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カルテット・マジコ  作者: piku2dgod
Issue#04 I I I I Tales from Topographic Oceans

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279/294

issue#04 I I I Tales from Topographic Oceans CHAPTER 01 10

直後、シャカゾンビの骸骨の顎が、関節の鳴る乾いた音を立てて開かれる。


「……そのマネタイズも込みだ!マクロブランク!我輩はそのつもりで貴様にこの研究所の全権を託したのだぞ!」


傲岸不遜、責任転嫁の極みたる叱責が、洞窟の岩肌を這うパイプラインを震わせ、反響する。

浴びせられた言葉に、マクロブランクは――もし毛が生えていたならば――全身を逆立てたであろう激越な反応を示し、洞窟の空気が限界まで張り詰めた。


「ふざけるなでちゅ~ッ!」

「口答えをするな――ッ!!」


ハヴォックは、頭上を行き交う罵声を、遠い尾根で響く雷鳴のごとく聞き流していた。

繰り返される不毛なやり取り。

互いの怒鳴り声がドームの闇に溶けていくたび、彼の中には退屈という名の澱だけが降り積もる。


だからこそ、彼はその圧に晒されながらも、別世界の住人のように気の抜けた顔であくびを噛み殺し、

片肩に引っかけていたレンチを手慰みに回し始める――だがその拍子に、重い鉄塊が指からすっぽ抜けた。


ゴウゥンッ―――!!!


鉄床を直撃したレンチが、鈍くも荘重な音を放ち、

まるで聖堂の鐘が赤屋根の街に正午を告げるかのような震動が、

研究区画の隅々まで伝播していった。


訪れたのは数秒の静寂。


やがて、金属音の余韻を踏み潰すように――


「がはは!」

ハヴォックは、自分の失態を豪快に笑い飛ばした。

その笑い声は、あろうことか隣のプロディジーの頬を緩ませ、

2人の悪友めいた顔が、研究所の、不健康な白光の下に並んで浮かび上がる。


なんとも間の抜けた一幕だったが、同時にそれは、

マクロブランクの嘆きの正しさを、何よりも雄弁に物語る瞬間でもあった。


そして彼は、好機と見るや否や声を張り上げる。


「……見ましたかでちゅ、これが“最先端多次元研究施設”の実情でちゅよ!世界を変える頭脳と、

世界一マヌケな現場力――なるほど、じつにバランスが取れてまちゅね!」


「ぐぬ……」


シャカゾンビは低く唸り、骨だけのこめかみをガントレットで押さえた。

その仕草には、冷徹な支配者らしからぬ――どこか人間じみた疲弊の色が滲んでいた。

マクロブランクの訴えは、痛いほど正鵠を射ている。


カルテット・マジコという規格外の脅威に備えて、戦力の大半を外部任務へ回した結果、

このテラー・スクワッドの本拠地たる蛇蝎山は、昼夜を問わずもぬけの殻も同然となっていた。


いかに壮大な計画や理念を掲げようとも、

資源も人手も欠けたままでは、歯車はひとつとして噛み合わない。

この現場は今や、“足りない”という言葉そのものが形を取って歩いているような有様だ。


神経質な女のようにして、こめかみに添えていたままの手を離すと、

シャカゾンビは天井の配線を仰ぎ見、そこに長く重いため息を落とした――。



高評価やブックマーク、本作のご紹介、Xのフォローなどで応援いただけますと幸いです。制作の大きな力になります。


https://x.com/piku2dgod


本家:ページ中にキャラのコンセプトアートなどあり

https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=24843658

https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=25490740

https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=26572256

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