issue#04 I I I Tales from Topographic Oceans CHAPTER 01 18
見上げた空のはるか高みでは、3つの光点が、凄まじい速さで地表を目指して落下してくる。
それは白、ピンク、そしてオレンジに発光しながら、大気圏との摩擦で生じたプラズマの尾をたなびかせ、眼下の樹海を傲慢なまでに明るく染め上げていく。
まさに灼熱の流星群。
だが、その正体は兵器などではない。――それは、ただひたすら、
精密かつ豪快な軌道で、この山頂へ向けて放たれた、“生身”の降下だった。
3条の光芒と化した少女たちが大気を震わせる、
その灼熱の軌道に、さらに別方向から紅蓮の炎――ホットショットが、
戦闘機が編隊に合流するかのごとく、滑らかに切り込んできた。
「……よぉ、大将やってんねぇ!」
風切りの轟きにも負けじと、ホットショットが叫ぶ。すぐ隣を落下するミーティスの、
空中での必死な姿を視界に捉え、にやりとした笑みを浮かべた。
「――おいさな、見ない間に背ぇ伸びたか!?」
「……着地したら縮んぢゃいそ!」
目前に迫る蛇蝎山の異様な威容に、ミーティスはほとんど悲鳴に近い声で応じる。
「そうか、ならデカい内に何か挨拶してやれよ!」
ホットショットの悪戯めいた声に背中を押されて、ミーティスは落下しつつも体勢を整え、
眼下の岩山に向かって精一杯声を張り上げる。風に巻き上げられ、断片的にしか届かないその声は、
やはり赤ちゃんめいた、むにゃむにゃとした独特の響きを帯びていた。
「吉濱さなです! よろしくお願いします!」
「……よくできました!」
その声が合図だった。ホットショットの身体は紅蓮の彗星と化し、ミーティスの頭上を音速でかすめ飛ぶ。一瞬、伸ばされた手が、親愛を込めてわしゃわしゃと彼女の頭を撫でた。灼熱の残像だけが、束の間の温もりと、焦げ付くことのない炎の祝福を、その白い髪に刻みつけていく。
眼下に迫る実戦の緊張も、鼓膜を叩く風圧も、その間だけは、
ミーティスの感覚から跡形もなく消え去っていた。
家族であり、憧憬のすべてを捧げた存在から不意に授けられた、あまりにも無警戒で、
同時に、限りなく温かいひととき。その幸福が、彼女の表情を、信頼だけで満たされた仔犬のように、
ふにゃりと蕩けさせていく。
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本家:ページ中にキャラのコンセプトアートなどあり
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