issue#04 I I I Tales from Topographic Oceans CHAPTER 01 09
山頂から連なる長い斜路を、巨大な昇降床が滑り降りてきたのだ。
圧縮された空気が通路に吹き込んで、あたりに置かれていた小物の類をざわめかせ、
やがて、家1軒ほどの広さをもつ床面が、寸分の狂いもなく窪みへと収まる。
――ガチィンッ!
金属の結合音が鳴るや否や、工事柵を思わせる無骨な扉が左右に割れた。
次の瞬間、通路の奥から彼らの足元へと光の道が敷かれるように、天井照明が次々と点灯していく。
その光に輪郭を撫でられつつ、漆黒の浮遊ポッドが無機質に滑り出た。音ひとつ立てずに漂うその内部には、この研究所の主、シャカゾンビの姿が沈黙のまま座している。
その威圧的な気配に、さっきまでの弛緩した空気が嘘のように、プロディジーとハヴォックは慌てて立ち上がり、取ってつけたような直立不動の姿勢で主を迎えた。
「「おつかれさまです、ボス!」」
シャカゾンビは、眼前の光景――奮闘する脳と、佇む2人の獣人――を測量するかのような視線で一瞥し、ポッドを降りる。そして、声色に剣呑な雰囲気を帯びさせて、淡々と問いを投げかけた。
「……マクロブランク。これが貴様の言う“進捗”か?」
その一言が、すでに苛立ちの限界にあったマクロブランクの理性の糸を、完全に断ち切った。
「……何の嫌味でちゅか!?当たり前でちゅ!
このわちきがどれほど天才的であろうと、物理的に作業する手足がなければどうにもならないのでちゅよ!それも、わちきの繊細な指示を理解し、寸分違わず実行できる、ま・と・も!な手足が!」
彼は、もはや調整を諦めたスタビライザーから触手を離すと、
その1本でプロディジーとハヴォックを交互に指し示した。
「お前たちはいつも外をブラブラと出歩いてばかり!この研究施設は、わちきとカラスだけで回すにはあまりにも広すぎるのでちゅ!……第1に人手不足!それに発電力も全然たりまちぇん!
特に大型装置なんて、そこの怪力アニマルどもがいないと動かすことすらできないのでちゅよ!」
「へいへい、でもなぁ……」
「電力の方は知らねぇけど、人手はどう言われたって変わんねぇよ?ウチ、零細だしぃ……」
プロディジーとハヴォックは、うんざりした表情でぶつぶつとこぼした。
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