Issue#01 I I I Don't Want to Set the World on Fire CHAPTER 01 16
「あのゴミさ、誰が捨てるんだろうね」
境内に戻ってきたおせちは、何気ない調子で雑談を切り出す。
「ね」
はちるが相槌をうつと、
「そゆのはな、ふつうのゴミに少しずつ混ぜればいいんだ」
アシュリーがすぐ、彼女流のサグい答えを振りかざす。
「そうだ、アシュリーが溶かせばいいよ!」
すると、はちるが自信満々になってそう言った。
「冬場の暖房以外にこれ以上仕事が増えるのか?
でもそれいいかもな、ヤバいゴミを有料で燃やすビジネスをやればきっと儲かるぞ」
「うーん、それは多分本当に儲かって取り返しがつかないことになるからやめたほうがいいね」
おせちは、3人が並ぶ前に折よく吹いたそよ風に、そんな言葉をつぶやくようにして託した。
尊は、3人の少女たちより1歩前に位置し、
「そしてゆけ、ミーティス!もっともオーソドックスなソーサレス、わが権能の正統を継ぎ、その昇華にまでいたった掛け値なしの珍の子よ!」
厳然たる姿勢を保ちながら、最後の1人を試練の場に向かわせようとしている。
「はぁ~い!」
やや間延びしたその返答は、明るく澄みながらも、それと同時にどこか浮世離れしている。
どうにも、言葉遣いだけが年齢に先行して巧みになった“ややこ”の印象がぬぐえないのだ。
――吉濱さな。彼女の肉体は、視覚情報の階調からして凡庸を拒絶する。
肌と髪は光をはなつ結晶のごとく純白に脱色され、その全容は、肉と骨の複合体が無機質の美を刻むのではなく、
劈開性を宿した透明な鉱石が、有機の曲線に沿って丹念に研がれたような姿だった。
さらに注視すれば、通常ならば成長の過程で淘汰されるはずの幼形成的な特質――
それが彼女においては、いささかの損耗もなく保たれていることに気づく。
しかも、それは単なる保全ではない。彼女の身体においてそれらは成熟した女の美と
滑らかで断絶のない合流点を築いている。
さなの外見は、無垢なるものと完成されたものとのはざまに在りながら、いずれにも傾かない。
そして、それゆえに彼女の美は、時の両極をまたいだ、ひとつの奇跡的構造体として語られるべきものなのだ。
号令が下った瞬間、うさ耳フードの道士ミーティスは、境内の砂利を魔力の“吹かし”で弾き飛ばしながら、白熱の弧を描いてその場から爆発的に飛び出した。
広い境内を疾走するミーティスの胸元で、呪符が乱舞して重ねられる。言い換えれば、リフルシャッフルされるのは――トレーディングカードではなく新品の呪符だった。
向かい風に揺さぶられ、束ごとぐらつき始めた呪符は、耐えきれず膨らみ上がり、無数の薄片となってミーティスの白い顔や肩をかすめ、なほ、はるか後方へと舞い散る。だが、その混沌の瞬間は一瞬に終わる。呪符は突如反転し、速度を増して軌道を整え、彼女の背後を揃って滑るように並走し始めた。
高評価やブックマーク、本作のご紹介、Xのフォローなどで応援いただけますと幸いです。制作の大きな力になります。
https://x.com/piku2dgod
本家:ページ中にキャラのコンセプトアートなどあり
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=24843658
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=25490740
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=26572256




