issue#03 I I I I Dreamed A Dream CHAPTER 03 22
その告白に、少女たちは息を呑む。男――熊沢は、彼女たちの驚きを意に介することなく、ゆっくりと語り始めた。
それは、人と熊が、まだ今ほど憎み合ってはいなかった時代の物語。彼が、いかにして最初の“クマ人間”となり、ふたつの種の間に立って、か細い共存の道を模索していたか。
しかし、人間への憎悪を煽り、力を信奉する急進派の今井によって、
いかにして指導者の地位から追い落とされたか。
そして、かつて確かに存在したはずの穏健な社会が、狂信と憎悪の怒涛の中に、
どのようにして失われていったか――。
彼の言葉は、淡々としていた。だが、その一語一語には、長い流浪の歳月と、失われた理想への、どうしようもないほどの痛みが、深く刻み込まれていた。
長い告白が終わり、洞窟の中には、カンテラの炎が揺れる音だけが響いていた。おせちは、彼の壮絶な過去を胸に刻みながら、目の前の現実へと問いを向けた。
「……じゃあ、あなたはずっとここで?」
おせちの問いに、問いに、熊沢は少しだけ目元を緩める。
「クマでもあるまいし、さすがに毎日こんな穴ぐらに住んでるわけじゃない。
ここは、奴らの動きを探るための、ただの偵察拠点だよ。家は、ここから少し離れたところにある」
彼は、カンテラの灯りを掲げ、洞窟の入り口を塞ぐ岩を指した。
「ちょうどトラックで来てる。まあ、お嬢さんたちを乗せるには、ちとボロいがな。怪我を我慢できるってんなら、このまま家まで連れて行ってやるが、どうする?」
その、思いやりのある口調には、彼が失っていなかった、人間らしい温かみが、確かに滲んでいた。
「大丈夫だ」
アシュリーが静かに返す。
こうして、場には沈黙が落ち、洞窟の天井から、ぽたり、と水滴が岩肌を伝い落ちる音だけが響いた。
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本家:ページ中にキャラのコンセプトアートなどあり
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