issue#04 I I I Tales from Topographic Oceans CHAPTER 01 21
空の一方では、イムノのガンブレードが、外科医のメスのように冷徹な閃光を放っている。ホットショットの面的な破壊とは対照的に、彼女の仕事は一点を穿つ精密射撃にこそ真髄がある。
きわどい角度から瞬時に射線を確保し、機械の精緻さで放たれ続ける光弾が、まるで針のように敵の防御網を縫っていく。その1射ごとに山肌に並ぶ砲台の装甲が弾けて砕け散り、制御パネルが火花の帯を噴き上げて、断末魔の白煙を空へと吐き出した。
対するミーティスは、爆風のうねりを肌で読み、静かに両腕を交差させた後、蝶が羽を広げるように、しなやかに呪符の束を解き放つ。数多の紙片は、彼女の手を離れた瞬間に生命を宿し、互いの間隔を保ったまま空を覆う散弾の群と変じた。群れは鋭く反転すると、低空を疾走し、残されたミサイル群めがけて、バードストライクのように襲いかかっていく。
先頭の1枚が、吸い付くようにミサイルの弾頭に張り付き、己を起爆剤として、鮮やかな徒花を咲かせた。それを合図に、続く無数の札が、それぞれの獲物へと寸分違わず正面から衝突する。
連鎖する爆発が空域を縦横無尽に駆け巡り、炎と金属片の渦が、いたるところで荒れ狂った。
パーカースタイルの道士の双眸には、網膜に焼き付いた光の残像が、万華鏡のように重なり合っていた。だが、その手はすでに、次なる1手――新たな呪符の束へと、迷いなく伸びている。
そして空の一角――そこだけは、まるで異界だった。
スヌープキャットは、降り注ぐ砲火のすべてを正面から受け止め、大の字に広げた両腕で、空や風をただ感じるがままに落下していた。ミサイルは毛皮をかすめた瞬間に粉砕し、爆風はその身体を素通りして、背後の雲層を乱すだけ。
「奥義っ……はちるーレット!!」
その飄々とした叫びが、彼女の存在を揺らがせた。
人と獣との境が解け、輪郭が流転する。肉体は目の追いつかぬ速度で点滅し、ひとつの姿に定まることを拒むようになった。
どれほど着弾の閃光が走ろうと、爆炎がその身を撫でようと、彼女は揺るがない。
戦場の重力を一身に引き受けた錨のように、ふわりとした軽口のまま、まっすぐ下方へ落下していく。
「今日のラッキーは――人間モードでいっか!あとは、上手く着地できるかな?」
……空と大地が、光と熱に満たされていく。しかしその圧倒的な明滅は、これから繰り広げられる地上戦の、ほんの序章に過ぎなかった。
高評価やブックマーク、本作のご紹介、Xのフォローなどで応援いただけますと幸いです。制作の大きな力になります。
https://x.com/piku2dgod
本家:ページ中にキャラのコンセプトアートなどあり
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=24843658
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=25490740
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=26572256




