issue#02 I I I UNDERTALE CHAPTER 03 14
「見てわかんない? これが《カルテット・マジコランド》の目玉アトラクションになるんだよ」
イムノがそう言い放つやいなや、ふたりの少女は、いかなる合図も交わさぬまま、ぴたりと同時に地を蹴った。
星月に霞む夜空を背に、ふたつの影が並び立つ。腕を大きく振りながら正面から迫るテラリアキングの威容を目がけ、ふたりは低く、鋭く、宙を駆けた。
都市の灯と影はめまぐるしく入れ替わり、まるで夜のトンネルを突き抜けるように、
その明滅がふたりの身体に次々と映し出される。
巨虫の殻の上を走るそれは、生きた紋様のごとくたゆまずかたちを変えながら流れ、
そしてふたつの陣営は――勇敢に、大胆に、一片の迷いもなく、交錯しようとしていた。
次の瞬間、ホットショットは空間のまだ開かれていない領域へ、自身の肉体をめり込ませるようにして疾走した。その軌跡は、朱墨の筆が半紙を疾駆し、跳ね、払い、渦を描く――書の極意を、
純粋な加速と破壊力へと昇華させたものだった。
一撃ごとに余剰な速度が肉体へ重圧をかけるなか、それでもなお彼女は上昇し、テラリアキングを中心とする円環軌道へと突入していった。
猛烈な回転――きらめく遠心。
ドドドドドドド!!
その軌道上から、ホットショットはミサイルを斜めのベクトルで次々と射出する。
放たれた弾体は空をえぐる流星となり、円環の内側に位置する男へと正確に降り注いだ。
「なんだっ!?」
テラリアキングは即座に反転し、左腕のスクラップガンを翻して迎撃に転じた。
連続する噴煙がいくつかの弾丸を撃ち落とすが、残りは収まりきらぬ勢いのまま襲いかかったので、
やむなく彼は、大振りに振り上げたハンマーで正面からそれを打ち払う。
金属が擦れ合う濁音と爆風が重なり、夜の空間に衝突の連鎖が走った。
そこへ、
「どりゃあッ!」
横合いからイムノの跳び蹴りが飛来する。
視界の外から放たれたその不意打ちを胴に受け――
「!!」
テラリアキングの身体が大きく弓なりにしなる。
「逃すかぁッ!!」
その浮き上がった一瞬を見逃さず、
ホットショットが踏破力を込めて突進する。全身で巻き込むようにして敵の胴を押さえ込み、
そのまま突き抜ける推力で押し流した。
空間の隔たりを越えて、炎の轍がワームの背上を刻む。
噛み合った肉体の塊は、地表すれすれの高度を保ちながら、航跡を横へと引き延ばしていく。
「……どきやがれッ!」
テラリアキングは反射的にハンマーを振りかぶり、繰り返し抵抗を試みる。
だが、その努力を嘲るかのようにホットショットの拘束は緩まず、
「サウナよりもっといいとこ連れてってやるんだから、大人しくしてろよな!」
瞬間、雷のソイルをまとったイムノが、ふたりの終着点に滑り込みながら姿を現した。
膝を落とし、地に構えを取った姿勢から、短く声を張る。
「そらっっっ、いくよッッ!!」
足裏の反発を活かしてふわりと跳躍し、背をそらせた反動をそのまま回転へと転化、
全身の軸をしならせ、ガンブレードを擦り上げる。脚から肩へと力が通い、刃に重みが乗る。
ためらいも、緩みもない一撃が、敵の後頭部に深く刻み込まれた。
「――ッッッッ!!」
宙に炸裂したのは、雷鳴にも似た轟音。風圧と火花が周囲に渦を巻き、空気そのものが撥ね返った。
テラリアキングの顔面が歯を食いしばる力にこれ以上なく歪められる――しかし、砕けはしない。
彼はなおも気迫を保ち、まるで火砲のごとき一撃を、真っ向から耐えきってみせた。
「……石頭!」
「やるなこいつ!」
「かなりフィジカルな方の超人だ!」
ふたりの少女が並び立ち、呆れと感嘆の入り混じった短評を漏らす。
その声音には冗談めいた響きがあったが、胸の奥底には敵に対するしずかな敬意と、激闘の続きを待ち受ける高揚が同時に広がった。
「オあああああァァァ!!」
テラリアンの王はにわかに激昂し、肉体の芯から赤熱した闘気を爆ぜさせる。
その解放により、彼の身にまとわりついていたふたりは、それぞれ等しい速度で強制的に吹き飛ばされた。
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本家:ページ中にキャラのコンセプトアートなどあり
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