issue#04 I I I Tales from Topographic Oceans CHAPTER 01 19
同刻。シャカゾンビの怒号が、今しがた地響きを立てて地下へとその巨体を再び収めた、鋼鉄製の昇降機の前から轟く。
「カーディB!全対空兵装、起動!奴らを――塵も残さず撃ち落とせ!」
その絶叫に応えたのは、別室の管制フロアでコンソールを乱打する、カラスの甲高い哄笑だった。
宙を舞いながら漆黒の翼でキーを叩き、電子の光が指先を走るたび、無数のモニターが赤く点滅して管制室を震わせる。
「了解っす、ボスゥ!……死のカーニバルの始まりだぜぇ!」
鋭くすぼめられた羽根先が、最後のエンターキーを叩く。
その小気味のいい音を合図に、蛇蝎山が、地殻変動にも似た重低音をさせて、かたちを変え始めた。草1本生えぬ異様な――黒い岩盤が軋みながらスライドし、その下から、特撮の秘密基地を彷彿とさせる機構が次々と姿を現す。
青白い光のドームシールドが山体を覆い、巨大なレーザーキャノンが空を睨み、山腹からは無数のミサイルサイロが鉄の牙のように突き出した。山そのものが、ひとつの巨大な殺意の塊と化していく。
そして、管制フロアから、迎撃の号砲が放たれた。
「――Fire!!!」
カーディBのその絶叫が、あらゆる音を束ねる指揮棒となる。
レーザーの発射音、ミサイルの推進音、プラズマの炸裂音、榴弾の破裂音――無数の破壊の音が、
たったひとつの轟音となって世界を飽和させる。
正午近い空は、瞬時にして光と炎の奔流に塗り替えられた。天を支える鋼鉄の梁のごとく交差する光柱、獲物を追う猟犬の群れさながらに殺到する白煙の尾、視界を焼き尽くす光のカーテン、
そして、空中に幾重にも咲き誇る、黒い死の華。それは、あらゆる物体の侵入を拒む、
絶対的な死の弾幕だった。
*
灼熱の砲火が嵐のように吹き荒れる。無数の閃光が空を切り裂き、遅れて届く衝撃波が空間そのものを揺るがす。だが4つの流星は、その嵐の中心を、まるで1本の槍のように貫き続けた。先頭を行くイムノが切り開いたわずかな活路を、姉妹たちが続く。爆風に軌道を揺らさず、炸裂に速度を殺さず、ただ、定められた1点を目指して突き進んでいく。
鼓膜を破るような轟音の中、
「う、うぅ……いっぱい飛んでくるよぉ……」
ミーティスの、今にも風にほどけてしまいそうなか細い声が、姉妹たちの耳に届いた。
「大丈夫だよ、さな。息を合わせばなんとかなるから!――アシュリーッ、お願いね!」
イムノの信頼が、ホットショットの魂に火を点けた。
次の瞬間、彼女の全身から噴き上がった紅蓮の炎が背後で指向性爆薬のように膨張し、その圧が推進力へと変換される。圧の波を背に受けた彼女は、周囲の爆炎さえ色褪せさせるほどの光の矢となって、姉妹たちの前方へと撃ち出された。
「……そっちはコート持ちか!?なら最初のキックオフはこっちだな!」
その口元が、獲物を見据える獰猛な肉食獣のように吊り上がった。残光を尾に引きながら、彼女の身体は身の上下を一気に反転させ、自らを紙束でも丸めるように軸へと折り畳み、そのまま激しい回転に移行する。
たった1度きりの旋回の極点──突き出された足先へ、周囲の空間を焦がしゆくほどのエネルギーが凝縮していった。瞬く間に、灼熱のプラズマがそこに渦を巻き、自転を続ける小さな太陽が鍛え上げられる。
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本家:ページ中にキャラのコンセプトアートなどあり
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