Issue#01 I I I Don't Want to Set the World on Fire CHAPTER 01 20
「で、それでどうするの?母さんと私たちで今度こそ最後までやりきるの?」
おせちは、笑いを流すでもなく、あらたまった声で尋ねる。
「そうではない!その考えは絶対に捨てとくれおせち、それと他のみなもじゃ!お前たちのパワーはあくまで自分や家族の身を守るため、そしてMOOTW(Military Operations Other Than War《戦争以外の軍事作戦》。ようは災害救助や人道支援のこと※PIKU)与えたものじゃ。
わしはかわいい娘を戦禍に巻き込むようなことなど絶っっ対にしとうない……この母をそんな薄情者と思ってくれるでないぞ!よよよ……」
「……ママ!」
大げさに卒倒するふりをする尊を、はちるがいち早く抱きとめた。
「じゃあどうすればいいの?」
心配げに問うさな。
「とにかくまだ何も情報を掴めておらんゆえ、さしあたっては何事にも油断をするなとしか言えん。今日はそういう心得を伝えた!」
左半身をはちるのタンポポ毛に覆われながら、尊が答えた。
「まとめると、街中を歩いてる骨を見かけたら110番ってことか?」
目をつむり、疲れた様子で腕を振るアシュリー。
「その通りじゃが、警察ではどうしようもないくらいの敵じゃから1番にはこの母に言うてくれの。戦うのは責任もってワシがする……」
「――あぁ、わかったけどさ、でもさ」
「……?」
「これじゃもう、ちょっとお寿司頼むって気分じゃなくなっちゃったよね……」
アシュリーとおせちが皆の心情を代弁すると、一家は静かに沈んだ面持ちに変わった。
それでも彼女たちは、なんとかかんとか、しだいに解散の気配をまといはじめていた。
ちょうどその時、しなだれた枯れ木の枝を蹴り揺らして1羽のカラスが空に還った。
その黒い影は、寺の敷地を囲む山のひとつ――秋の名残を忘れた斜面の奥からこぼれ落ちるなり
上昇気流に巻き取られ、やがて、見えぬ彼方へと融けるようにして消えていった。
境内で繰り広げられていたすべてを、瞬きひとつせぬまま見守っていたその鳥が、
ちょうど事の終わりに呼応するように枝を離れたという事実は、はたして、ただの偶然と片づけることができるだろうか。
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