issue#03 I I I I Dreamed A Dream CHAPTER 01 01
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Issue 03 元ネタ・命名由来リスト
■サブタイトル 『I DREAMED A DREAM』
[元ネタ] :ミュージカル『レ・ミゼラブル』劇中曲
[備考]: スーザン・ボイル(Susan Boyle)によるカバーバージョンを念頭に置いた選曲。
■キャラクター・用語命名由来
【エイペックス・レジェンド】
[元ネタ] :ゲーム『Apex Legends』(Electronic Arts)
┗ 本名:パイプコック・ジャクソン
[元ネタ] :レゲエアーティスト、リー・ペリー(Lee Perry)の別名。
[備考]: 彼の代表作アルバム『Super Ape』と、キャラクターの「ゴリラ」モチーフを掛けた引用。
【ミス・パラレルワールド】
[元ネタ] :バンド「相対性理論」の楽曲『ミス・パラレルワールド』
┗ 本名:カンノ アキノ
[元ネタ] :菅野よう子 + 新居昭乃。
[備考] :アニメ音楽界を代表する作曲家とシンガーソングライターの組み合わせ。
【カンノ ユキ】(アキノの母)
[元ネタ] :菅野よう子 + 梶浦由記
[備考] : アニメ音楽界を牽引する二大作曲家の組み合わせ。
【スティクス】(海底刑務所)
[元ネタ] :アメリカのプログレッシブ・ロックバンド「Styx」
今回のボウイノルマ:『The Man Who Sold the World』
The Most Magically Chaotic Quartet on Earth!
Quarteto Magico
Issue03 I Dreamed A Dream
CHAPTER 1
北海道、渡島半島の北端近く。6月の陽射しが薄雲を抜け、奥ゆかしく差し込む午後、広々とした畑のあぜ道には、湿った黒土と新芽の匂いが立ちこめていた。
まだ青い麦の穂が冷たい風に揺れるの畝の向こうで、猟師のハヤカワは膝をつき、
迷彩帽の下で息をひそめていた。その両手には古びたスラッグ銃。節くれだった指の形は、長い銃身を実によく支えているが、それだけではない。
そこには枯れた木の根の風格があって、ウッドストックの使い古した色味の中に、螺旋を描きながら半ば食い込んでいくかのようである。いわば男と銃は、完全に一体の存在としてそこに佇んでいたのだ。
そのうち、彼の視線の先、土地の端にある電気柵の壊れた隙間から、大きく異質な影が、ゆっくりとした動きで畑に流れ込んだ。全長220cm近い、いかにも脂の乗った雄グマだ。
――コードネーム『IMA20』。何10頭もの家畜を屠り、何度となく罠を抜け出しては人を嘲笑うかのように姿を消す、伝説の個体。先月からこの一帯を縄張りにし、牛を襲い、数日前には柵を壊して馬を逃がす騒ぎまで起こしていた。農協も市役所も色を失い、ハヤカワたち地元猟友会への出動要請は日常と化していた。
しかし、その熾烈な攻防の歴史が嘘であったかのように、今日、獣は初めて致命的な過ちを犯した。まるでハヤカワを、この麦畑を揺らす風や土の匂いと同じ、自然の一部と見誤ってしまったかのように――その無防備な巨体を、老練な猟師の射線の中へと静かに晒していたのである。
畑へ進み出たクマは、ひときわ太い前足でジャガイモを転がし、飽きれば未熟なトウモロコシを根ごと引き抜いては、その無表情な顔で咀嚼する。
……この距離なら、外すはずがない。
(……頭蓋は狙えん。エゾヒグマの、ことに大型の雄グマの頭骨は、ライフル弾すら弾き返す。急所は心臓か、肺――)
スコープの中で、十字の線に捉えられた茶黒い巨体が無防備に揺れる。満を持し、ハヤカワが引き金に指をかけた――その瞬間。
背後で、サイレンの音がけたたましく炸裂した。
「やめろ!」
泥を跳ね上げて急停車したパトカーから、複数の警官が駆け寄ってくる。
「銃殺許可は下りません!中止してください!」
その声が、張り詰めていた現場の空気を無慈悲に引き裂いた。居合わせた2、3人の猟師たちは、一斉に不満げな顔を見合わせる。とりわけ、猟友会のリーダー格であるハヤカワは、肩付けたばかりの猟銃を静かに下ろしながら、不快感を隠そうともせず応じた。
「は?地主の許可も、猟友会への正式な要請もある。あんたたちにも筋は通したはずだ!」
警官の1人は眉ひとつ動かさず、インカムに触れながら、現場を制するように片手を上げた。その全身から放たれる、人間味のない威圧感が空気を支配する。
「先刻、上から指示が出ました。許可は取り消しです。直ちに狩猟行為を中止してください。従わなければ、免許を剝奪します」
「なんだと……!」
ハヤカワは愕然とし、腕から力が抜けたように銃を取り落とした。ほかの若い猟師たちも、
警官の異様なほどの落ち着きに呑まれ、為す術もなく立ち尽くす。
その間にも、ヒグマはこちらを一瞥すると、まるで興が冷めたとでもいうように踵を返し、戦利品の作物を咥えたまま防風林の闇へと悠然と消えていった。後には、無残に荒らされた畑と、風に舞うトウモロコシの葉だけが残された。
「またやられたが……」
ハヤカワが呆然と呟く。
「……これでは村が滅びる!」
……その人だかりから少し離れた場所に、女が1人、立っていた。
年は20代半ば。長い黒髪を無造作に束ね、初夏の北海道には不似合いな厚手のトレンチコートをまとっている。表情筋の動きを忘れたかのような端正な顔立ちは冷たく、細められた目は何にも焦点を結んでいない。
彼女はスマートフォンの画面を一瞥し、ポケットに滑り込ませた。そこには、今しがたの警察への通報履歴が映っていた。
そして視線は、熊が消えた防風林の闇へと注がれる。するとその横顔に、秘事を滞りなく果たした者のような、かすかな満足の色が浮かんだ。
現場の怒号も、猟師たちの絶望も、彼女の耳には届いていないかのようだった。やがて静かに背を向けると、誰と交わることもなく人混みを抜け、コートの重たい裾を揺らしながら去っていく。
ほとんどの者は、その異質な存在に気づきもしなかった。
ただ、現場にいた警官たちだけが、彼女が去る一瞬、ごくわずかに、しかし明らかに何かを了解し合うように視線を交わしていた。その密やかな合図の意味に、果たしてどれだけの者が気づいただろうか。
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本家:ページ中にキャラのコンセプトアートなどあり
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