issue#03 I I I I Dreamed A Dream CHAPTER 05 39
アシュリーが床に寝転がって天井を眺めていると、その視界を、ひょいと人影がまたいだ。
見ればはちるが、人間の姿から、一瞬で元のユキヒョウの獣人の姿へと戻り、
高い棚の上にあるお菓子箱に手を伸ばしている。
「んー、やっぱこっちの方が、物掴みやすいなー」
「……よし!取れた」
そして、もなかの包みを黒く鋭い爪先でつまむと、再び、ポンッ!と軽い音を立てる。
そのまま、勢いよくベッドに腰を下ろしたのは、空中で取り換えられた人間の姿だった。
「おいはちる。お前その能力便利に使いすぎだろ」
アシュリーが、呆れたように言う。
「えへへ。だって、ビッグバンはもう無理だけど、変身は好きな時にできるんだもん。
抜け毛も気にせず料理もできるようになったしさ!」
はちるは、悪びれもせずに笑いながら、滑りやすい加工の小さな袋を剥いた。
「宇宙創成の力と引き換えに、存在形態の任意選択能力を得た、と……。まあ、結果オーライ、
なのかな」
おせちは、やれやれと肩をすくめる。
「なあ夕飯どうする?寿司でも取るか?」
アシュリーが提案すると、さなが、もじもじしながら、遠慮がちに口を開いた。
「うーん、お寿司もいいけど……。なんだか、あの……甘いラーメンが、また食べたい気分、かも……」
「はぁ? あの餌をか?冗談だr……」
アシュリーは、心底うんざりしたように言いかけたが、そこで、ぴたりと動きを止めた。
脳裏に、あの、暴力的なまでの甘さと、野性的な旨味が、鮮烈に蘇る。
「……いや、待て。……なんか、私も食べたい気がしてきた……おかしいな!」
自身の味覚に生じた異変に戸惑い、彼女は思わず髪を洗うかのように頭を掻いた。
「気のせいでしょ。あの味は、人間の味覚には……」
おせちが、冷静に否定しようとする。だが、彼女もまた、言葉の途中で口ごもった。はちみつと、
ハスカップの酸味。そして、なぜか忘れられない、あの奇妙な後味。
「……不本意だけど、少しだけ、惹かれるものがある、かもしれない……」
三者三様の、苦々しい表情。その視線が、部屋の隅で、唯一、満面の笑みを浮かべている少女へと集まる。
はちるは、両手を腰に、ぶんぶんと尻尾を振っていた。
「えへへ、じゃあ、今夜はウチが腕によりをかけて作るね!みんな大好き、はちみつラーメン!」
「「「ヤッター!」」」
3人の、心の底からの歓声が、平和なはちるの部屋に響き渡った。
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