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カルテット・マジコ  作者: piku2dgod
issue#02 UNDERTALE

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issue#02 I I I UNDERTALE CHAPTER 03 08

彼女は、40m級の溶岩戦士に向けて躊躇なく突撃し、迎撃の暇すら与えぬまま、

全身の運動エネルギーを拳へと収束させて、真正面からその頭部を打ち据えた。


苛烈な衝突が放つ波動は、分子の境界をも揺るがし、光子の飛沫をともなって着弾点の空間に爆裂を巻き起こす。そのかがやきが収まったとき、溶岩質の頭部は、もはや形を留めていなかった。


それは地底より来たる軍勢にとっての、支配の終わりを早々と告げる、忌まわしくも輝ける悪夢だった。


砕けた頭部の隙間からは蒸気が激しく噴き出し、

積み上げた岩石の不均整な手で顔を覆った異形の怪物は、味方の軍勢が逃げ惑うただなかへと、

ためらいもなく背から崩れ落ちていった。


その相方であるもう1体の巨人は、思いがけぬ崩落に度肝を抜かれ、怒りに任せて

肩に担いだ鎖を一本背負いするかのよう力のかぎり引っ張った。

砲門からなおも発射を続けていた艦艇は、乗組員の意思など一切省みられることなく強引に引き倒され、

その巨体――舷側――を、スヌープキャットめがけて空転するように放った。


その動きは、鉄でできた津波にも等しい。

たったひとりの存在――この場合は、獣の属性を宿す少女――に向けて放たれるなど、本来ならばあり得ぬ事態だった。

しかし現実に、それは頭上から彼女を大地ごと押し潰さんばかりの勢いで迫りくる。

その光景を目の当たりにした者の理性など、ふつうなら瞬時に雲散するほかなかった。


だがその災害めいた情景を前に、着地を終えたスヌープキャットが取った行動といえば、

ただいちど、素早く屈んだだけだった。彼女はそのまま、大地へと沈み込むように重心を落とし、

蓄えた反発をもって、しゃがんだ瞬間の1000倍の速度で跳躍する。

全身の運動量を乗せたその蹴撃は、真横から迫りくる艦艇の舷側へと真っ向から叩き込まれた。


ドゴォォン――!!!!


――金属が、金属だけが一方的に悲鳴を上げる。200m級の艦体は、蹴りを受けた箇所を軸にくの字型に折れ曲がり、巨塊そのものが衝撃の余波でわずかに浮き上がった。圧搾された空気が渦となって押し付けられ、衝突点には巨大な凹みが刻まれる。


スヌープキャットの身は、ひしゃげた鉄板を蹴り台に、そのまま三角飛びの軌道で爆発的に跳ね返る。

背後には、力学の常識を逸脱した破壊痕と、黒煙を帯びてバナナ形に軋む艦体の、まだ着地にはほど遠い姿だけが残された。


この時、鎖にかかった予想外の負荷によって、溶岩の怪物は体勢を崩していた。


「グルルォ……!!」


しかし彼は、反撃の機を逃すまいと、


「――ウグルアアァァッッ――!!!」

無理にでも振り向きざまの豪快なフックを繰り出し、飛翔中の彼女との正面衝突を狙う。


そしてその瞬間、怪物の岩肌は内側から膨張し、ついには盛り上がるように裂けた。

腕の内部から吹き出したのは、熔けた血と無数の岩片。

怪物は、その異常を未だ信じきれぬまま、破裂した腕を左手で押さえつけ、苦悶の表情を露わにした。


直後、地面を跳弾する勢いをそのまま乗せ、スヌープキャットの返す頭突きが巨人の胴を真横から突き抜けた。爆ぜ飛ぶ岩屑とともに、そこには音を立てて大穴が穿たれる。

腹部から噴き上がる蒸気にその身を包まれながら、怪物の巨体は、崩土のごとくその場へと伏した。


万に及ぶ兵士たち――その誰もが、恐怖に突き動かされ、銃口をひとつの標的へと向けはじめる。

仮面越しの双眸は見開かれ、引き金にかけた指は硬直し、銃身の揺れがその怯えを物語っていた。


その背後では、他の溶岩巨人たちが振り返り、肩をいからせながら一団となって集結する。

煮え立つ肉体の頭部から放たれた咆哮は、口の裂け目から覗く咽喉に灼熱の光を灯しながら、地面ごと空間を震わせた。

その遠景では、ななめに列を組む陸上艦が、可能な限りの砲塔を一斉に兵士たちと同じ1点へと集中させていく。火花と煤煙のなか、防弾ゴーグルのレンズには焦げ跡めいた陰が映りこんだ。


その大群と対峙し、射線と咆哮を浴びる只中にあっても、両腕を大きく広げて立つスヌープキャットの背には、いささかの力みもなかった。


「がおー!」


陸上艦隊と随伴歩兵をたったひとりで相手取りながら、彼女は心底楽しげに、からかうような声で吠え返す。

そのじゃれつくような声は、巨人たちの咆哮に込められた真の意味――すなわち「殺意」――を軽やかにいなし、本質を歪め、まるで祝祭の音楽のように、戦いの雰囲気を盛り上げるだけの薄っぺらい要素へとひと息で貶めてしまった。


長いユキヒョウの尻尾が誇らしげに空へ跳ね上がり、その先端が無邪気に揺れる。


――彼女には、勝利への圧倒的な自負があった。


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