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カルテット・マジコ  作者: piku2dgod
issue#02 UNDERTALE

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122/296

issue#02 I I I UNDERTALE CHAPTER 03 16

誰もがその破壊の跡に息を呑む、その一瞬の硬直を突き破り――黒とオレンジの影が、戦場に躍り出た。パーカーのフードから生えたウサギの耳を揺らし、道士ミーティスが乳臭い声で叫ぶ。


「おまたせ!」


彼女は横倒しになった軍艦の舷側を、ホバー移動で瞬間的に駆け抜けながら、袖から霊符の奔流を解き放つ。その紙片の川を、装甲の継ぎ目や砲塔の隙間へと、流れるように滑り込ませていく。

風に煽られ、ビラビラとした音を立てながら標的の各所に吸い付いていった無数の札は、1拍の後、


ドドォオオオン!!!


艦の内側からすさまじい連鎖爆発を引き起こした。


艦橋が目前に迫ると、ミーティスは滑走の勢いを殺して、いちどぴょこんと小さく跳躍する。

艦内へ飛び込むや否や、彼女に随行していた護符の群れが、まるで硬い意志を持ったつぶてと化して乱雑に旋回し旋回し、横転した船内にしがみつく兵士たちを的確に打ち据え、叩き落としていく。


次の瞬間、ミーティスは何事もなかったかのように艦の窓枠に手をかけ、軽やかに身を翻した。

空中を舞いながら、流れるような動作で腕を払うと、新たな霊符の群れが公園の跡地を疾走。

彼女自身がスヌープキャットの隣に着地するのと寸分違わず、対岸の敵陣で連鎖爆発が巻き起こった。


「はちるっ、待った!?」

「んーん!ウチも今きたとこっ!」


まるでアイドルのリハーサルでも始まるかのように、2人の少女は甲高い声を弾ませる。戦場の片隅で無邪気な再会を祝う、その頭上を巨大な影が覆った。


「グウゥォオオア!!!!」

怒り心頭に発した溶岩巨人が、体ごとなだれ込むがままに灼熱の拳を反撃の1打として振り下ろす。

だが、それより早く、ミーティスは袖を翻し、舞うように反転する。指先からほとばしった霊符が空間に炸裂し、爆発的な勢いで膨張しながら斥力の結界を編み上げた。


「ドガアァン!!」

トラックほどもある拳が、目に見えぬ障壁に激突する。轟音と共に炎と蒸気が渦を巻くが、

その圧倒的な質量は文字通り紙一重で受け止められ、破壊の力は虚しく拡散する。


「わうっ!」

その瞬間、結界の“ひさし”の下から、スヌープキャットが弾丸となって飛び出した。

一切の無駄がない、完璧な軌道を描く滑り出しからの跳躍。その鋭い蹴りが、巨人の岩塊の頭部を正確に捉える。


鈍い音が響き、岩の顔面が内側から弾けるように砕け散った。

頭部を失った巨体は、しばらく天を仰いで静止した後、ゆっくりと後方へ、音と共に倒れ伏した。


戦況の天秤は、もはや疑いようもなく、彼女たちへと傾いていた。


上空での死闘のさなか、主攻を一時ホットショットに任せたイムノの視界に、遥か下方の光景が飛び込んできた。

廓大なドバイの都市を切り拓いて生まれた異形の戦場。その片隅に並ぶ、数隻の陸上戦艦――それが

彼女の注意を強く引いた。


「そうだ、あの戦艦で――!」

力の解放によって紅く染まったテラリアキングと、目まぐるしい格闘を続けるホットショットへ、イムノはすかさず指示を飛ばす。


「アシュリー、伝令お願い!」

「それ、スマホじゃダメか!?」


衝撃波が絶え間なく空間を叩き、一瞬の油断が命取りになる超近接戦闘のさなか。ホットショットは、敵の拳をいなしながら、背後の姉妹へ向けて叫び返した。


「はやくして!」

「わかったってば」


強引に押し出されるような勢いで、頭上から振り下ろされるハンマーを紙一重で回避すると、ホットショットは足元で爆炎を噴射し、その身を弾き出した。


破片と煙が渦巻く混沌の戦場を、彼女は灼熱の彗星となって一直線に突き抜ける。その鮮烈な光の軌跡は、何よりも雄弁に彼女の存在を主張していた。


公園の中空に躍り出たホットショットは、空中でぴたりと静止すると、荒い息のまま2人に叫んだ。

「……戦艦でぇ、あのミミズ撃てってさ!」

イムノからの伝言。ホットショットが腕を振って目標を示すと――


「「わかったあぁ!!」」

2人は即座に駆け出した。


「……人力回頭よーし!!」

スヌープキャットは、それまで巨人が手繰っていた巨大な鎖をその両腕で掴み取った。

獣のように歯を剥き出し、足元の地面を踏み割りながら、全身の筋肉を総動員して鉄の束を引き絞る。掌に食い込む鉄の重みを意にも介さず、力任せに引っ張ると、200m級の戦艦が鈍い軋みを上げて回頭を始めた。彼女はその超人的な作業を、都合3度も繰り返した。


「もいちどお邪魔しますっ、うんしょっ!」

一方、ミーティスは気絶した兵士の転がる艦橋へふわりと舞い降りる。床に片膝をつくと、その袖から無数の霊符を、まるで蜘蛛が糸を吐くように際限なく解き放った。紙片は風に乗り、艦内から他の艦隊にまで広がりながら、操作盤やレバーを覆い尽くす。装填、照準、点火――術式ひとつで、全艦の砲撃システムを瞬時に掌握していく。


「発射管制、掌握完了!」

ミーティスの、いつもと変わらぬあどけない声が響くと、砲門の奥で青白い光が脈動を始めた。


「カウントダウン開始、5秒で撃て!」

先行して上空へ舞い戻ったホットショットが、空中で急制動をかけて腕を突き出す。五指を全開にしたその手をもう一方の手で固定すると、特大の火炎弾たちが空を裂いて飛翔した。

激しい連鎖爆発が怪物の巨腹を穿ち、その進路を狙い通り、艦隊の射線中央へとねじ曲げていく。巨大な影は火の粉をまといながら、まるでケージに飛び込む獲物のように、完璧なキルゾーンへと誘い込まれた。


――全艦、一斉射。


見えざるタクトが振られたかのように、艦砲が黒煙を吹き上げ、夜空を貫く光の奔流が、怪物めがけて殺到する。無数の火線は巨大な円弧を描いて市街地の上空をめぐり、全長1200mの巨体へ次々と直撃。爆炎が分厚い外殻を貫き、その身に何本もの巨大な炎の柱を打ち立てた。


高評価やブックマーク、本作のご紹介、Xのフォローなどで応援いただけますと幸いです。制作の大きな力になります。


https://x.com/piku2dgod


本家:ページ中にキャラのコンセプトアートなどあり

https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=24843658

https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=25490740

https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=26572256

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