issue#02 I I I UNDERTALE CHAPTER 05 09
「困ってるってことは……そっちも地下に埋まってるってこと?」
はちるが不安げに問いつつ、通信機の方位アンテナを微調整していく。
〈ふむ……地下というより、“廃棄物の大穴”でちゅかね。
いろんな生ゴミと一緒に、マグマの処理層にまっしぐら――なかなかにサバイバル難易度の高い状況でちゅ!臭いは史上最悪、ゲロもゲロゲロ吐いちまったでちゅよ!
そこで、その辺に転がっていた機械ゴミを寄せ集め、『局所時空間ソナー付き万能サバイバルキット』を
チョチョイと作り上げ、周囲の地形をマッピングしてみたのでちゅな♪。
……そこで判明したのが、絶望的な事実でちゅ。この廃棄システムそのものが、巨大な地下都市の一部……つまり、わちきは完全に“袋のネズミ”になっていまちた!
だからこそ、その都市の“外”で、唯一観測されたイレギュラー……奇妙な軌道で動き回るヘンテコ集団のお前たちに、最後の望みを託して、この救難信号を送ったというわけでちゅ!〉〉
「こっちはどう掘れば脱出できるか、それを知りたいの。電波を届けられたってことは、わたしたちの位置や、近くの空洞の場所も探知できるんじゃない?」
さなが、息を継ぎながら問いかける。彼女はわずかに後ずさり、スピーカーから距離をとりつつ、背後の仲間たちに静かに視線を送った。
全員の気配が、わずかに張り詰める。
通信の向こうにいる「それ」は、声以外の実体をまだ何ひとつ見せていない。だが、この崩落の底から伸びる、蜘蛛の糸よりもか細い繋がりが、今、たしかに彼女たちの手元に届いていた。
この提案は救済となるか、あるいは新たな災厄の導火線となるか――。
4人は、装置から漏れる雑音にさえ耳を澄まし、肩を寄せて聴き入っていた。
〈うむ……万能サバイブ装置に記録された波形パターンから、お前たちの座標はすでにプライバシーの侵害レベルで特定済みでちゅ!
ただし、この星の地名までは把握不能……そこは目をつぶってほしいでちゅ。とにかく
通信機を持っているそこのオマエ! オマエの正面を基準に――右へ45度、下へ30度。そ
の方角に直進すれば、比較的大きな空洞があるはずでちゅよ!〉
「……こっちかな」
はちるが体の軸をずらし、四つんばいの姿勢のまま指示された角度を見定める。
〈そこを一時的な避難所とするでちゅ。
そちらへ抜けたあと、わちきのいるエリアまで指示どおり掘り進めてくれれば、
たぶん、ゴミ処理層のトンネルに合流できるはずでちゅ〉
「……嘘じゃないだろうな?」
アシュリーが、押し殺した声で念を押した。
〈ふん、そっちこそでちゅよ。ワチキからすれば、お前たちが約束どおりわちきを助けてくれるかどうかの方がよっぽど心配でちゅ!〉
「安心しろ、オフの日なら情報だけもらってトンズラこいてたところだが――」
アシュリーは、一度そこで言葉を切る。
「――今日はヒーロー稼業の残業でここにいるんでな」
「……そんなことないからね!? 困ってる人がいたら、いつだってちゃんと助けるからね!?」
おせちが、慌ててアシュリーの言葉を打ち消した。
〈……その言葉、信じるでちゅよ!?
お前たちの善意に賭けて、こっちは出血大サービスで先に情報を渡したんでちゅからね!?
とにかく急ぐでちゅ! ゴミ山の熔解炉への搬送は今も進行中! 物質の酸化が進んで、この臭いだけで意識が飛びそうでちゅ!――残された時間だって、もう10分を切ってるでちゅ!〉
さしあたって、状況を打開する見通しはない。この息の詰まる閉鎖空間で、マクロブランクと名乗る脳の怪物と“共闘”する以外に、彼女たちに道は残されていなかった。
通信音声の奥底にたゆたう、巨大なベルトコンベアの軋む音と、その土台の上に、山型の波形を
ひっきりなしに作る甲高い声に導かれ、彼女たちはふたたび土砂の壁へと向き直る。
それが善意であれ、悪意であれ、目の前の岩盤にこれ以上手をこまねいてい
る理由を、彼女たちはもはや世界のどこにも見いだせなかった。
高評価やブックマーク、本作のご紹介、Xのフォローなどで応援いただけますと幸いです。制作の大きな力になります。
https://x.com/piku2dgod
本家:ページ中にキャラのコンセプトアートなどあり
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=24843658
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=25490740
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=26572256




