに空中で1回転――そして肉球のある足裏に介添えされて音もなく、完璧な姿勢で床に着地したのだ。
女の子としてはかなり枠組みの広い体つきのとおり、彼女は自分の体力に絶対の自信を持っているようだった。
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