issue#02 I I I UNDERTALE CHAPTER 03 19
「動くなよ!」
彼女は慣性を殺しながら慎重に減速し、3人のパイロットを遠方の街路へ軟着陸させる。滞空したまま、彼らに向き直った。
「走って逃げられるか?」
その毅然とした問いに、
「あ、ああ……」
ひとりが戸惑いながらもうなずくのを見届けると、彼女は即座に反転する。また空へ舞い戻り、敵を睨み据えた。
そして、思わず息を呑む。
吸引は、終わらない。地上のすべてを、砂粒の1片すら残さず喰らい尽くさんと、その勢いは増すばかりだ。都市そのものが、巨大な顎の前で無力に解体されていく。
「まずいな、このままじゃ“旧ドバイ最後の目撃者”の称号が私たちのものになるぞ……」
こんな惨事がなければ、誰もが余暇を謳歌しているような時間。
だがホットショットには確信があった。あの怪物を放置したままでいれば、
この、地球で最も先進的な都市のひとつは、日付が変わるよりはるかに早く、元の砂漠に還るだろう。
……3人が集結するビルの屋上に、ホットショットが帰還する。
吹き荒れる風圧に目を細めながらも、イムノはそれをこじ開けるように大声を上げる。
「……あれを無差別に暴れさせるのはマズい!攻撃方向を固定させよう。――アシュリー、囮になって!」
「顔を上に向かせるってことだな?でもあの風とはぶっちゃけ相性が悪いけどな」
「……うん、だからそこにはちるを隠し味でひとつまみ!はちるが溶岩おじさんと戦って、
アシュリーが常に後ろを取って飛び続けてれば向こうもずっと頭を上げてるしかないでしょ」
「えっ、それって……!アシュリーはともかく、ウチはあそこまで行く間に、あのトレマーズ君に吸われちゃうくない!?」
「そうだよ? 吸われて、歯に掴まって、そこからよじ登っていけば、最短ルートでしょ?」
イムノは、こともなげに言い放った。
「え、えええええええぇぇぇッ!?」
スヌープキャットは目を剥き、尻尾をボトルブラシのように逆立てる。その凄まじい反応には、隣にいたホットショットすら一瞬ぎょっとした。スヌープキャットの顔は、ネコ科動物が未知の臭気に遭遇した際のフレーメン反応のようにゆがみ、全身全霊でその狂気の作戦への拒絶を示していた。
「大丈夫、ほらあの牙、風でも折れてないでしょ!?」
イムノは、街を無差別に攪拌するワームの口内、その円周にヒマワリの花弁のように並ぶ鋭牙の列を指差す。そして唐突に問いかけた。
「……リズモ、ブルジュハリファの重さって何tくらい?」
制服のポケットが点滅し、
「ブルジュ・ハリファの重さは、およそ50万t。これは10万頭の象に相当します」
スマートフォンのAIアシスタントが平板な声で答える。
「……なら!さすがに効くでしょ!」
イムノは目を輝かせ、風の中に声を突き上げる。
「ふたりが頑張ってる間に、私たちでブルジュハリファを倒して押しつぶすから!」
「その作戦、ありよりのありけり~♪」
ミーティスも楽しそうに応じた。
「ああ、そのプランが多分取れるベストだろうな」
ホットショットが静かに頷く。
「それでビルが倒れたら、アシュリーが中に突っ込んでトドメ。よろしくね!」
「トドメだけでいいのか?ブルジュハリファの建て替えまでは任されないか?」
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本家:ページ中にキャラのコンセプトアートなどあり
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