issue#04 I I I Tales from Topographic Oceans CHAPTER 01 07
「――では、まとめに入りまちょう。
結論として、トポコン式とQFS式、両者の差異は単なる技術的なレベルではなく、
“思想の次元”そのものにありまちゅ。
トポコン式が『浜辺に漂着した破片から、流れてきた海域を逆算する』ような受動的な探査技術であるとすれば、
QFS式は『想像の中で描いた設計図をもとに、存在しない土地に都市を築く』――非常に能動的な技術になるのでちゅ!――」
マクロブランクは、前側の触手を広げて自説に身振りを添える。
その声はラボの壁に反響し、聴衆の思考をわずかに震わせた。
「――つまりでちゅね!QFS式とは、未知の可能性を切り拓くと同時に、
世界そのものを消滅させかねない諸刃の剣でもあるのでちゅ。
……なんともハイソフィスティケイテッドで、危険きわまりない技術――というワケでちゅな!――」
マクロブランクは胸を張り、満足げに頷いた。
一拍置いてから、さらに鼻息を荒くし、得意満面のまま補足を重ねる。
「――ただ、そんなQFS式にも限界はあるのでちゅ。
珍しいタイプの宇宙――たとえば、物理法則そのものが可変プログラムとして走り、
あらゆる存在がソースコードでできている『Σ(シグマ)型次元』、
真空エネルギーの代わりに『マナ』や『エーテル』が情報の最小単位を担う『Λ(ラムダ)型次元』、
そして何より……わちきの“ホーム”や、ついこの間、この世界も巻き込まれた、“あの状態”でちゅ!
個人の精神エネルギーが宇宙構造そのものを定義している状態――そういう『量子的に成り立っていない』世界へは、このゲートはまったくもって無力なのでちゅ!」
ダメ押しとばかりに、マクロブランクは、その高慢な声でさらに畳みかける。
「……言っとくでちゅが!これは多次元認識段階に達した文明なら、どこでも持ってる“最低限のツール”なんでちゅよ?
その簡易さゆえに!わちきレベルの超天才にとっちゃ、
小学生の図画工作みたいなもんでちゅ!片手間に作れちまうもんでちゅ!
例えば、すぐそこの……時空位相をちょいとズラした先にある、
類人猿どもがホモ・サピエンスを駆逐してそのまま宇宙の支配者になった次元、
あそこなんかは、いまこのQFS式の段階でちゅ!
そうでちゅよ?サルでさえ扱える技術なんでちゅ!――」
「――だから!こんな初歩の初歩でつまずかれたら、わちきの壮大な故郷への帰還計画など、
とてもではないが叶わないのでちゅ!
ちゃんと理解して、さっさと作業を進めるのでちゅ!
あの骨に使われてばっかりのポンコツじゃないところを見せるでちゅよ!」
……呆然として眉をひそめ、そのご高説を最後まで拝聴し続けていたプロディジーとハヴォック。
講義の熱は、まるで空気そのものを乾燥させるかのように濃密で、うっかり咳払いをするのもためらわれるほどのものだったが、2人の表情から、“理解”の片鱗が読み取れることはついぞなかった。
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