issue#02 I I I UNDERTALE CHAPTER 05 18
イムノが見つめる先で、先の少女が――同年代か、ひと回り下に見える――1歩前へ進み出る。彼女は地上人の目をまっす
ぐに見つめ返し、はっきりと告げた。
「私は投降します。どうか、この者たちには手を出さないでください」
「しかし、お嬢! それじゃあ……!」
荒くれた護衛のひとりが制止の声を上げるが、少女はそれを遮るように、毅然と首を横に振る。
「命令です。私は、父の代理として捕虜になるのです。それならば、
無下な扱いは受けません」
その言葉に、護衛たちの眼差しが忠誠と苦悩の間で激しく揺れる。
「いやしかしですぜ!?」
「……いくら頼みと言われたって、それだきゃあできません!」
やがてひとりが叫ぶと、全員がブラスターを構え直した。が――
その引き金が引かれることはなかった。
イムノの姿が、霞のように揺らいだからだ。地を蹴った形跡すら残さず、彼女はすでに兵士たちの懐へ踏み込んでいた。声なき衝撃。連続する奇跡の中で、人体の急所を的確に打たれていった兵士たちは、まるで糸を切られた人形のように、一斉に膝から崩れ落ちた。
「……やっぱり王女様、かな?」
イムノは、ゆっくりと元の場所へ戻りながら、その口元に、冷ややかにして美しい笑みを浮かべる。
「悪いけど、このまま一緒に来てもらうよ」
挑発的な角度にかたむけられたガンブレードの切っ先が、天井の光を吸い取って1点の輝きを宿す。
その光は、返答次第では即座に行われるかもしれない行為――すなわち、獲物の首筋を断ち切る動きを予行するかのように、鍔側に沿って冷たく、そしてゆっくりと刃筋を伝っていった。
(……あっ、悪おせちだ!)
後方に佇むスヌープキャットだけが、姉妹が交渉の場で見せる得意技――その露悪的な
ポーズの真意を、冷静に見抜いていた。
*
……無辺の自然光が満ちる巨大な地下空間――《緑の空洞》。
その蒼翠の只中に設営されたテントの内でテラリアキングは、ホログラム化された軍事マップにじっと視線を落としていた。かたわらのシャカゾンビは、腕を組み、高みの見物といった風情でたたずんでいる。
そこへ伝令兵が、キングの進路を阻むように膝をつき、息を切らせて叫んだ。
「総長ォ――!地上で戦ったガキどもが、俺らのケツを追っかけてシマまでブッ込んできやしたッ!
それと並行して、首都じゃあ今ドデカい反乱が起こってます!」
キングの片眉がわずかに動く。
「……あぁん!?」
その返事はすべてをひと息には呑み込めない困惑の色を帯び、部屋を照らす光さえどこか色褪せさせてみせた。
伝令兵は仮面の下の口角を引きつらせながら、さらにまくしたてた。
「こないだのケンカのことをネチネチ言ってきやがった、あの鬱陶しいデモにガキ共が加わって、
本格的なクーデターになっちまったらしいんス!奴ら、不満分子をまとめて引き連れ、王宮に突入――
総長のご家族を人質にしてラバシティを丸ごと封鎖しやがったんです!
もし海底の岩盤をブチ抜くような真似したら、報復に炉塔を爆破して街を地獄に叩き落とすって宣言してます!」
「……嘘だろ!? なんでンな事になってんだぁ! シャカゾンビ、テメエの差し金か!?」
報告が終わった瞬間、部屋全体に響くほどの怒声が漏れる。
「お門違いというものだ。吾輩とて、奴らには煮え湯を飲まされた身。利害は一致しているはずだが?」
しかしシャカゾンビは、煙たそうに彼の敵意をあしらった。
「ちくしょうっ……!」
テラリアキングはゆっくりと両腕を広げ、天井を仰ぐ。
外では、草原の上に控える金属の巨獣が、
呼応するかのように巨体をかすかに揺らめかせる。
「目には目を……テロにはテロをってことか……?」
ウェスタンブーツが床板を苛立たしく鳴らす。
「――全軍に伝えろ!
ラバシティに通じる道は全部封鎖ァ!ただしいつでもブッコめるように準備しとけ!
動ける幹部は全員ここに集めろ!これ緊急の集会だ!」
「押ッ忍ッ、ただちに!」
伝令兵が叫び、踵を返して駆け出す。
こうして地下帝国は、地上世界と地下、地下とカルテット・マジコという二重の膠着状態へと突入していったのだ。
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本家:ページ中にキャラのコンセプトアートなどあり
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