issue#04 I I I Tales from Topographic Oceans CHAPTER 01 22
ホットショットは、軌道を蛇行させながら弾幕の嵐をすり抜ける。炎の渦を纏った両手からは次々と火球が撃ち出され、姉妹たちへ迫るミサイルを片端から撃墜していく。その空域には、幾筋もの爆煙の航跡が、慣性の力に従って長く刻み込まれてい
った。
「……着地するよ! 隊列を崩さないで!」
ホットショットの烈火が切り開いた一瞬の回廊――その焼け爛れた弾幕の合間へと、イムノを先頭にして、残る2人も軌道を変えながら頭から突っ込んでいく。岩陰から新たに姿を現した対空砲台が火を噴くが、それらは学生服の剣士が放つ、より速く、より精緻な光の点滅によって、その機能を永遠に停止させていった。
ついに3人は、山肌の各所に標的を定め、ほぼ同時に大地を打ち砕いて降り立つ。
着地の衝撃が巻き上げた濃密な土煙が、一帯の視界を完全に覆い隠した。やがて、その土煙の帳が風に流されて晴れていくと、そこには2つの対照的な戦いが、すでに劇的なコントラストで描き出されていた。
一方では、巨体そのものが凶器であるカバの獣人ハヴォックの剛腕と、イムノのガンブレードが、
互いの全質量を乗せて激しく衝突し、火花を散らしている。もう一方では、プロディジーが薙ぎ払った長大な鎖が、ミーティスが展開した呪符の群れに――ボールとバットのよう激突し、その第1波をまばゆい光と共に爆散させていた。
「ヘッヘッヘ、待ちくたびれたぜ、ガキども!」
ガンブレードの刀身を、腕力だけで強引に押し返しながら、ハヴォックは地を揺るがす咆哮を放つ。その剛腕が振るわれるたび、衝撃が大地を伝い、周囲の土砂を津波のように波打たせた。
「行かなくていいの?動物園の開園時間、とっくに過ぎてるけど!?」
イムノの皮肉な挑発が、戦いの激化を告げる合図となった。彼女のガンブレードが鋼の閃光を放ち、ハヴォックの拳と正面から激突すると、衝撃波がブロック状に地面を砕く。
そのはるか離れた場所では、ミーティスの呪符障壁が瞬時に展開される。
プロディジーの長大な鎖が、大気を生き物のようにうねらせながら、
超高速の打撃となって呪符の壁に激突し、連鎖的な爆発が地表をえぐり取った。
そのすべてを俯瞰するホットショットは、山頂上空に君臨する、空飛ぶ要塞そのものだった。
彼女は、あらかじめ定められた一帯を文字通り「浄化」するべく、
両腕から無数の火球を生み出していく――爆撃機の爆弾倉から投下されるように、延々と。
火球は地上へ殺到し、山肌の一帯を舐め尽くした。連続する爆発が、狼の群れの疾走する足跡のように絶え間なく刻まれ、木々も岩も、そこに潜むすべてを等しく塵へと変えていった。
その乱戦のさなか、ただ1人、スヌープキャットだけは様子が違った。彼女は眼前の弾幕を無視し、着地の衝撃を一切殺すことなく、その両の拳を、大地そのものへと深く、深く叩きつけた。
「せーのっ……にゃああああああっっっ!」
あどけなさの残る絶叫が、空気も大地も震わせ、まるでこの星の核にまで響くかのような共鳴を生み出した。ただ莫大なエネルギーだけが、白い衝撃波の円環となって山頂から一気に広がり、蛇蝎山をなす岩盤のすべてを、心臓のように、1度だけ暴力的に脈打たせる。それは攻撃というより、大地の構造そのものを、彼女の意志の下に「再定義」する、天変地異の序曲だった。
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