issue#04 I I I Tales from Topographic Oceans CHAPTER 01 11
1時間後……。
「……またでちゅか!やり方をどう工夫したところで、
どうしても同じところでコンピューターがダウンしてしまうでちゅ!」
マクロブランクの甲高い絶叫が、広大な空間に乾いた反響をよこす。
彼は宙に浮かぶ、フリーズしたままのホログラムディスプレイを苛立ちまぎれに触手でかき消し、
刃のような視線をシャカゾンビへ突きつけた。
「やっぱり!電力だけはどうしても、ぜぇぇぇぇっっっったい!
ぜぇぇぇぇっっっったいに必要でちゅ!!!
とくにこの!今わちきがやってる“時空座標キャリブレーション”の工程には、
最低でもっ、ギガワット級のっ、安定した供給がッッ!
……シャカゾンビ!
これ以上作業を続けろというなら、今すぐ決断するでちゅ!
今のこの、ホタルみたいに不安定な電力じゃ、変なところでハングしてゲートがそのままブラックホールになる可能性だって十分あるんでちゅからね!」
彼は怒気を隠そうともせず、装甲に覆われたシャカゾンビの膝を触手でつつきながら、まくし立てた。
「……設計は終わってまちゅ!計算も全部済ませまちた!組み立てもやってまちゅ!
あとは、あのスタートボタンに十分なエネルギーが流れれば――それで全部、終わるんでちゅ!
……なのに、この体たらくは何なんでちゅか!?
“何なんでちゅか”と聞いてるでちゅ!」
シャカゾンビは、その剣幕を前にただ黙して立ちつくす。もはや言葉を返す気力もない。
「……とにかくエネルギーでちゅ!エネルギーだけでも、今すぐどうにかしないと、
この計画はもうここから1ミリも先に進みまちぇん!
このままじゃ、わちきもお前たちも、この薄暗い洞窟で仲良く価値のない化石になっていくだけでちゅよ!?」
マクロブランクの叫びが落ちると、嫌な静けさがしばらくあたりを支配した。
シャカゾンビは深く肩を落とし、眼窩の奥で青白い光を揺らめかせながら、重い思索に沈む。
「……そうは言うが、現実の壁は高いのだ。新しい動力炉を調達するにも、
増設には月単位の時間を要する。それに――先のテラリアキングとの1件。
奴への身代金のために、資材の多くを手放さざるを得なかった」
その声は疲労に掠れていたが、響きにはなお、冷徹な理性がかろうじて宿っていた。
「じゃあ、どうするんでちゅか!?ワチキはそういう泣き言は聞きたくないでチュね」
マクロブランクが詰め寄ると、
「それは……だなぁ……」
シャカゾンビは顎に指を当て、しばらく黙りこくった。
「……分かってはおるのだ、こちらとしても、状況は。だが、今は他に術がない。とにかく今日は、貴様の言うその省エネの“工夫”とやらを、すべてのパターン試すことに徹してはくれまいか……」
この瞬間の、シャカゾンビの意外なほど下手に出た口ぶりに、
「……」
マクロブランクは不満げに触手をうねらせながらも、しぶしぶゲートへと戻っていくのだった。
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