Issue#01 I I I Don't Want to Set the World on Fire CHAPTER 01 15
更新頻度につきまして、ご報告申し上げます。
現在はアーカイブの復旧を最優先事項としております。準備が整いましたので、1エピソードあたり3000字程度を最大文字数とし、1時間に1回という可能な限りのペースで更新を続け、「誤削除前の最先端」に追いつくよう努めてまいります。
読者の皆様におかれましては、どうかご無理をなさらず、ご自身のペースでお読みいただけますと幸いです。
エネルギーの集中がはじまった……。周囲の空間が暗転し、雷光の余燼を彷彿とさせる青い光を己の輪郭上にだけほのめかして、
「……我が力っ!」
その一声と同時に、彼女の足元には細やかな震動が走り、岩地がざわめく。
次の瞬間、地をブロック状に打ち砕く踏み込みとともに、イムノは稲妻を纏って空へと舞い上がった。
その飛翔は、音を置き去りにし、光さえ一瞬、追いつけない。
その少女が、桃色の学生服をまとい、天へと飛翔するさまに、ひとびとはふと――身を投げる者の孤独な決意を重ねてしまうかもしれない。
すべての安全はその瞬間、ためらいなく放擲され、彼女の姿は、ちょうど片刃の鋏のように不完全でありながら、その欠落ゆえにこそ鋭利をきわめる。
まるで、長生きに価値を見出すことをすでにやめてしまった者が、どこかでひそやかに誓った本懐のとおり、躯籠なにかと刺し違えんとする、そんな、救いがたい執念の結晶として、少女は身ひとつで空を裂いていく。
だからこそ、その身体を縫いとるように奔る電撃は、勇壮な後押しではなく、死出の旅路を駆ける原動力としか映らない……そう、普段から彼女の肌に触れ、息づかいを共にできなかった者にとっては、だ。
吉濱家の面々は、落下した戦車の描く放物線と、そこに向かうイムノの軌道がやがて交差し、
その交差の果てに、まばゆく銀の剣光が残されるだろう数秒後の未来を、誰ひとり疑ってはいなかった。
いや、それどころか――その場に立ち尽くし、固唾を飲んで結末を見守るという観望者のささやかな礼儀すら、
彼女たちにとっては、どだい不要のものだった。
イムノの斬撃は、常人の動体視力にはすれ違いざまの胴打ち1発としか映らなかったが、
その軌跡には無数の価値が秘められていた。
接触の領域を抜けたイムノの、急速な飛翔にわずかなゆるみが生じ、懸命に導いてきた電撃の尾がほつれ始めた瞬間――まるで空中の残心を思わせる刹那に、
彼女が置き去りにしてきた巨きな鉄塊の継ぎ目が、ぱっとあきらかになったのだ。
細かく切り分けられたそれらは、もはや地を震わせるほどの質量を持たず、
まるで包丁の棟でまな板から払い落とされた野菜のように、
崖の上の平らな岩場へと雪崩れ込み、転がり、弾み、滑っていく。
破断の形と重さに応じた、それぞれのわずかな余生を演じきった末に、
鉄クズたちはみな、音もなく、あるべき場所へと収まっていった。
「これよな、おせちの本質は!グレイスカルの力を継承した宇宙最強の剣士!……おせちー!お前ももう戻ってきていいからのー!!!」
「撃つのはー!?」
用を終えたイムノは、山肌に石ころのよう軽やかに着地し、衝撃を吸収する一瞬、縦に引き締めた姿勢をゆっくりと元にもどした。
やまびこの代わりに母へ呼び返す声は、澄んだ空にひびきわたる。
「……もう的を出すのがしんどうなってしもうたからナシじゃ!そもそもわし砲術なんてやったことないし!剣技がそれだけ冴えとったら射撃の方も推して知るべしということよ」
「……」
一瞬にして手持ち無沙汰となったイムノは、ライフルと剣が融合した特異な武器の柄を、
まるで22口径のハンドガンを扱うかのように軽く両手で握りしめる。
ふと視線を上げると、空に取り残された最後の破片が、緩やかな弧を描いて落ちてくる。
その瞬間、彼女は装弾数ぴったりの6発を、まるで楽器を奏でるようなリズムで放ち、破片を正確無比に撃ち抜いた。
弾丸は光の尾をひき、破片をこまかな星屑に変えて虚空に散らす。
その鮮やかな6連の狙撃を終えれば、イムノは肩を落とし、トボトボと境内へと歩を進める。
だが、その余技――彼女自身すら意識せぬ一瞬の芸当――は、並のガンスリンガーが到底及ばぬ領域だった。
この世に、彼女と肩を並べ、同じ技を軽々とやってのけると胸を張れる者が、果たして何人いるだろうか。
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本家:ページ中にキャラのコンセプトアートなどあり
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