issue#03 I I I I Dreamed A Dream CHAPTER 02 08
――霊力が飽和し、凄惨な殉爆が彼女たちを光の中に飲み込む。しかし、それさえもが慈悲なき罠。爆炎の中心から無防備に弾き出された2人の体へ、抜かりなく『創生の光』が1発ずつ射かけられた。
そして、仕上げとばかりに、大地そのものが咆哮を上げる。土と瓦礫が、鋭利な鍾乳石のように天へと競り上がり、今しがたゴリラへと変えられたホットショットとオールラウンダー、そして離れた場所にいたミーティスとイムノ、その4者の位置を寸分の狂いもなく捉え、それぞれの絶望の内へと閉じ込める絶対的な檻を形成したのだ。
戦況が、みずからの思い描いた通りの「完成」へと近づいていることを冷静に確認すると、エイペックスはスラスターの出力を上げ、墜落した自身のUFOへと、長い弧を描いて飛んでいった。
引き裂かれた装甲から、火花を散らす配線が覗く。彼はその残骸を意にも介さず、船内の保管庫へとゆっくり降り立った。床も壁も、すべてが異常な角度に傾ぎ、重力さえねじ曲がったかのような空間。だがエイペックスは、まるで水平な床を歩むように、何事もなくその感覚を乗りこなす。
やがて目当てのロッカーの前で足を止めると、指を触れることなく、その電子ロックを静かに解錠させた。
「ふん、この程度の衝撃で我が文明の産物が損なわれるものか。物資は健在のようだな」
彼のサイコキネシスが、積まれたジュラルミンケースのひとつを宙に浮かせ、手元へと静かに引き寄せる。ロックがほどけ、蓋が音もなく開く。灰色の緩衝材の中、生命そのものを凝縮したかのように発光するエネルギーシリンダーが、整然と並んでいた。
彼はそのうち数本を、まるで秘蔵のヴィンテージワインを愛しげに棚から選び出すソムリエのように、
念動力で掌中へと吸い寄せた。愉悦めいた仕草で、わざと鼻先へ近づけ、
まるで香りを確かめるかのように、静かに目を細めまでする――もちろん、本当に香りなど感じているはずもないのだが。
再び背中に火を点したエイペックスは、ビルの壁面に磔にされたスヌープキャットと高度を合わせていく。
彼の、テクノオーガニックの背骨に沿って、複数のポートが開口する。その意志に呼応し、宙に浮遊していたエネルギーシリンダーが、寸分の狂いもなく脊髄の各ポートへと1本ずつ吸い込まれていく。「カチッ」と、パーツがかみ合う硬質なロック音が、静寂の中で不吉に響き渡った。
全エネルギーの充填を完了した彼は、実験の開始を宣言する。
「では、進化の最終実証フェーズを始めようか」
宣言とともに、彼の両眼から放たれる光は、単なる汚染の色ではない。それは、白熱するほど純粋な創世の輝き。そのあまりに神々しい光芒を前に、スヌープキャットは本能的な恐怖に顔を歪め、来たるべき衝突に備えて固く目をつむった。
凄烈な光が彼女の全身を包み込み、その存在を真っ白に塗り潰していく。
「くぅぅぅぅぅぅ!!」
悲鳴にもならない声が、彼女の意識にとって最後の砦だった。しかし、それすらも創世の力に削ぎ落とされ、現実の輪郭は熱に溶ける砂糖菓子のように淡く崩れていく。
視界が、聴覚が、世界をかたどっていたすべての感覚が、1層また1層と、静かに剥がれ落ちていった。
最後に残ったのは、愛する者たちへの、か細い想い。
(もう、だめだ…みんな、ごめんよ――)
だが、その言葉が謝罪の形をなすことはなかった。音になる前に、彼女の意識は、ただ純白の光の海へと、永遠に沈んでいったからだ。
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本家:ページ中にキャラのコンセプトアートなどあり
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